Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 36(3): 215-222 (2020)
doi:10.9794/jspccs.36.215

Review

特集「日本小児循環器学会第16回教育セミナー」

こんな症例をセカンドオピニオンに出しました治療方針決定が困難な症例におけるshared decision makingの効果

独立行政法人地域医療機能推進機構 中京病院中京こどもハートセンター

発行日:2020年10月1日
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先天性心疾患領域ではどの治療方針が正解か明言することが困難な状況にも遭遇する.我々の施設では治療方針の決定に難渋した症例,他施設と治療方針が異なる可能性がある症例,施設によって手術成績が異なる症例について,shared decision makingの観点から家族にセカンドオピニオンを勧めるケースがある.修正大血管転位症の症例では,ダブルスイッチ手術に進むべきかどうかの検討を行い,家族はダブルスイッチ手術を行う施設での治療を希望された.大血管転位症,肺動脈閉鎖症の症例では,ラステリ手術,大動脈基部転位術,フォンタン手術が治療の選択肢となり,当院とセカンドオピニオン施設ともラステリ手術を勧められ当院でラステリ手術を施行した.総肺静脈還流異常合併左心低形成症候群の母胎紹介例では当院ではフォンタン到達例の経験がなく,フォンタン到達例の経験ある施設での治療を希望され母体搬送を行った.混合型総肺静脈還流異常を合併した機能的単心室について当初手術適応のない症例であるとされたが,経過中に手術適応となりセカンドオピニオンを行ったのち,他施設でも同様の意見と理解され当院で総肺静脈還流異常修復術を施行した.これらの経験は我々と患者および家族の“shared decision making”であり,非常に有益であった.最善な医療を提供するために適切な情報提供を行い,率直な態度をとることはあらゆるレベルの医師に必要である.

Key words: shared decision making; second opinion

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