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特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 41(1): 1-2 (2025)
doi:10.9794/jspccs.41.1

巻頭言Preface

祝 小児循環器専門医は日本専門医機構に認定されましたCongratulations on Pediatric Cardiology Field Approved as a Subspecialty by the Japan Medical Specialty Organization!

1日本小児循環器学会専門医エリア担当理事Board of Directors (especially for specialist field) in Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

2埼玉医科大学総合医療センター小児科Department of Pediatrics, Saitama Medical Center, Saitama Medical University ◇ Saitama, Japan

発行日:2025年2月28日Published: February 28, 2025
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2025年2月末に小児循環器専門医が日本専門医機構(以下,機構)に認定されたとのうれしいお報せが届きました.長年にわたり学会として切望してきた認定です.小児循環器専門医(機構認定)は小児科専門医(機構認定)のサブスぺとして初の認定を,ほかの新生児(領域)と一緒に受けたということです.小生は現在の専門医エリア担当理事として,ここまでご尽力されてきた多くの皆様に心から感謝申し上げます.小児循環器専門医は基本領域として小児科専門医のみの二階の専門医になります.小児循環器専門医の基本領域が小児科専門医のみになる点がこれまでと違うことの一つです.

専門医制度は大きく変わりますが,基本的に大丈夫です.安心してください.これから専門医を取得される皆さんは,今までの日本小児循環器学会専門医の仕組み(旧制度)と同様に小児循環器の研修を積み,症例要約を30症例,書いてください.日本専門医機構の新制度になるともう30例をリストしていただき,合計60症例のリストを書いていただく必要があります.これは日本専門医機構が求める“共通の専門医像”という要件のために加わりました.リストのみの30例は症例要約を思えば,たいしたことはないかもしれません.人の記憶とは儚いものです.要約まで書く症例とリストにだけ載せる症例をこまめにリストアップしておくことがコツです.濃厚な記憶のある間に症例要約を書いてしまえば時間を節約できます.そのほかの要求される経験も,大きな変更はありません.

新制度になってもきっと大丈夫なのは,これまでの日本小児循環器学会の専門医制度が磨き抜かれた素晴らしい制度であり,その土台の上に要件があまり変わらないように新制度を計画して申請し,受理されたからです.もちろん若干の変更点はあります.HPに順次案内を掲載していきますのでご参照ください.アンテナを十分に張って,自分に必要なことは何かを自ら把握し,疑問点はお尋ねください.

しばらくは現在の旧制度と,日本専門医機構認定の新制度が選べる状態になります.ただし小児科専攻医期間を終えて,2025年度以降に小児循環器の専攻医を開始する先生は新制度のみになります.新制度では小児科専攻医の期間を小児循環器の研修期間として含めることは認めていません.その代わり小児循環器の研修期間を最低で2年とし,カリキュラムが終了すれば最短で医師8年目に専門医を受験できることは旧制度と同様です.これから新制度で受験する可能性が少しでもある先生方は,2025年4月からの研修開始届を提出してください.旧制度で受験できる方であれば,新制度の研修開始届を提出したからといって旧制度で受験できなくなるわけではありません.

旧制度ですでに日本小児循環器学会の専門医を取得されている先生方が,いつの時点の更新から機構専門医に変わり得るか,その条件は何かについても順次HPに掲載していきます.小児科専門医が機構認定になった際の移行プロセスを模して制度を考案しています.更新の要件も,旧制度のルールから,小児科専門医(機構認定)のルールに近いものになる予定です.ただし継続については機構の審査はこれからになりますので,今後変更になる可能性があります.目下,新制度での専門医の更新に向けて内科系教育委員会を中心にe-learningの仕組みを検討くださっています.こちらの構築には時間と費用がかかるため,実際の運用はまだ先になります.

大変になっていくこともあるかもしれません.例えば心臓カテーテルの経験症例数です.小児の数が減っていること,画像診断法の発達により診断カテーテルの数が減っていることなどが要因として挙げられます.しかし今回の制度設計では心臓カテーテルの要求数を減じることはしませんでした.それはカテーテル治療を専門としない小児循環器専門医であっても,小児循環器専門医を称するには最低限の心臓カテーテルの経験は欠かせないと考えたためです.地域の拠点化や施設群の再構築などにより十分な経験が積めるように地域ごとの調整が必要かもしれません.そして今までもこれからも,専門医取得はゴールではなく通過点です.専門医を取得したら一人前ということではなく勉強・修行は一生ですし,これからの専門医を育てていく使命があります.2025年7月に津で開催される小児循環器学会学術集会では,最終日の昼過ぎに,“小循専門医を取ろう,育てよう,深めよう,盛り上げよう!(専門医エリア)”という委員会セッションがあり,専門医取得のTipsや新制度についてもご紹介していきますので是非ご参集ください.

これから新制度のみに一本化されるまでが移行期です.これから小児循環器専門医になる皆さんも,指導医の皆さんも一緒に乗り切っていきましょう.どうぞよろしくお願い申し上げます.

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