肺高血圧の血行動態診断:肺血管抵抗・キャパシタンス・インピーダンスから考える
独立行政法人地域医療機能推進機構九州病院 小児科
小児の肺高血圧はその病態の多様性故に適正な評価を行い,治療方針を決定することが望ましい.本来,肺動脈圧は肺血流量と肺血管抵抗(R)の積で表されるが,高い血管キャパシタンス(C)を持つ肺循環では,RとCの合成抵抗(インピーダンス)として捉える必要がある.Cは肺への一回拍出量を肺動脈の脈圧で除したものと表され,RとCの積は時定数τとなり変時的肺血管容量を反映する.時定数τは年齢,心拍数,左房圧により若干変化する.RとCをプロットした双曲線(RC連関)をみた場合,実臨床で取り扱うR値においてC値の変化は無視できず,C値の変化はより鋭敏に肺血管床の状態を反映する.小児の肺高血圧の主たる病態は先天性心疾患による左右短絡,左心狭窄病変,肺胞低換気,肺血管閉塞性病変および肺血管床低形成であり,この5病態がどの程度寄与しているかを知ることが肺高血圧の血行動態診断として重要である.各病態因子を修飾しつつ肺動脈圧の変化やRC連関を確認することが肺高血圧の適正診断において有用であろう.
Key words: pulmonary vascular resistance; capacitance; impedance; time constant
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