Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 41(1): 51-57 (2025)
doi:10.9794/jspccs.41.51

症例報告Case Report

先天性心疾患乳児に対するAvalon Elite Bi-Caval Dual Lumen Catheterを用いたV-V ECMOの使用経験Avalon Elite Bi-Caval Dual Lumen Catheter to Facilitate Veno-Venous Extracorporeal Membrane Oxygenation in a Cardiac Infant with Limited Vascular Access: A Case Report

1北海道立子ども総合医療・療育センター小児循環器内科Department of Pediatric Cardiology, Hokkaido Medical Center for Child Health and Rehabilitation ◇ Hokkaido, Japan

2北海道立子ども総合医療・療育センター集中治療科Department of Pediatric Intensive Care Unit, Hokkaido Medical Center for Child Health and Rehabilitation ◇ Hokkaido, Japan

3北海道立子ども総合医療・療育センター臨床工学部Department of Clinical Engineering, Hokkaido Medical Center for Child Health and Rehabilitation ◇ Hokkaido, Japan

4北海道立子ども総合医療・療育センター新生児科Department of Neonatology, Hokkaido Medical Center for Child Health and Rehabilitation ◇ Hokkaido, Japan

受付日:2024年8月5日Received: August 5, 2024
受理日:2024年11月18日Accepted: November 18, 2024
発行日:2025年2月28日Published: February 28, 2025
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Avalon Elite® Bi-Caval Dual Lumen Catheter(Avalon DLC)は1本のカニューレでV-V体外式膜型人工肺(Veno-venous extracorporeal membrane oxygenation: V-V ECMO)の送血と脱血が可能なデバイスであるが,先天性心疾患児に対する使用報告はない.症例はCantrell症候群,ファロー四徴症,左上大静脈遺残と診断された生後3か月,体重3.5 kgの男児.臍帯ヘルニア,横隔膜ヘルニアと気管軟化症に対して多期的腹壁閉鎖術,横隔膜縫縮術と気管切開術を施行した.生後3か月時から低酸素血症が顕在化し,心臓MRI検査で肺体血流比=0.4と低肺血流状態であり,Blalock–Taussig shunt手術が必要と判断した.腹壁の術創と気管切開孔が胸骨と近接し術後縦隔炎が懸念されたため,正中切開を選択せず左側開胸での手術を計画した.しかし,術側肺の圧排が更に酸素化を悪化させるため,手術執刀前にV-V ECMOの導入を計画した.静脈の解剖学的特徴から,カニューレを経皮的に挿入できる部位は右内頚静脈のみであった.右内頸静脈からAvalon DLC 13 Frを挿入してV-V ECMOを使用し,良好な酸素化を得た.手術終了時にV-V ECMOを合併症なく離脱することが可能であった.先天性心疾患と多発奇形がある場合,バスキュラーアクセスに制限があることがあり,導入時の選択としてAvalon DLCは一候補になりうる.

The Avalon Elite® bi-caval dual lumen catheter (Avalon DLC) enables veno-venous extracorporeal membrane oxygenation (V-V ECMO) with a single cannula. There are no reports of using this catheter in infants with congenital heart disease in Japan. We report a 3-month-old boy who weighed 3.5 kg and was diagnosed with Cantrell syndrome, tetralogy of Fallot, and persistent left superior vena cava. He underwent multistage abdominal wall closure, diaphragmatic suture, and tracheostomy for omphalocele, diaphragmatic hernia, and tracheomalacia. At 3 months of age, hypoxemia appeared and cardiac magnetic resonance imaging showed low pulmonary blood flow with a Qp/Qs ratio of 0.4, indicating the need for Blalock–Taussig shunt surgery. There was concern regarding postoperative mediastinitis because of the proximity of the abdominal wound and tracheostomy site to the sternum. Therefore, a left-sided thoracotomy was planned instead of a median sternotomy. However, compression of the lung on the operative side was expected to further worsen oxygenation, and we planned to introduce V-V ECMO before surgery. The right internal jugular vein was the only site where a cannula could be inserted percutaneously owing to the anatomical characteristics of the vessels. A 13 Fr Avalon DLC was inserted through the right internal jugular vein, and V-V ECMO was used to achieve good oxygenation. The Avalon DLC may be useful in infants with congenital heart disease and multiple malformations who require ECMO.

Key words: extracorporeal membrane oxygen; dual lumen catheter; Veno-venous dual lumen cannula; Cantrell syndrome

背景

1975年に新生児呼吸不全に対する体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation: ECMO)の生存例が初めて報告された1).歴史的には,V-A体外式膜型人工肺(Veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation: V-A ECMO)の使用が新生児呼吸不全に対しての補助循環として一般的であった.その後V-A ECMOがV-V体外式膜型人工肺(Veno-venous extracorporeal membrane oxygenation: V-V ECMO)に比して神経合併症などの発生率が高いと報告され,V-V ECMOが新生児呼吸不全に使用されるようになった2, 3).しかし,小児のV-V ECMOでは2本のカニューレ留置にかかる時間や,鼠径部の創傷と下腿腫脹,大腿静脈への適切なサイズのカテーテルが限られるなどの課題があった4).また,先天性心疾患児は中心静脈カテーテル留置や心臓カテーテル検査の反復で内頸または大腿静脈が穿刺され5),ECMOのカニューレ挿入部位が限られることがある.経皮的血管確保が難しい場合,右心房へのカニュレーションによる導入があるが,経胸壁的アプローチが必要となる6)

本邦では,ヨストラ体外循環肺補助用カニューレN®ダブルルーメン(Jostra VVDL; Maquet Getinge group, Rasttat, Germany)がV-V ECMOを要する小児患者に対して唯一使用可能であったが,2015年に供給停止となった7).Avalon Elite® Bi-Caval Dual Lumen Catheter(Avalon DLC; Getinge Group Japan K.K, Tokyo, Japan)は2009年に米国で発売され,国内では2018年2月に認可された.カニューレ内にワイヤー補強を組み込み,曲がりや捻れによる閉塞を防止する設計となっている.また,下大静脈と上大静脈に脱血孔を,三尖弁側に送血孔を位置させることでrecirculationを減少させる役割を果たしている.サイズは13 Frから31 Frまであり,新生児から成人まで幅広く使用可能である.今後,小児の重症呼吸不全などへの使用が期待されている3)が,先天性心疾患乳児に使用した報告はない.今回,V-V ECMOバスキュラーアクセス制限のある先天性心疾患の乳児にAvalon DLCを用いてECMOを導入することができた一例を報告する.

症例

症例は生後3か月,身長55 cm,体重3.5 kgの男児.胎児期に臍帯ヘルニアを指摘されていた.在胎36週6日,1,462 gで出生し,小腸,全肝と一部の胃が脱出していた.また,出生後に胸骨下部の欠損に加え心臓エコー検査でファロー四徴症,左上大静脈遺残を認めた.生後直ちに多期的腹壁閉鎖術を施行し,術中に左横隔膜欠損を認め横隔膜縫縮術が同時に行われた.臍帯ヘルニア,胸骨下部欠損,心内奇形,横隔膜欠損の所見から4/5兆候を満たすCantrell症候群と診断した.日齢10日に腹壁閉鎖術を行った.出生時よりHigh Frequency Oscillatory(HFO)を用いた人工呼吸管理を行っていたが,気管軟化のため呼吸器設定を緩和することができなかった.徐々に低酸素血症の進行があり生後1か月,体重2.1 kg時に精査加療目的に当院へ転院となった.当院へ転院時はHFO,FiO2 0.8,Mean airway pressure 14 cmH2O, Amplitude 60 cmH2O,Frequency 12 HzでSpO2 83%,pCO2 65 mmHg(毛細管血)であった.酸素化不良低下の要因は気管軟化,臍帯及び横隔膜ヘルニアによる肺低形成,チアノーゼ性心疾患と複数の要因が考えられた.長期の人工呼吸管理が必要と見込まれたため生後2か月時に気管切開術を施行し,HFOからIntermittent mandatory ventilationへ変更が可能となった.生後3か月になると肺の条件や人工呼吸器設定に関わらず低酸素血症や呼吸性アシドーシスが徐々に進行した.体血圧72/58 mmHgかつHFOによるMean airway pressure 14 mmHg施行下での心エコー検査では三尖弁逆流は認めず,肺動脈弁~弁上狭窄による肺動脈加速血流は3.1m/sであった.体重増加に伴う相対的な肺血流低下を疑い心臓MRI検査を実施したところ,Qp/Qs=0.4と低肺血流状態であり,Blalock–Taussig shunt手術(BTS)が必要と判断した.気管切開孔や胸骨下縁に接触する腹部術創があるため,正中切開は縦隔炎と創傷治癒不全のリスクがあり左側開胸でのBTSを計画した(Fig. 1).手術室内で体位調整を行ったところ,FiO2 1.0でもPaCO2 84.9 mmHg, PaO2 52.8 mmHgとなり,術中は左肺を圧排しながらの介入となるため更なる低酸素血症と高炭酸ガス血症が見込まれ,ECMOの導入が必要と判断した.上述する理由でCentral ECMO導入は難しく,経皮的ECMO導入が必要であった.臍帯ヘルニアなどの影響で下大静脈は腹腔内で一度脊椎左側を走行後に再度脊椎を横切って右心房へ還流,また,鼠径部の血管は細く蛇行し狭窄所見もあり(Fig. 2),ECMOカニューレを挿入可能な静脈は右内頸静脈のみであった.V-V ECMOの代用として経皮的V-A ECMOを検討したが,本症例は2点問題を抱えていた.1点目はもともとの酸素化不良に加え,分離肺換気により更に脳酸素化を悪化させるためV-A ECMOの送血管は鼠径動脈でなく総頸動脈に挿入する必要があったが,総頚動脈がフレックスメイトPCKN-A-8YPS 8 Fr(泉工医科工業,東京,日本)送血カニューレを入れるのに十分な血管径を有していなかったこと,2点目は頸部に気管切開孔が存在し,右頸部には脱血管が入る可能性があり,かつ右側臥位での手術を予定していたため,頸部の手技可能範囲が限られた状況であったことである.V-A ECMOは,また動脈血栓の合併症などもあり,循環補助が不要である本症例ではV-V ECMOが望ましいと判断した.エコー検査で内腔4.0 mmあった右内頸静脈からAvalon DLC 13 Frを挿入しV-V ECMOを導入する方針とした.

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Fig. 1 Frontal view of the patient

(A) Tracheostomy site. (B) Defects lower sternum. (C) Surgical wound area by omphalocele repair that has not healed.

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Fig. 2 Coronal view of enhanced computed tomogram

The inferior vena cava (IVC) is located on the left side of the descending aorta (DAo) (arrow). The right femoral vein (Rt FV) is thin and tortuous, crossing over the spine and returning to the IVC (arrow). The left femoral vein (Lt FV) was suspected to be partially stenotic (arrow).

X線透視装置を用いながらAvalon insertion kit(Maquet Getinge group, Rasttat, Germany)のJチップ,0.038インチ×20 cmのX線不透過性ガイドワイヤーを下大静脈へ誘導を試みたが,下大静脈が突出した肝臓により左側に圧排されて偏位しており困難であった.そこで,0.035インチラジフォーカスガイドワイヤー260 cm,アングル(035RFGW;テルモ,東京,日本)を用いて下大静脈にワイヤーを留置し,Avalaon DLCのイントロデューサーシースをIVCまで挿入した(Fig. 3A, B).次に,イントロデューサーシースをガイディングとして035RFGWからJチップ,0.038インチ×20 cmのX線不透過性ガイドワイヤーに入れ替えて下大静脈に留置し,イントロデューサーシースを抜去,Avalo DLCを挿入した(Fig. 3C).経胸壁心エコー(TTE)とX線透視装置を用いて上大静脈と下大静脈に脱血孔が位置し,送血孔が三尖弁方向に向いていることを確認して,ヘパリン100 U/kgを静脈投与した後にV-V ECMOを開始した.ECMO導入後PaO2は52.8 mmHgから550 mmHgまで改善した.術中は流量60~100 mL/kg/min,脱血圧−7~17 mmHg,送血圧110~160 mmHgで経過し,手術終了時にECMOを離脱した.術後に撮像したCT検査で内頸静脈の血栓は認めなかった.

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Fig. 3 Fluoroscopic image showing insertion of the Avalon DLC

A 260-cm 0.035 radifocus guide wire (035 RFGW) was placed in the IVC (A) and only the introducer of the Avalon DLC was inserted up to the IVC (B). The 035 RFGW was then replaced with a flexible “J tip”, 20-cm, 0.038 radiopaque guidewire. The introducer was removed, predilation was performed using 12 Fr and 14 Fr catheters, and the catheter was inserted so that its tip was implanted in the IVC (C). Transthoracic echocardiography and fluoroscopy confirmed that the drainage ports were in the SVC and IVC, and that the infusion port was pointing toward the tricuspid valve.

考察

BTSを要する先天性心疾患児に対し,縦隔炎のリスクを考慮して,側開胸での介入を検討したが,酸素化が悪く補助循環装置が必要であった.しかし,Cantrell症候群や生後からの度重なる中心静脈カテーテル留置による血管走行異常や狭窄があり,補助循環装置の導入に工夫が必要であった.今回我々は新規に認可された13 FrのAvalon DLCを用いてV-V ECMOを導入し,ECMOに関連した合併症なく手術を施行することができた.

本症例では循環補助を必要としないガス拡散と交換能の補助が要求されたため,V-V ECMOの適応と考えられた.これまで経皮的アプローチによるV-V ECMOにおいて,新生児や乳幼児では大腿静脈の血管径が小さく,制約を受けることが多かった8, 9).特に,先天性心疾患児は中心静脈カテーテル留置や心臓カテーテル検査の反復などで大腿静脈が穿刺されて狭窄するなど4),血管確保部位が限られることがある.経皮的V-V ECMO導入が難しい場合,右心房へのカニュレーションによるCentral V-V ECMOや,V-A ECMOの使用が挙げられる.右心房を用いる場合,侵襲度の観点からは経皮的アプローチに劣り4),気管切開後などでは胸骨切開による縦隔炎のリスクが高い10).V-A ECMOで代用する場合,動脈系への空気塞栓や血栓形成のリスク,また総頸動脈を用いた場合は血管再建の可能性などを考慮する必要がある11).本症例のように先行手術や長期的カテーテル留置などの影響でバスキュラーアクセスの制限がある症例において,内頸静脈1本でV-V ECMOが施行可能なAvalon DLCは有用なデバイスである.

ダブルルーメンカテーテルは上述する血管確保におけるメリットに加えて,ECMO施行中の鎮静管理やリハビリテーション介入においても利点がある.本邦ではこれまで,Jostra VVDLが使用可能であったが,2015年に供給停止となった7).欧米では12 Fr Origenカテーテル(Origen Biomedical,テキサス,アメリカ)が使用されていたが,ポリウレタンを素材とし,体温に加熱されると変形しやすくカテーテルの曲がりによる閉塞が起きやすいと報告されていた3).Avalon DLCはカニューレ内にワイヤー補強を組み込み,曲がりや捻れによるカテーテルの閉塞などを防止する設計となっている(Fig. 4).

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Fig. 4 Design concept of the Avalon catheter

(A) Anti-kink stainless steel-reinforced catheter with an ultrathin wall. (B) Reinforced reinfusion port. (C) Ultra-thin membrane reinfusion lumen. The image was provided by Getinge.

近年,Avalon DLCの使用において,右心系穿孔やカテーテル位置異常による問題が報告されており12, 13),TTEや経食道心エコー,X線透視装置等を用いてガイドワイヤーとカテーテルの位置を確認することが重要である.Avalonを挿入する際に用いるAvalon insertion kitのガイドワイヤーは,穿孔のリスクを抑えるための柔軟な構造が故に,気づかないうちに心内でループを形成しながら下大静脈に入っていることがある13, 14).このループが検出されないと,カニューレを右室前壁や右房側壁に向かわせ穿孔させてしまう危険があり十分に注意しなければならない14, 15).エコーガイドのみでは,ワイヤー経路の描出に限界があり,ワイヤーを右心房から下大静脈に通す際にも困難なことが少なくないため,X線透視装置の併用が望ましい12).特に今回のように先天性心疾患に加えて多発奇形を有する場合,血管走行が通常解剖と異なるため複数の検査機器を用いてカテーテルの走行を把握する必要があると思われる.

また,Avalon DLCは従来のカテーテルよりもrecirculationを減少させるために上大静脈と下大静脈に脱血孔を,三尖弁側に送血孔を向ける構造となっており,適切なポート位置を保つことが重要である.例えば,先端が肝静脈に入ると脱血不全を来し,深く入りすぎて送血口が肝静脈付近に向くと肝うっ血を来すことが知られている14).先端が右房壁に近接するような浅い状態が続くと,心房壁へ継続的な機械刺激が加わり穿孔に至る可能性も指摘されている16).このようなカテーテルの位置不良による合併症は,体格やカテーテルデザインと関連がある12).Avalon DLC 13 Frでは,送血孔と下大静脈および上大静脈側の脱血孔との距離はわずか1.7 cm, 2.8 cmである(Fig. 5).右心房のサイズが小さいことも相まって,患者の微妙な体位変換や横隔膜の伸展により,不適切な位置となりやすい.このように小児では,より太いカテーテルを使用する成人よりも,合併症が起きやすいと考えられる.カテーテルサイズは患者の体格や必要とされる流量により選択することになるが(Figs. 5, 6),挿入前に内頸静脈径に加えて上大静脈,三尖弁,肝静脈の間の距離を把握することは合併症の予防に有用である12, 17)Fig. 6の注意点として,この流量圧曲線は粘性のない水を用いた理論値であり,粘性のある血液ではより急峻な曲線を描くため,表示よりも太いカテーテルを要する場合があることを念頭において参考にする必要がある.本症例では手術中のみの使用であり,カテーテルの位置不良による合併症はなかったが,重症呼吸不全患者等に長期間使用するような場合には,胸部X線やTTEを用いて日々カテーテルの位置を確認することが望ましい2)

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Fig. 5 Patient weight in previous cases and the distance between the drainage port and the infusion port of the Avalon for each size

In a 13 Fr cannula, the insertable length is 11 cm (A); the right atrial infusion port and SVC drainage port are only 1.7 cm apart (B); the right atrial infusion port and IVC drainage port are only 2.8 cm apart (C). Body weight in a previous report refers to References 17–20).

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Fig. 6 Relationship between the pressure drop and flow rate for each catheter size.

The image was provided by Getinge.

今回の使用報告に関するリミテーションは以下の点が考えられる.一つ目は合併症なく経過したが,短期間の使用であったため今後長期使用経験を重ねていく必要があることである.二つ目は内頸静脈へのカニュレーションによる静脈還流障害の可能性も考慮する必要があることである21).例えば,本症例のように左上大静脈遺残がある場合,右上大静脈は左に比べて細いことが多い22).また成人では,より太いAlvaon DLCが頭蓋内出血の発生率を高める可能性が報告されており23),頭蓋内合併症,血栓閉塞や血管損傷に留意しながら,十分なECMO流量を達成できる最小のカニューレを使用すべきことが示唆される.

結語

従来のデバイスを用いてのECMOバスキュラーアクセスに制限のある多発奇形を有する先天性心疾患の乳児例に対してAvalon DLCが有用であった.本症例では合併症なくV-V ECMOを使用可能であったが,Avalon DLCが乳幼児へのV-V ECMO導入方法の一つとして確立するには更なる国内経験の蓄積が必要である.

倫理的配慮

症例の報告にあたり,保護者に同意を得た.

利益相反

本論文に関して,開示すべき利益相反事項はない.

著者の役割

前田昂大は筆頭著者として論文の構想ならびに患者情報の収集を行い,論文を執筆した.酒井渉は論文の構想に関与し,論文執筆における直接的な指導を行った.提島丈雄,小笠原裕樹は患者情報の収集を行った.大野真由美,名和智裕,澤田まどか,高室基樹は論文執筆の指導および批判的校閲に関与した.著者全員が出版原稿の最終承認を行った.

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