ファロー四徴術後遠隔期における肺動脈弁置換術の両心機能への影響と中期成績
千葉県循環器病センター心臓血管外科
背景:ファロー四徴(TOF)術後遠隔期における肺動脈弁逆流(PR)は右心機能低下,不整脈発生の危険因子となる.TOF術後遠隔期におけるPRに対して肺動脈弁置換術(PVR)を施行した症例の中期成績を検討した.
方法:2003年4月から2017年3月までの期間,PVRを施行した32例を対象とした.PVR後の平均follow up期間は5.4±4.2年であった.臨床症状,心電図,胸部レントゲン,心エコー,MRI,心臓カテーテル検査などの精査を行って手術適応を決定した.
結果:周術期死亡例はなく,観察期間中に再手術例(re-PVR)はなかった.1例に大動脈弁逆流,大動脈弁輪拡張を認めたため,PVR後3年でBentall手術を施行した.RVEDVIは術前176.3±57.2 mL/m2に対して,術後108.1±19.4 mL/m2と有意な低下を認めた(p<0.05).RVEFは術前42.7±8.49%に対して術後42.4±7.94%と有意差はなかった.RVEDVI<160 mL/m2の早期手術群のLVEFは,術前53.9±6.14%に対して術後58.8±5.05%と有意差はなかった(p=0.11).術後のLVEDPは早期群より進行群のほうが有意に高い結果となり拡張障害を認めた(p<0.05).
結語:TOF術後遠隔期におけるPRに対するPVRは安全かつ有効であった.両心機能維持の観点から,RVEDVI 160 mL/m2を指標に手術適応を検討することが妥当と考えられた.
Key words: pulmonary valve replacement; tetralogy of Fallot; pulmonary valve regurgitation; mid-term outcome; surgical indication
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