日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

先天性心疾患の治療成績は医療技術の飛躍的な進歩により向上し，患者の予後は大幅に改善している^1）．成人期に達した先天性心疾患（成人先天性心疾患，adult congenital heart disease，以下ACHD）患者の増加に伴い，日本国内では専門施設や専門医制度など，診療体制整備が進んでいる^2–4）．しかし，成人期以降の経過観察が適切に行われていない事例も散見される．2021年の海外のシステマティック・レビューでは，先天性心疾患患者の受診中断割合は26.1％（95％信頼区間：19.2％–34.6％）に達し，単純性ACHDの患者で受診中断が多いことが示されている^5）．さらに，受診中断に伴い，緊急受診や侵襲的治療が増加することが報告されている^6, 7）．

先天性心疾患患者が生涯にわたり適切な医療を受けるためには，診療体制整備に加え，患者の疾患理解の促進が不可欠である．疾患理解の促進に関するこれまでの研究では，思春期から成人期にある患者の知識を評価する尺度の開発^8–10），成人移行支援（移行期医療・移行医療）プログラムによる患者の知識の変化を明らかにする試み^11–14）が国内外で多く報告されている．

適切な情報提供と疾患理解の促進は，成人移行支援が主な対象とする移行期のみでなく，小児期にある若年の患者，および既に成人期に達した患者に対しても重要とされている^15）．さらに，近年では多くの修復術が患者自身の記憶に残らない時期に終わる^16）ため，意思決定の主体は患者自身ではなく保護者となり，保護者の疾患の受け止めや支援が患者の疾患理解に影響を及ぼすとの報告^17）もあることから，保護者に対する情報提供も重要と考えられる．

これまで患者や保護者が理解しやすく，医学的に信頼性の高い情報は，各病院が作成するウェブサイトや小児慢性特定疾病情報センター^18），難病情報センター^19）等から提供されてきた．一方，これらの情報には提供される施設によって差があったり，対象の年代や疾患が限定されていたりする可能性や，各施設に情報提供ツールの作成の負担がかかるといった課題があった．これらの課題を解決するため，日本小児循環器学会では広報委員会を中心に，関連する厚労科研研究班や全国心臓病の子どもを守る会の協力を得て，日本小児循環器学会一般向けウェブサイト（以下，一般向けウェブサイト）を作成し2022年7月に一般公開した^20）．また，2022年10月には，SNSの公式アカウントを開設し，情報発信を開始した．

ウェブサイトやSNSは，アクセス解析を通じて閲覧数やフォロワー数の推移，閲覧数が多かったコンテンツ，検索キーワード，ユーザー特性を把握できる．したがって，患者や家族がどのような情報を求めているかを分析し，情報提供方法を最適化するための指針を得ることが可能である．本研究は，一般向けウェブサイトおよびSNSのアクセス解析データを基に，閲覧数，注目度の高いコンテンツ，検索キーワード，ユーザー特性を分析することで，患者や家族が求める情報ニーズを明らかにし，SNSを活用した情報拡散の効果を評価することを目的とする．

研究デザイン

本研究は，2022年8月1日から2024年11月30日までの日本小児循環器学会一般向けウェブサイトに対するアクセス解析を実施した観察研究である．

日本小児循環器学会一般向けウェブサイト

一般向けウェブサイトは「学びやすく，分かりやすく，親しみやすく」をコンセプトとした．明るい色調で動画やイラストを豊富に使用し，なるべく平易な言葉で解説することで，小学校高学年から中学生でも理解できる内容を目指して作成した．

コンテンツは日本小児循環器学会移行医療委員会が作成した原稿，厚労科研難治性疾患政策研究事業「成育医療からみた小児慢性特定疾病対策の在り方に関する研究」（研究代表者 賀藤均）研究班が作成した社会保障制度に関する解説に，独自の新規コンテンツを追加して作成した．一般公開にあたっては，内容に精通した日本小児循環器学会評議員（小児循環器内科医3名，心臓血管外科医3名）に確認を依頼し，妥当性を確保した．

一般向けウェブサイトは「それぞれの病気について」「心臓の手術や治療について知る」「心臓病とともに生きるために」「動画で学ぶ」から成る．「それぞれの病気について」では，「心房中隔欠損症」「心室中隔欠損症」「ファロー四徴症」「単心室症」などに加え，先行研究で理解が乏しいとされる「感染性心内膜炎」について解説した．「心臓の手術や治療について知る」では，「心臓病でよく使われる薬」「カテーテル検査と治療」「心臓手術を受ける前に」「心臓手術の流れ」「心臓手術を受けた後」「不整脈の種類と治療」「フォンタン手術について」などを解説した．「心臓病とともに生きるために」では，「なぜ定期受診が必要」「移行医療って何？」「心臓病にかかわる社会保障制度」「心臓病の人の妊娠・出産」「患者会について」を解説した．「動画で学ぶ」では，正常心の構造を解説すると同時に，「それぞれの病気について」で取り上げた疾患について動画を用いて解説した．また，外来診療等に従事する医師が一般向けウェブサイトを印刷し患者・家族に配布できるよう，PDF形式の資料も掲載した．

日本小児循環器学会SNS公式アカウント

SNS公式アカウントに関しては，幅広い年代を対象としつつ，保護者である親世代，および受診中断が多いとされる20～40代^21）を主な対象に据え，該当世代のアクティブユーザーが多いInstagram^22）を中心に情報発信を行う方針とした．加えて拡散力を考慮してX（旧Twitter）^23）を，患者会などを通じて情報共有を促すためFacebook^24）を利用して情報発信することした．

SNSによる情報発信では「信頼性の高い情報」「理解しやすさ」「定期的・継続的な情報発信」の3つを重視した．コンテンツ作成からSNSの情報発信までの流れをFig. 1に示す．ウェブサイトの内容を一部抜粋してInstagramに則したレイアウトに編集し，これを事前に広報委員メンバー（小児循環器内科医1名，心臓血管外科医1名，看護師2名）で共有し，事実確認や表現の適切性を討議し，加筆・修正を行い「信頼性の高い情報」「理解しやすさ」の確保に努めた．毎週金曜日，InstagramとFacebookには同様の内容を，XにはInstagramへのリンクと内容の一部を紹介した投稿を行った．なお，全てのSNSにおいて有料広告による拡散は行わなかった．

Fig. 1 コンテンツの概要とSNSによる情報発信までの流れ

各SNSアカウントのプロフィールに，投稿へのコメントやメッセージの返信は行わない方針であること，「先天性心疾患・子どもの心臓病は個別性が高いため，病気については，必ず主治医にご相談ください」と記載し，あらかじめダイレクトメッセージやコメントができない設定とした．また，一般向けウェブサイトの問い合わせ欄にも同様の内容を掲載した．また，いわゆる「炎上対策」としてSNSに投稿可能なメンバーは広報委員のみとし，リアルタイム性と同時にプライバシーの保護に十分留意し，公益性の高い内容のみを発信することを基本方針とした．

アクセス解析

一般向けウェブサイトのアクセス解析は，Google社が提供するGoogleアナリティクスを利用し，2022年8月1日から2024年11月30日までの期間のウェブサイトの閲覧数（Googleアナリティクスにおける「セッション数」．ウェブサイトに訪問してから離れるまでのユーザーの行動を1回としてカウント），PDFのダウンロード回数，アクセス端末，流入経路，閲覧数の多かったページ，アクセスに至った検索キーワードを集計した．検索キーワードについては，クリック数（実際にページがユーザーに表示された回数），および表示回数（検索結果一覧にページが表示された回数）を集計した．また，キーワードのクリック数に基づきワードクラウドを作成した．ワードクラウドの作成にはChatGPT-4oを用いた．

SNSの解析は，同期間の日本小児循環器学会公式SNS（Instagram, X, Facebook）のフォロワー数，表示数（インプレッション数），「いいね！」数を分析した．フォロワーのユーザー特性が分析可能なInstagramについては，同期間のフォロワーの年齢，性別を分析した．

倫理的配慮

本研究は，個人を特定しない情報を用いて実施した．研究の実施にあたっては公立大学法人横浜市立大学の人を対象とする生命科学・医学系研究倫理委員会で承認を得て行った（承認番号：一般2024-037）．

一般向けウェブサイトのアクセス解析

対象期間の一般向けウェブサイト総閲覧数は323,271件であった．閲覧数は，公開後から2022年12月までは3,000～4,000件/月だったが，その後徐々に増加し2023年4月には12,544件/月に達し，その後は10,000～17,000件/月を推移していた（Fig. 2）．PDFの総ダウンロード数は2,956件であった．

Fig. 2 日本小児循環器学会一般向けウェブサイトの月あたりの閲覧数の推移とSNSのフォロワー数の推移

流入経路は，検索トラフィック（検索からのアクセス）281,679件，ノーリファラー（ブックマークなどの直接アクセス）25,696件，参照トラフィック（他サイトのリンクからのアクセス）11,425件，SNSからのアクセス3,709件，動画サイトからのアクセス82件，不明680件であった（Table 1）．アクセス端末は，スマートフォン189,832件，PC 59,861件，タブレット4,383件，スマートTV 13件であった（Table 1）．

閲覧数に関して，クリック数の多かった上位10ページは，「心室中隔欠損症」45,306件，「フォンタン手術について」35,192件，「トップページ」34,404件，「心臓病でよく使われる薬」30,543件，「心臓手術を受けた後」29,979件，「ファロー四徴症」28,515件，「【動画で学ぶ】チアノーゼって何？」27,543件，「完全大血管転位症」20,877件，「心房中隔欠損症」19,501件，「心臓手術の流れ」19,456件であった．18位の「心臓病にかかわる社会保障制度」11,491件までが閲覧数1万件を超えていた（Table 1）．表示回数は，「チアノーゼ」288,330件，「ファロー四徴症」164,863件，「心室中隔欠損症」156,200件，「チアノーゼとは」95,708件，「心房中隔欠損症」63,498件の順で多かった（Table 1）．

検索に関して，クリック総数は59,519件であり，アクセスに至った検索キーワード上位10件は，「フォンタン手術」2,069件，「心室中隔欠損症　新生児　気をつけること」1,745件，「心室中隔欠損症」1,378件，「チアノーゼ」922件，「カテーテル検査と治療の違い」830件，「心房中隔欠損症　大人になって」814件，「不整脈　出産リスク」752件，「心臓の薬」651件，「ファロー四徴症」649件，「心室中隔欠損症　気をつけること」594件であった（Table 2）．アクセスに至った全検索キーワードを反映させたワードクラウドをFig. 3に示す．

Fig. 3 日本小児循環器学会一般向けウェブサイトの検索キーワードを用いたワードクラウド

各SNSのアクセス解析

各SNSフォロワー数の推移をFig. 2に示す．Xはアカウント開設後にフォロワー数が2,000名を超え，その後緩徐に増加し，2024年11月30日時点で3,686名となっていた．Instagramは継続的にフォロワー数が増加し，同時点で2,710名となっていた．Facebookは他のSNSに比べ増加傾向は緩徐で，同時点で182名にとどまった．Instagramのユーザー特性をFig. 4に示す．年齢層は25～44歳が70％以上を占め，79.1％が女性であった．

Fig. 4 Instagramのユーザー特性

Instagramの「いいね！」が多かった投稿をTable 3，Xの表示数（インプレッション数）が多かった投稿をTable 4に示す．Instagramの「いいね！」が多かった投稿は，「先天性心疾患は手術をしたら完全によくなるの？（2024年1月26日投稿）」153件，「心臓の手術が始まるまで（2023年11月10日投稿）」146件，「ファロー四徴症（1）なぜこのような形になるの？（2024年6月14日投稿）」141件，「先天性心疾患は約何人に1人？（2024年2月9日投稿）」133件，「フォンタン手術ってどんな手術？（2023年8月25日投稿）」132件であった．Xの表示数（インプレッション数）が多かった投稿は「心臓病でよく使われる薬4抗血小板薬，抗凝固薬（2024年3月24日投稿）」62,307件，「完全大血管転位症の手術後の方へ（2023年11月16日投稿）」50,312件，「心室中隔欠損症（1）どんな病気？症状は？（2024年4月9日投稿」47,653件であった．

本研究では，日本小児循環器学会が作成した一般向けウェブサイトおよびSNSのアクセス解析を行った．対象者に一定数の医療従事者や医学生，看護学生などの医療系学生が含まれている可能性はあるが，本研究で得られた重要な知見は以下である．1. 患者数の多い疾患と重症度の高い疾患に関する情報ニーズが高い．2. 子どもの症状，成人期以降の病状に関する情報ニーズが高い．3. SNSからの一般向けウェブサイトへの流入は限定的だが，想定した集団に情報を届けられている可能性がある．以下，3点について考察する．

1. 患者数の多い疾患と重症度の高い疾患に関する情報ニーズ

本研究では，閲覧数の多かったページに，「心室中隔欠損症」「ファロー四徴症」「心房中隔欠損症」が含まれていた．また，検索キーワードのクリック数においても，「心室中隔欠損症　新生児　気をつけること」「心室中隔欠損症」「心房中隔欠損症　大人になって」「ファロー四徴症」「心室中隔欠損症　気をつけること」が上位に含まれていた．小児循環器学会が実施している小児期発生心疾患実態調査では，心室中隔欠損が最多，次いで心房中隔欠損であり，これらで先天性心疾患の発生数の6割強を占める^25）．また，ファロー四徴症の発生数は全体で4番目に多く，チアノーゼのある先天性心疾患では最多となっている^25）．本研究結果から発生頻度が高く，患者数の多い疾患に関する情報ニーズの高さが示唆される．加えて，アクセス解析における閲覧数や検索クリック数は患者数を反映していると推定され，情報ニーズを把握するための指標として一定の妥当性を有すると考えられた．

一方，閲覧数では「フォンタン手術について」「【動画で学ぶ】チアノーゼって何？」「完全大血管転位症」，検索クリック数では「フォンタン手術」「チアノーゼ」などが上位に含まれており，重症例に関する情報ニーズの高さも示唆された．一般向けウェブサイト公開以降，「それぞれの病気について」には発生数の多い疾患から順に解説が追加されている．しかし，現時点では発生数の多い疾患のうち「大動脈縮窄」「総肺静脈環流異常症」「左心低形成」「両大血管右室起始」などは未掲載である．このうち，「総肺静脈環流異常症」「左心低形成」「両大血管右室起始」は成人期では中等症以上に分類される疾患であり^26），解説の追加により重症例に対する情報ニーズにも応えられる可能性がある．

2. こどもの症状，成人期以降の病状に関する情報ニーズ

本研究では，疾患に関する情報が閲覧・検索されていることに加え，「唇が紫になる原因　こども」「チアノーゼ　唇　こども」といった，症状に関する検索も多く行われていることが示された．一般向けウェブサイトのアクセス解析ではユーザー特性に関する情報は取得できなかったが，Instagramのユーザー特性の分析では，年齢層は25～44歳が多く，約8割が女性であった．これらを考慮すると，病児の養育者，特に母親が，症状から本学会のウェブコンテンツを検索・閲覧していることが示唆される．また，「不整脈　出産　リスク」「心房中隔欠損症　大人になって」「心室中隔欠損症　大人になってから」など，ACHD患者本人による検索と思われるキーワードも散見された．心室中隔欠損症や心房中隔欠損症など，続発症がなければ比較的軽症と考えられるような疾患でも，患者本人は体調変化などに不安を感じていることが推察される．さらにワードクラウドでは「不整脈　妊娠できる」や「心臓病　出産できない」との検索も散見され，先天性心疾患の妊娠・出産に関する医療側からの情報提供が不足している可能性も推察される．

ACHD患者の自覚症状は，受診中断後の再受診の最大の理由となっていると報告されている^5）．症状で検索した患者に適切な情報を提供することは受診継続だけでなく，受診中断者の再受診促進にも寄与する可能性がある．一般向けウェブサイトにおける症状に関するコンテンツは，「チアノーゼって何？」「不整脈の種類と治療」などがある．今後は，小児期に注意すべき症状や，成人期の心不全症状や出産後の注意点などに加え，受診が必要な症状・病状に関する解説の充実が必要と考えられる．

3. SNSを通した情報発信

本研究結果では，特にXとInstagramで継続的なフォロワー数の増加を認めた．海外ではSNSを活用する医療系学会は既に多くある．アメリカ心臓協会（AHA: American Heart Association）は2010年からXを開始し，2025年1月時点でフォロワーは32万人を超えている^27）．近年，日本でもSNS運用を開始する医療系学会や医療機関は増加しており，日本循環器学会のX公式アカウント（2017年から開始）はフォロワー数が2万人超^28）と国内の医療系学会の中でも有数である．日本循環器学会をはじめとした国内の医療系学会は医療者向けがほとんどだが，当学会の情報発信は，一般向けウェブサイトの活用促進，正確な医療情報の提供，社会における先天性心疾患の理解促進を目的とし，対象者を「一般市民」としている．日本循環器学会などに比べるとフォロワー数は限られているが，疾患の特殊性や対象者を一般市民に絞っていることを考えると，一定の情報発信力をもちつつあると思われる．

現在，日本国内のSNS利用率はX 46％，Instagram 49％，Facebook 33％とされている^29）．これらのSNSのうち，我々は情報発信の対象者を養育者である親世代とライフイベントによる受診中断の多い20～40代に設定し，アクティブユーザーが10～30代が中心とされているInstagramを主軸として^29）情報発信を行ってきた．学会公式Instagramにおけるフォロワーは，前述の通り25～44歳の女性が最も多かったことから，設定した対象集団にリーチできていると考えられる．

一方，SNSから一般向けウェブサイトへのアクセス件数は3,709件で全アクセスの1％にとどまった．この原因として，仕様上，SNSの各投稿にウェブサイトへの直接リンクを貼ることはできないこと，SNSの投稿自体で情報量が多くウェブサイトにアクセスする必要性が低いこと，SNSがウェブサイトへの流入経路ではなく，それ自体で独立のメディアとして成立している可能性などが考えられるが，本研究で得られたデータからは原因の特定は困難であった．

表示数（インプレッション数）や「いいね！」が多かったコンテンツは，Xでは「抗血小板薬・抗凝固薬」といった，広く多くの患者の関心が得られる情報の表示数が多かった．一方，Instagramは，「移行医療」「フォンタン術後」「ファロー四徴症術後」などに関する投稿の際に「いいね！」の数が多い傾向があり，当事者性や重症度が高い内容の関心が高いことが推察された．Facebookは他のSNSと比べて拡散効果は低かったが，情報発信には一定の意義があると考えている．Instagramは画像や動画を主体とした情報発信であり，患者教育や医学教育に有用性を示す海外からの報告が既にある^30–32）．SNSのあり方は今後も変遷していくと思われるが，時代に合わせてプラットフォームの特性を活かして情報発信することが重要だろう．

本研究の限界

本研究の限界として，一般向けウェブサイトのユーザー特性の分析ができなかったこと，発信した情報に関する利用者の直接的な反応は評価できていないことが挙げられる．一般向けウェブサイトやSNSにアクセスする対象者の中には医療従事者や医学生，看護学生など医療系学生が含まれている可能性があり，これらが集計結果に影響した可能性は否定できない．

2022年8月1日から2024年11月30日までの日本小児循環器学会一般向けウェブサイトに対するアクセス解析を実施した．その結果，患者数の多い疾患と重症度の高い疾患に関する情報ニーズが高いこと，子どもの症状，成人期以降の病状に関する情報ニーズが高いこと，SNSは想定した集団に情報を届けられている可能性があることが示唆された．