Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 39(4): 192-199 (2023)
doi:10.9794/jspccs.39.192

Review

RASopathy心筋症病態理解の新たな展開

1東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 循環制御内科学

2東京大学 大学院医学系研究科 循環器内科学

3東京大学 大学院医学系研究科 先端臨床医学開発講座

4大阪公立大学 大学院医学研究科 ウイルス・寄生虫学

発行日:2023年12月31日
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RAS/MAPK経路を構成する因子の過剰活性化は,RASopathyなる先天性疾患を引き起こし,心奇形,特異顔貌,骨格異常,知的障害といった多系統の組織に機能・形態異常を引き起こす.肥大型心筋症類似心肥大はRASopathyの特徴的な心臓表現型であり,その発症は心不全死および突然死リスクと強く相関する.RASopathy関連心筋症は小児循環器病学の重点疾患群であるが,その病態の全容は未だ明らかになっていない.特異的治療の臨床開発も滞っており,臨床医学と基礎研究の協奏による心臓ケアの質向上が,求められている.本総説では,RASopathy関連心筋症について基礎~早期臨床開発の現存するエビデンスを紹介しながら,今後,我々が埋めるべきナレッジ・ギャップを俯瞰する.さらに,RAS/MAPK経路異常を共通の分子病態にもつ「癌」と「RASopathy」の対比という視点から,RASopathy関連心筋症のcellular pathologyを再評価し,疾患特異的治療開発のヒントを探る.

Key words: RASopathy; hypertrophic cardiomyopathy; RAS/mitogen-activated protein kinase signaling; Noonan syndrome

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