Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 39(2): 78-90 (2023)
doi:10.9794/jspccs.39.78

Review

新生児の心機能評価

1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 小児科

2埼玉医科大学総合医療センター

発行日:2023年8月1日
HTMLPDFEPUB3

出生に際して臍帯胎盤循環が消失し,呼吸確立により肺血管抵抗が低下する.その結果,後負荷は右室で低下し,左室では増加する.出生後は両心室とも拍出量は増加し,右室の左室に対する拍出量比は低下する.この胎児循環から新生児循環への大きな変化は,多くの正常成熟児では容易に対応できるが,早産児では未熟性ゆえに負荷条件の変化に適応が難しく,一部で不適応(循環不全)を生じる.循環不全は,血管の脆弱性・未熟な止血能と相まって頭蓋内出血などの予後に大きな影響を与える合併症につながり得る.したがって,循環不全の成因を正しくとらえ,適切に介入し,不適切に介入しないことは,早産児や病的新生児の予後改善につながり得る.日本では生後早期の早産児に対して,新生児科医が心臓超音波検査を頻回に行い,その評価に基づく新生児管理が行われている.こうした細やかな循環管理は世界でも稀で,優れた日本の新生児医療の治療成績に貢献していると考えられている.本稿では,現在日本で行われている新生児の循環評価法および治療について概観し,代表的な循環不全の病態について述べる.

Key words: neonate; cardiac function; end systolic wall stress; mean velocity of circumferential fiber shortening; cardiac output

This page was created on 2023-08-01T16:19:34.648+09:00
This page was last modified on 2023-09-22T10:02:22.000+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。