胎児期に診断し,無治療で経過観察できている先天性右心耳瘤の一例
1 旭川医科大学小児科
2 網走厚生病院小児科
先天性右心耳瘤は1968年のMorrowらによる報告以来,新生児から成人を含め国内外での症例が数十例しかいない稀な心内構造異常である.合併症として不整脈や血栓塞栓症,動悸や息切れなどが問題になる場合があり,適切な診断および治療が重要であるものの,その指針は定まっていない.症例は在胎29週の男児で,前医で右房拡大を指摘され,当院に紹介された.胎児心臓超音波検査では,14.2×7.9 mm(実測値:0.7 cm2)の瘤を認め,先天性右心耳瘤と診断した.診断時の瘤のサイズ(<20×13 mm,実測値:<2 cm2)を参考に無治療で経過観察できると判断し,胎児期は合併症なく経過し出生した.生後の瘤のサイズは22×11 mm(実測値:1.7 cm2)であり,右房とのサイズの比率が胎児期から変化がなかったため,引き続き経過観察をする方針にした.現在1歳になったが,合併症は起こさずに経過している.先天性右心耳瘤のフォローアップには,瘤のサイズが一つの目安になると考える.
Key words: congenital right atrial appendage aneurysm; right atrial enlargement; fetal echocardiography; supraventricular arrhythmia; thromboembolism
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