小児重症心不全治療の現状と将来
全身性系統疾患における心臓移植の適応と限界:神経筋疾患を中心に
東京女子医科大学循環器小児科
心臓移植は,拡張型心筋症をはじめとする心筋症や,先天性心疾患の重症心不全に対し,可能な限りの内科的,外科的治療を行った上で,進行性で予後不良の場合適応となる.また,レシピエントが,移植後の免疫抑制剤をはじめとした治療を一生涯継続しなければならないことをふまえ,本人の理解が十分であると同時に家族等のサポート体制がしっかりしていなければ,適応とならない.かつ,心臓移植は,心臓機能の回復により,移植を受けた患者の生活の質が向上すること,生命予後が改善することを前提としている.つまり,悪性腫瘍や,その他の進行性の他臓器疾患により,予後不良が見込まれている場合や,心臓移植をしても生活の質の向上につながらないような,重症の神経筋疾患などでは適応とならない.では,どのような神経筋疾患では適応となり,あるいは適応とならないのか,本稿では,心臓移植の適応と,適応検討のプロセス,全身性系統疾患,なかでも神経筋疾患における心臓移植の適応と限界を含め,国内の現状もふまえて概説したい.
Key words: heart transplantation; systemic disease; neuromuscular dystrophy; ventricular assist device
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