Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 39(4): 227-235 (2023)
doi:10.9794/jspccs.39.227

Review

心房中隔欠損のカテーテル治療

静岡県立こども病院 循環器科

発行日:2023年12月31日
HTMLPDFEPUB3

経皮的心房中隔欠損閉鎖術が国内で始まり,約20年を迎えようとしている.現在では,開胸のいらない低侵襲な治療法として,幼児から高齢者まで幅広い年代で標準治療として施行されている.対象は,二次孔型の心房中隔欠損であり,一次孔型,静脈洞型,冠静脈洞型は適応外である.また二次孔型でも欠損孔の位置や大きさによっては対象外となるため,経食道を含めたエコーでの詳細な診断が重要になる.現在,国内では3種類のデバイスが使用可能で,その特徴を十分理解したうえで,重大な合併症となる心侵食や脱落に十二分な注意を払い治療にあたる必要がある.

Key words: septal occluder; erosion; embolization

はじめに

心房中隔欠損に対する閉鎖栓による閉鎖術は,古くは1976年に米国でKingとMillsによって最初の報告がされている1)

.これは,カテーテル治療では1975年の金属コイルや1977年の冠動脈バルーン拡張,先天性心疾患の外科手術では,1971年のFontan術や1976年のJatene術と同時期にあたる.その後,1987年に心房中隔裂開術でも有名な米国のRashkindにより,現在の閉鎖栓の原型となる2枚傘タイプのデバイスによる閉鎖術が施行された.以後,デバイス形態に改良が加えられながら,1997年にAmplatzer™ Septal Occluder(Abbott, USA)が登場した2)ことで,世界中で広く普及し,現在では外科的閉鎖術と並ぶ標準治療となっている3–5)

国内においては,2005年から治療が始まり,現在までに累計15,000例に達し,近年では年1,300~1,500件程度が実施されている.治療には,施設基準および術者基準があり,日本先天性心疾患インターベンション学会(JCIC)と日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)による教育プログラムの受講が必須となっている6)

閉鎖栓は,ワイヤーメッシュ型デバイスとして導入当初から使われてきたAmplatzer™ Septal Occluder(Abbott, USA)に加え,2016年からはOcclutech Figulla® FlexII Occluder(Occlutech, DEU)が,ワイヤーフレーム型デバイスとして2021年にGORE® CARDIOFORM ASD Occluder(GORE, USA)が承認され,現在国内で3種類のデバイスを用いた治療が可能となっている(Fig. 1

).海外ではほかにも数種類のデバイスが上市されている.

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Fig. 1 国内で使用可能な閉鎖栓

左上段 Amplatzer™ Septal Occluder; 左下段 Amplatzer™ Multifenestrated Septal Occluder(アボットメディカルジャパン合同会社提供).中央 Occlutech Figulla® FlexII Occluder(日本ライフライン株式会社提供).右 GORE® CARDIOFORM ASD Occluder(日本ゴア合同会社提供).

治療の適応

心房中隔欠損は,欠損孔の部位により,卵円窩を含む二次孔型,静脈洞型,一次孔型,冠静脈洞型に分類される.このうち閉鎖栓を用いての治療は,二次孔欠損を対象としている.治療適応は外科手術と同等で右心系容量負荷症例(目安としてQp/Qs>1.5),心房性不整脈合併例,右左短絡に伴う奇異性塞栓症発症例やチアノーゼ症例(体位変換性低酸素血症:platypnea-orthodeoxiaを含む)である7, 8)

.肺高血圧を合併する場合には,体肺動脈圧比,肺体血管抵抗比や酸素負荷や薬物負荷試験による肺血管病変の反応性を加味して閉鎖の適応が判断される.

除外基準としては,デバイス以上の欠損孔径がある症例(欠損孔が38 mmを越える場合),欠損孔の周囲縁が乏しい症例(欠損縁から冠静脈洞,房室弁,右上肺静脈までの距離が5 mm未満),血管内または心臓内に血栓が確認されている例,活動性心内膜炎,菌血症を引き起こす感染症例,心房内に腫瘍のある例,抗血小板薬や抗凝固薬の内服が困難な例,ニッケル,チタンなど製品に対するアレルギー例が挙げられている.このうち,欠損孔の周囲縁に関しては,大動脈周囲縁を除き5 mm以上ある場合が適応とされている.欠損孔の約60%は大動脈周囲に位置する前上縁欠損であり,この部分の周囲縁に関しては5 mm未満であっても適応から除外されない9)

.さらに,周囲縁の乏しさは欠乏する範囲も重要で,範囲が限定的である場合などでは,下方,後方,上方の辺縁欠損例に対する治療報告もある10).また二次孔欠損であっても有意な短絡を伴う部分肺静脈還流異常など治療が必要な他の合併形態異常がある場合には外科的修復術の適応となる.

適応を慎重に判断された二次孔欠損のカテーテル治療の成績は外科手術と同等と報告3–5)

されていること,カテーテル治療の開胸および人工心肺が不要といった身体的な低侵襲性,手術痕が残らない審美性,入院日数が短いといった社会的負担の軽減から,多くの施設で形態的に適した心房中隔欠損では,カテーテル治療が第一選択の治療法として選択されるようになっている.

検査

通常,最初に経胸壁心エコーが実施され,明らかな容量負荷を認める場合には,治療適応と判断する.また容量負荷が経胸壁心エコーではっきりしない例で欠損孔サイズがある場合には,心臓MRIで肺体血流比を確認し治療適応を判断する.部分肺静脈還流異常などほかの心疾患を合併する場合には,外科手術の適応となるので,心エコーやCT,MRIなどで診断を明確にする必要がある.

カテーテル治療のための心エコーでは,欠損孔の位置,サイズ,周囲縁,中隔の整列不整(septal malalignment:一次中隔と二次中隔の付着位置の偏位)などを入念に観察し,欠損孔の解剖学的特性を把握する.加えて心房中隔長,欠損孔が多孔性かどうか,肺静脈還流や冠動脈走行異常がないかも観察する.通常,これらは経食道心エコーで観察されることが多いが,幼児期など体格が小さいうちは経胸壁心エコーでの描出精度が良く,事前の経食道心エコー検査が施行されない場合もある.

治療手技

治療手技は心房内の閉鎖手技となり,血栓塞栓症への十分な配慮が必要となる.このため,手技の少なくとも24時間前にアスピリン(3~5 mg/kg/日)またはその他の抗血小板薬・抗凝固薬による抗血栓療法を開始する.治療当日も内服のうえで治療手技を行う.

まず治療に先立ち経食道エコー(施設によっては血管内エコー)で,前述した欠損孔の解剖学的特性を把握する(Fig. 2

).

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Fig. 2 経食道心エコーでの欠損孔の観察

6歳児例.心臓MRIで体肺血流比1.7.経食道心エコーでの各角度での欠損孔の周辺縁(rim)の観察.前上縁欠損で,大動脈周囲縁が少ないが,その他の周囲縁(房室弁縁,後縁,後下縁,左房天井,上下大静脈縁,冠静脈洞縁,房室弁縁,肺静脈縁)は5 mm以上であった.

通常,カテーテルは大腿静脈からアプローチする.術中のACTを200秒以上に維持できるように十分なヘパリン化を行い治療に先立って,右心カテ,サンプリングを実施し,弁輪や分岐部を含めた肺動脈狭窄,体肺血流比などを評価する.また左心室のコンプライアンス低下例では,閉鎖後の左房圧上昇により肺うっ血を来すことがあるため,術後の血行動態評価のため,左室拡張末期圧,肺動脈楔入圧もしくは左房圧を測定し術後と比較できるようにしておく.特に高齢者では,左室拡張末期圧が高値の場合に,抗心不全療法を施行,さらに欠損孔のオクルージョンテストで,肺動脈楔入圧の過剰な上昇の有無を確認することがある.

次に左上肺静脈にカテーテルと誘導し,空気が混入しないように注意を払い,Amplatz Super Stiff™ Guidewire(Boston Scientific, USA)やAmplatz型エクストラスティフガイドワイヤー(COOK, USA)などの治療用ガイドワイヤーを留置する.

続いて,欠損孔のバルーンサイジングを施行する.サイジングバルーンは,Abbott社製のAmplatzer™ Sizing BalloonII(18 mm, 24 mm, 34 mm)とOcclutech社製のOcclutech® Sizing Balloon(25 mm, 35 mm)の2種類がある.いずれも保険償還されていないため,算定対象外となる.バルーンは事前に3~4倍希釈造影剤を注入し,空気を抜いておく.続いて,治療用ガイドワイヤーに沿って体内に導入する.心房中隔に到達したら,バルーン中央が欠損孔になるように調整し,エコーで短絡を確認しながら,拡張する.過剰なバルーン拡張による欠損孔の過大評価は誤ったデバイスサイズ決定につながるため,短絡がちょうど消失するところで注入を止めて,バルーンの外径をエコー上で測定し計測する,いわゆるストップフロー法が推奨されている11)

Fig. 3).エコーでは,バルーンの中心が描出されていないと過小評価になるため注意が必要である.バルーンサイジングで得られた欠損孔のサイズから閉鎖栓のサイズを決定し選択する.施設やもともとの欠損孔のサイズによっては,バルーンサイジングを施行せず,もともとのサイズから推測した数mm大きいデバイスを選択する場合もある.

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Fig. 3 バルーンによる欠損孔のサイジング(ストップフロー法)

Fig. 2と同様の症例.Amplatzer™ Sizing BalloonII18 mmにてストップフロー法によるバルーンサイジングを施行.エコーでは,バルーンのシャフトが全長にわたって状出されている点に注意し,バルーンの外側で計測.心臓MRIのenface viewで描出された欠損孔面積から正円として算出された欠損孔径はストップフロー法により計測された欠損孔径とよく相関する.

閉鎖栓の種類,サイズが決まったら,デリバリーシースや閉鎖栓の準備を行う.デリバリーシースを左房もしくは肺静脈内に誘導する.ダイレーターおよびワイヤー抜去時は,空気を引き込まないように心房より低い位置で十分に逆血を確認する.左房,肺静脈内への空気の引き込みは,全身麻酔に伴う陽圧呼吸管理下よりも,胸腔内圧が陰圧を伴う自発呼吸下でより注意が必要で,水中下での施行が推奨される.デリバリーシースへの閉鎖栓挿入の際にも空気の混入に注意が必要である.また,GORE® CARDIOFORM ASD Occluderは閉鎖栓とデリバリーシステムが一体化しており,デリバリーシースを使用しない場合もある.

ワイヤーメッシュ型デバイスは,通常,左房内で左房ディスクを展開し,中隔上までひきつけ,残るウエスト部,右房ディスクを展開し,中隔を挟み込むように留置する(Fig. 4-1, 2

).ワイヤーフレーム型デバイスでは,左房内での前進に注意しながら左房ディスクを完全に展開すると漏斗形状となるため,この状態で中隔上までひきつけ,さらに右房ディスクを展開すると,両ディスクが平面上となり中隔を把持し留置される(Fig. 4-3).欠損孔が大きい場合,大動脈周囲縁が広く欠損する場合,左房が小さい場合などでは,通常の展開では閉鎖栓が右房側に脱落してしまうことがある.この場合には,肺静脈アプローチ(特に右上肺静脈)やバルーン,ワイヤーアシストなどの方法が用いられる.

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Fig. 4 留置手技

1)7歳児例.MRIによる体肺血流比2.6, enface viewでの欠損孔は20.8 mmであった.経食道エコーでの欠損孔径は,18.0×16.0 mm.周辺縁は,大動脈縁は欠損していたが他の部位では5.0 mm以上であった.ストップフロー法によるバルーンサイジングにて欠損孔径は20.5 mm.Occlutech Figulla® FlexII Occluder21 mmを選択.上段は,左から展開された左房ディスク,展開中の右房ディスク,中隔を挟み込んでの留置.下段は左から右房側へ引き付けるwiggle, 左房側に押し込むwiggle, リリース後の閉鎖栓.2)7歳児例.Fick法による体肺血流比2.7.経食道エコーでの欠損孔径は,16.5×15.4 mm.周辺縁は,大動脈縁2.7 mm以外は5.0 mm以上であった.ストップフロー法によるバルーンサイジングにて欠損孔径は20.4 mm.Amplatzer™ Septal Occluder 20 mmを選択.上段は,左から右上肺静脈方向からのアプローチ,展開された左房ディスク,中隔への引き付け.下段は,左から展開中の右房ディスク,中隔を挟み込んでの留置,リリース後の閉鎖栓.3)11歳児例.Fick法による体肺血流比2.0.経食道エコーでの欠損孔径は,10.3×9.7 mm.周辺縁は,大動脈縁2.5 mm以外は5.0 mm以上であった.ストップフロー法によるバルーンサイジングにて欠損孔径は13.2 mm.GORE® CARDIOFORM ASD Occluder 32 mmを選択.上段は,a)左房内に到達したデリバリーカテーテル,b–d)左房ディスクの展開,e)中隔への引き付け.下段は,f–h)右房ディスクの展開,i)展開後のディスク形態.左右のディスクの直径が同程度で明確に分離され,ウェストがはっきり観察される,j)ロック後の閉鎖栓.矢印部にロックループが確認される.

留置後は,エコーで,周囲縁の把持状況,周辺組織との接触・圧迫様式,遺残短絡等を確認し,デバイスの脱落,エロージョンと呼ばれる心侵食,遺残短絡,上下大静脈や肺静脈,冠状静脈洞からの血流阻害を予防する.さらに,wiggleと呼ばれるケーブル,シースごとデバイスに押し引きを加える動作により,デバイスの脱落の有無を確認する.ワイヤーフレーム型デバイスでは,さらにロックと呼ばれる操作によって,デバイスへのデリバリーシステムによる張力を排除した状態でも評価を行う.問題がなければ,デバイスをリリースし手技は終了となる.

治療後

術後は,抗血小板薬を半年間投与する.大きな閉鎖栓使用など内膜化遅延の可能性がある場合などでは,抗血小板薬2剤併用投与が考慮される.心房細動や奇異栓塞栓既往例では,適切な抗凝固薬を継続する.また閉鎖栓の脱落を防ぐため,内膜化が進むまでの間,この時期は抗血小板薬内服期間にも該当し,コンタクトスポーツに関しては制限が推奨される.

治療成績とリスク・合併症

手技成功率は,Amplatzer™ Septal Occluderで97.9%12)

,Occlutech Figulla® FlexII Occluderで98.3%13)と報告され,高い成功率が示されている.一方でカテーテル治療施行にあたっては,外科的閉鎖術と異なる特有のリスクや合併症に留意が必要である.合併症としては,閉鎖栓の脱落・位置不良,エロージョンとそれに伴う心タンポナーデ,完全房室ブロックを含む不整脈,手技中の心穿孔や空気塞栓,穿刺部関連の血腫,血栓塞栓症,感染性心内膜炎,頭痛,デバイスへのアレルギー,ワイヤーフレーム型デバイスではワイヤーフレームの破断などが報告されている12, 14).また,国内での治療関連死亡はないが,米国では報告があり,心侵食や心穿孔,脱落,空気塞栓などが原因となっている.

エロージョンの多くは,術後72時間以内といった早期に生じ,心嚢液貯留から心タンポナーデを生じる.発生率は,米国市販後調査で0.3%12)

,国内ではJCICとCVITの集計で2022年までで21例(約0.15%)が報告されている.術後は,胸痛や呼吸苦出現に注意し,心嚢液の有無,増大等を心エコーで経時的に評価する必要がある.一方で,数か月から数年を経て遅発性に発生した症例も報告されており,退院後も胸痛等の出現や心エコーでの心嚢水の増大といった所見には注意が必要となる.リスク要因としては,欠損孔に対して大きいデバイスが選択された例,大動脈側周囲縁の広範な欠損例,心房中隔の整列不整例などが挙げられている15–18)

閉鎖栓の脱落に関しては,ほとんどが術中もしくは術直後に生じる.国内ではJCICとCVITの集計で2022年までで71例(約0.5%)が報告されている.閉鎖栓の大きさや脱落部位によって,経皮的回収術19)

が行われる一方,経皮的回収が難しい場合には外科的開胸術による回収が必要となる.

そのほかの合併症としては,完全房室ブロックを含む不整脈,手技中の心穿孔や空気塞栓,穿刺部関連の血管損傷や血腫,血栓塞栓症,感染性心内膜炎,頭痛,デバイスへのアレルギー,ワイヤーフレーム型デバイスのワイヤーフレーム破断20)

などが挙げられる.このなかで感染性心内膜炎は,従来はデバイスの表面が内膜化されるまでとして,治療後6か月間の歯科治療時などの抗菌薬の予防内服が推奨されていた.しかし近年,遅発性の感染性心内膜炎の報告21)もあり,ハイリスク症例(菌血症を生じやすい患者;コントロール不良なアトピー性皮膚炎,未治療の齲歯,歯周病など.易感染性のある患者;免疫不全,ステロイドや免疫抑制剤使用中など.内膜化が遅延する可能性がある患者;高齢者,大きな閉鎖栓が必要な欠損孔など)では,予防期間の延長や経皮的閉鎖術自体の適応についても慎重に判断する必要があるとされている.また,ワイヤーフレーム型デバイスのワイヤーフレーム破断は約1/3の症例でみられ,大きなサイズのデバイスで多いとされる22).臨床上多くは問題ないとされるが,フラクチャーしたワイヤーによる僧帽弁損傷も報告されており.心房中隔長と使用デバイスサイズをよく検討する必要がある.

3種類の閉鎖栓の特徴

1. Amplatzer™ Septal Occluder(Abbott, USA)

Amplatzer™閉鎖栓は,ニチノール(ニッケルチタン)合金製の細いワイヤーによるダブルディスクで,中にポリエステル製の布がはいったワイヤーメッシュ型デバイスである.左房ディスクの方が大きい構造で,ディスク同士で中隔の辺縁を挟み保持し,中央のウエスト部分が欠損孔をステント効果で閉鎖する.ウエスト径が6~20 mm径までは1 mm刻みで,20 mm以上は38 mm径まで2 mm刻みとなり計25サイズがある.左房ディスク径は,ウエスト径6~10 mmでは,+12 mm, 11~32 mmは,+14 mm, 34 mmから38 mmは,+16 mmとなっている(Table 1

).また,Cribriformと呼ばれる多孔性欠損孔用の同直径2枚のディスクからなる閉鎖栓(Amplatzer™ Multifenestrated Septal Occluder)もあり,ディスク径18, 25, 30, 35 mmの4種類のサイズがある.Amplatzer™閉鎖栓は,シースサイズが小さいこと,ウエスト径12~34 mmで左房ディスクが他社製品より小さいことなどが特徴となる.ディスク自体の剛性が他のデバイスよりも強く把持力が強くなるため,大動脈周囲縁欠損例では不利に働く一方で,後下縁周囲縁の乏しい症例などでは有利に働く場合がある.また,従来はデリバリーケーブルが硬く,デバイスが心房中隔に正対しにくい,留置後ケーブルが接続された形態から,リリース後の形態を予想しにくいといったデメリットがあったが,2021年から導入された超柔軟デリバリーシステムであるTrevisio™デリバリーシステムにより改善された.

Table 1-1 Amplatzer™ Septal Occluder
ウエスト直径(mm)ウエスト長(mm)左房ディスク(mm)右房ディスク(mm)推奨シース(Fr)
9-ASD-0066318146–7
9-ASD-0077319156–7
9-ASD-0088320166–7
9-ASD-0099321176–7
9-ASD-01010322186–7
9-ASD-01111425217
9-ASD-01212426227
9-ASD-01313427237
9-ASD-01414428247
9-ASD-01515429257
9-ASD-01616430267
9-ASD-01717431277
9-ASD-01818432288–9
9-ASD-01919433298–9
9-ASD-02020434308–9
9-ASD-02222436329
9-ASD-02424438349
9-ASD-026264403610
9-ASD-028284423810
9-ASD-030304444010
9-ASD-032324464210
9-ASD-034344504412
9-ASD-036364524612
9-ASD-038384544812
Table 1-2 Amplatzer™ Multifenestrated Septal Occluder
左房/右房ディスク(mm)ウエスト長(mm)推奨シース(Fr)
9-ASD-MF-0181838
9-ASD-MF-0252538
9-ASD-MF-0303038
9-ASD-MF-0353539

2. Occlutech Figulla® FlexII Occluder(Occlutech, DEU)

Figulla® FlexIIもニチノール製ワイヤーによるダブルディスク構造のワイヤーメッシュ型デバイスとなる.ウエスト径6~21 mm径までは1.5 mm刻みで,21 mm以上は36 mm径まで3 mm刻みとなり計16サイズがある.左房ディスク径は,ウエスト径6 mmと7.5 mmで+10.5 mm, 9 mmと10.5 mmで+11.5 mm, 12~33 mmで+15 mm, 36 mmで+16 mmとなっている(Table 2

).左房ディスクの中心にハブがなく,金属ワイヤーも疎なため柔軟であること,ケーブルとの接続がボールジョイント式でデバイスが心房中隔に正対しやすいことなどが特徴となる.柔軟なため左右ディスク間が開きやすく,大動脈周囲縁欠損例や大動脈側の一次中隔と二次中隔の整列不整(septal malalignment)例でより好んで使用される23).また左房ディスクの中心にハブがない点は,内膜化のしやすさにも関係するとされる.

Table 2 Occlutech Figulla® FlexII Occluder
ウエスト直径
(mm)
左房ディスク
(mm)
右房ディスク
(mm)
推奨シース(Fr)
29ASD06616.512.57
29ASD077.518147
29ASD09920.516.57
29ASD1010.522187
29ASD121227239
29ASD1313.528.524.59
29ASD151530269
29ASD1616.531.527.59
29ASD181833299
29ASD1919.534.530.511
29ASD2121363211
29ASD2424393511
29ASD2727423812
29ASD3030454112
29ASD3333484312
29ASD3636524612

3. GORE® CARDIOFORM ASD Occluder(Gore, USA)

GORE® CARDIOFORMは,プラチナ被覆ナイチノールのワイヤーフレームを,ePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)で覆った従来のダブルディスクデバイスとは全く異なる形状をしたワイヤーフレーム型デバイスである.また,デリバリーシステムと閉鎖栓があらかじめ一体化されている点も他のデバイスとは異なる.デバイスサイズは,ウエスト径ではなく最大ディスク外径で表示され,27, 32, 37, 44, 48 mmの計5サイズがあり,サイジングバルーンによるストップフロー法で測定した8~35 mmの欠損孔に対応する(Table 3

).27~37 mmは6枚の花弁形状(ペタル)のワイヤーフレームからなり,44 mm, 48 mmは8枚のペタルからなる.金属量が少なく非常に柔軟で心構造にフィットしやすいこと,細胞浸潤がしやすい多孔性のePTFEにより内膜化しやすいことが特徴とされる.最大の利点は,時にワイヤーフレームが破断するほど柔軟なため,エロージョンのリスクが極めて低い点22)で,大動脈周囲縁欠損例などによい適応となっている.5サイズで広い範囲の欠損孔をカバーする従来デバイスと全く異なる新規のデバイスになり,留置手技や,留置後の周囲縁の把持の確認には習熟が必要となる.また,シースサイズが比較的大きいこと,柔軟なため固定性の点からワイヤーメッシュ型デバイスに比して大きめのデバイス選択を必要とすることから,心房サイズ,不整脈,房室弁への接触といった観点から特に年少児での使用には注意が必要となる.また柔軟性からくる固定性の観点からは,25~30 mmを超えるような大欠損例では留置が難しく,脱落の危険度が高くなり注意が必要である.

Table 3 GORE® CARDIOFORM ASD Occluder
左房/右房ディスク
(mm)
対象欠損孔(mm)
サイジングバルーンによる
ストップフロー法
推奨シース(Fr)
ASD27J278~1510
ASD32J3213~2010
ASD37J3718~2511
ASD44J4423~3012
ASD48J4828~3514

デバイスとサイズの選択

デバイス選択に関しては,各施設の考え方によるが,欠損孔の解剖学的形態およびデバイスの特徴を十分把握したうえで,患者の体格や併存疾患等も考慮して選択することが重要となる.

デバイスサイズ選択に関しては,従来のワイヤーメッシュ型デバイスでは,二大合併症であるエロージョンと脱落がトレードオフの関係となり注意を要する.大きめのデバイスでは脱落しにくくなる一方で,エロージョンのリスクが上がり,小さめのデバイスではエロージョンの観点では有利になるが,脱落のリスクが上がる.このため,ワイヤーメッシュ型デバイスでは1 mm単位での慎重なサイズ選択が必要となる.一方,ワイヤーフレーム型デバイスでは,脱落リスクに留意したサイズアップの際に,房室弁や冠静脈洞,肺静脈,上下大静脈など周囲への影響に十分配慮する必要がある.

特に,重大な合併症であるエロージョンを避けるため,従来のワイヤーメッシュ型デバイスでは,大動脈側周囲縁の乏しい症例の場合,大きめのサイズのOcclutech Figulla® FlexII Occluderを使用して大動脈を挟み込む(A-shape)ように留置する,もしくは左房ディスクのより小さいAmplatzer™ Septal Occluderを使用して脱落しない範囲で最小径サイズを留置するといったコンセプトの違う2つの方法が主に施行されてきた.現在まで海外を含めてエロージョン例のないワイヤーフレーム型デバイスであるGORE® CARDIOFORM ASD Occluderの登場により,大動脈側周囲縁の乏しい症例でのデバイス選択は,今後大きく変化していくと考えられる.

小児の場合

カテーテル治療は治療手技の容易さ,周術期合併症等の観点24)

から体重15 kg前後からを対象とすることが一般的である.このため,成長障害や易感染性,肺高血圧などが認められる年少児は,外科的閉鎖術が施行される場合が多い.この時期の低体重児でのカテーテル治療に関しては,欠損孔の位置や大きさによって可能な場合もあり,カテーテルによる治療希望がある場合には治療施行施設での検討も考慮される.上記のような症状の乏しい場合は,乳幼児期は自然閉鎖の可能性があり,一般的には待機的に経過観察される.一方で4, 5歳以降では,自然閉鎖の可能性が下がり,年齢とともに欠損孔の拡大がすすみ,この傾向は中等度以上の短絡孔で強いと報告されている25, 26).この時期のカテーテル治療は基本的には長期予後を考慮した待機的治療である.したがって治療時期に関しては,カテーテル治療が安全に可能か,カテーテル治療が難しい場合に選択可能な外科治療の術式(胸骨正中切開の場合には,年少児の胸骨部分切開と年長児以降の胸骨全切開,側開胸,成人体格に成長後の小切開低侵襲手術(MICS: minimally invasive cardiac surgery)など),コンタクトスポーツを含めた運動状況などを含めて総合的な判断のもとで決定される.カテーテル治療においての待機によるデメリットは,欠損孔が拡大すると治療の際により大きなサイズのデバイスが必要となりうる点で,この観点から治療への耐容性が確保された時点での治療を推奨する報告もある25)

また短絡量は,欠損孔の大きさと心房間圧較差,左右心室のコンプライアンス,肺血管抵抗および体血管抵抗によって規定される.このため,肺高血圧の進行がなければ,一般的には加齢に伴い左心室のコンプライアンス低下等により短絡量が増加する.したがって,学童期に短絡量が少なくても経時的に増加し治療適応になる症例もあり,継続的な経過観察が必要となる.

成人の場合

心房中隔欠損の多くは,成人期まで無症状で経過する.20歳までの自然歴は比較的良好であるが,30歳を過ぎると生存率は低下するとされ27)

,肺高血圧や40歳以降では心房細動の頻度が増加し,右心不全の原因となりうる.小児期からのフォローアップ症例,小児期に診断後のドロップアウト症例,成人期に新規で診断された症例など様々なケースが含まれるが,小児期と異なり,有症状の場合が多くなる.動悸や息切れなどの症状や不整脈,脳梗塞,うっ血性心不全を契機に診断に至る.特殊な病態として,臥位では無症状だが立位になるとチアノーゼを呈する体位変換性低酸素血症:platypnea-orthodeoxia症候群があり,高齢者に多い.

成人期の治療にあたっては,併存症の評価,治療も重要となる.心房細動に対しては事前のカテーテルアブレーション28)

,肺高血圧合併例に対して薬物治療を先行した‘treat and repair’療法29)が推奨される.また高齢者の加齢に伴う左室コンプライアンス低下例や高血圧,虚血性心疾患による左室拡張能低下例では閉鎖術後に左心容量負荷増大に伴い心不全が悪化するため術前からの抗心不全療法が推奨されている.

まとめ

心房中隔欠損に対するカテーテル治療について解説した.閉鎖手技自体は同一であるが,小児から成人,高齢者まで各々の特徴を理解したうえで閉鎖術にあたる必要がある.適応を慎重に判断することが最重要ポイントで,エコーで欠損孔を詳細に観察したうえで,使用可能なデバイスの特徴を加味し,外科治療も含めて症例毎に最適な治療法を選択することが大切と考える.

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