特集「日本小児循環器学会第16回教育セミナー」
循環生理を踏まえた呼吸管理,呼吸生理を踏まえた循環管理
静岡県立こども病院 循環器集中治療科
生体に酸素を取り込み二酸化炭素を排出する点で小児と成人は同じである.心臓と呼吸の関係においても,心不全増悪時に左室拡張末期圧の上昇により肺鬱血を生じ,その対応に利尿剤や陽圧が有効なことも同様である.その認識のうえで,サイズが小さい,呼吸数が多い,胸郭コンプライアンスが高いなどの小児の生理学的特徴を考慮に入れるべきである.特に気道抵抗に与えるサイズの影響は大きく,小児では僅かな変化でも大きな影響を及ぼす.また死腔の影響も体格が小さいと無視できない.さらに先天性心疾患では肺血流と体血流が異なる場合が多く,肺血流増加による気道への影響や,酸素投与が肺血流に与える影響なども考慮しなければならない.二心室循環では左室補助となる陽圧呼吸がFontan循環では心拍出量が減る,といった特殊な動きもある.小児循環器疾患においては「循環生理を踏まえた呼吸管理,呼吸生理を踏まえた循環管理」が必須である.
Key words: pediatric cardiology; congenital heart disease; respiratory physiology; cardiovascular physiology; cardiopulmonary interaction
© 2020 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
This page was created on 2020-08-24T14:26:01.402+09:00
This page was last modified on 2020-10-19T15:50:58.000+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。