小児慢性心不全の緩和ケア評価ツールとしてIntegrated Palliative care Outcome Scale (IPOS)を導入した先天性心疾患の一例
1 大阪母子医療センター 小児循環器科
2 市立豊中病院 小児科
3 大阪母子医療センター 看護部
慢性心不全における緩和ケアの重要性は認識されつつあるが,小児領域での報告は少ない.今回Integrated Palliative care Outcome Scale(IPOS)の使用が,小児慢性心不全の緩和ケア評価ツールとして有用であった症例を報告する.症例は右室型単心室の診断で生後9か月にグレン術が施行された8歳女児.心不全増悪のため入院し,加療開始後も症状の改善が乏しく,緩和ケアの介入を開始した.IPOSは身体的・心理的・精神的項目の中で患児・両親・スタッフ間で評価が分かれる質問項目を認めた.特に身体的疼痛は,スタッフのつけた点数は患児と比較し高値であった.本症例を通して,IPOSを用いた緩和ケアの評価は,患者自身の評価を解釈するうえで患者の背景や性格を考慮する必要があるものの,患者やその親が必要としている事柄を医療スタッフが理解するうえで有用であった.小児心不全の緩和ケアにおいて,患者に病状を伝え,意思決定を支援することは重要であり,IPOSはその補助となる可能性がある.
Key words: chronic heart failure; palliative care; Integrated Palliative care Outcome Scale (IPOS); congenital heart disease
© 2024 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
This page was created on 2024-12-02T16:42:01.745+09:00
This page was last modified on 2025-03-10T09:35:36.000+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。