Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 33(1): 43-49 (2017)
doi:10.9794/jspccs.33.43

原著

大量ガンマグロブリン療法不応の川崎病に対するインフリキシマブ療法:A single-institute study

1国立成育医療研究センター総合診療部

2国立成育医療研究センター循環器科

3国立成育医療研究センター研究所高度先進医療研究室

4国立成育医療研究センター臨床研究開発センター開発企画部臨床研究企画室

5国立成育医療研究センター教育研修部

6横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学

受付日:2016年11月11日
受理日:2016年12月24日
発行日:2017年1月1日
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背景:大量ガンマグロブリン(IVIG)療法不応川崎病に対するインフリキシマブ(IFX)療法が増加している.

目的:IFX療法の有効性,安全性を明らかにする.

方法:2008年12月~2016年9月にIVIG不応川崎病に対して,IFX療法を行った55例を後方視的に検討した.

結果:男34名(62%),月齢は,中央値31か月(4~131),IFX投与病日は,中央値は第10病日(7~24)であった.IFX療法は40例(73%)が3rd line以内に行った.投与48時間以内に38例(69%)が解熱した.10例(18%)でIFX療法後に追加治療を行った.IFX投与前後で白血球数,好中球(%),CRPなどの炎症マーカーが有意に低下した.IFX解熱例(n=38)と非解熱例(n=17)の2群間では,性,月齢,投与病日の有意差を認めなかった.冠動脈病変(CAL)は,IFX投与時にすでに7例で認め,投与後新たに認めた症例は4例で,そのうち1例で巨大瘤を認めた.有害事象は13例(23%)で,過去にIFXの投与経験がある1例でinfusion reactionを認めた.

考察・結語:IFX療法はIVIG不応川崎病に対して有効な治療法である.CAL合併の頻度は過去のIFXの有効性を論じた報告と比べて同程度だった.重篤な有害事象は認めなかったが長期的な影響については今後も注視する必要がある.

Key words: Kawasaki disease; infliximab; intravenous immunoglobulin; coronary artery lesions; infusion reaction

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