Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 34(1): 39-45 (2018)
doi:10.9794/jspccs.34.39

症例報告

胎児期より拡張型心筋症と診断され周産期死亡した兄弟例

1兵庫県立こども病院循環器科

2日赤和歌山医療センター小児科

3加古川医療センター小児科

4富山大学医学部小児科

5富山大学医学部法医学

受付日:2017年10月19日
受理日:2017年12月21日
発行日:2018年1月1日
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胎児心エコーの進歩により,多くの先天性心疾患が出生前に診断されるようになったが胎児心筋症の報告は少ない.今回我々は,家族歴と胎児心エコーで拡張型心筋症(DCM)と診断し,周産期に死亡した兄弟例を経験した.父と父の弟がDCMで,両児とも顕微鏡受精で妊娠成立した.第1子は在胎21週に診断し,27週で母体Mirror症候群のため緊急帝王切開で出生したが,生後46分で死亡した.第2子は在胎27週に診断し,33週0日子宮内胎児死亡した.病理解剖所見はEndocardial elastofibrosis(EFE)で,家族性DCMと診断された.両児と両親の遺伝子解析では,父由来のTropomyosin α-1 chain(TPM1)遺伝子変異,母由来のdesmoplakin(DSP)遺伝子変異が同定された.家族性の胎児DCMで周産期死亡した場合,両親の遺伝子診断を行うことで次子の発症を予測できる可能性がある.

Key words: dilated cardiomyopathy; familial cardiomyopathy; fetal echocardiography; tropomyosin α-1 chain (TPM1) gene

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