全身性系統疾患における心臓移植の適応と限界:神経筋疾患を中心に
東京女子医科大学循環器小児科
心臓移植は,拡張型心筋症をはじめとする心筋症や,先天性心疾患の重症心不全に対し,可能な限りの内科的,外科的治療を行った上で,進行性で予後不良の場合適応となる.また,レシピエントが,移植後の免疫抑制剤をはじめとした治療を一生涯継続しなければならないことをふまえ,本人の理解が十分であると同時に家族等のサポート体制がしっかりしていなければ,適応とならない.かつ,心臓移植は,心臓機能の回復により,移植を受けた患者の生活の質が向上すること,生命予後が改善することを前提としている.つまり,悪性腫瘍や,その他の進行性の他臓器疾患により,予後不良が見込まれている場合や,心臓移植をしても生活の質の向上につながらないような,重症の神経筋疾患などでは適応とならない.では,どのような神経筋疾患では適応となり,あるいは適応とならないのか,本稿では,心臓移植の適応と,適応検討のプロセス,全身性系統疾患,なかでも神経筋疾患における心臓移植の適応と限界を含め,国内の現状もふまえて概説したい.
Key words: heart transplantation; systemic disease; neuromuscular dystrophy; ventricular assist device
© 2017 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
今一度,日本循環器学会,心臓移植委員会の定める心臓移植の適応と適応除外基準を確認したい.
心臓移植の適応は以下の事項を考慮して決定する.適応となる疾患(Table 1),適応条件(Table 2),適応除外条件(Table 3)については別表を参照されたい.
心臓移植の適応となる疾患は従来の治療法では救命ないし延命の期待がもてない以下の重症心疾患とする. |
1. 拡張型心筋症,および拡張相の肥大型心筋症 |
2. 拘束型心筋症 |
3. 虚血性心疾患 |
4. 左心低形成症候群* |
5. 川崎病 |
6. その他(日本循環器学会および日本小児循環器学会の心臓移植適応検討会で承認する心疾患) |
先天性心疾患の中には,外科的介入,カテーテル治療,薬物治療がその予後を改善する余地がある場合,まずはそれらを優先する. |
・単心室性心疾患の場合,フォンタン手術の適応条件を満たさない症例や,高度の房室弁逆流を有する症例,体心室の収縮不全,致死的不整脈が適応となる.また,Failed Fontanと呼ばれる,治療抵抗性の心不全,高度房室弁逆流,蛋白漏出性胃腸症の難治例,肺動静脈瘻,致死性不整脈を有する症例は適応と考えられる.しかし,術後遠隔期症例では,肝臓や腎臓に合併症をきたしている症例もあり,そのような場合は適応を慎重に検討する. |
・心臓移植以外に外科的手術適応がない心臓弁膜症 |
・薬剤性心筋障害 |
・サルコイドーシス,アミロイドーシス,Duchenne型以外の筋ジストロフィー,心臓腫瘍は個々の症例で適応を判断する. |
A)不治の末期的状態にあり,以下のいずれかの条件を満たす場合 |
1)長期間またはくり返し入院治療を必要とする心不全.小児では,多呼吸や呼吸不全,食思不振や発育不全,易感染性なども症候性の心不全と考える. |
2)先天性心疾患では,カテーテル治療や外科的介入による治療の見込みが少ない症例,内科的治療による心不全の改善が見込めない症例が含まれる. |
3)β遮断薬およびACE阻害薬を含む従来の治療法ではNYHA3度ないし4度から改善しない心不全 |
4)現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例 |
B)本人および家族の心臓移植に対する十分な理解と協力が得られること |
A)絶対的除外条件 |
1)肝臓,腎臓の不可逆的機能障害 |
2)活動牲感染症(サイトメガロウイルス感染症を含む) |
3)肺高血圧症(血管拡張薬を使用しても,肺血管抵抗が9 wood単位以上) |
4)薬物依存症(アルコール性心筋症を含む) |
5)悪性腫瘍 |
6)HIV抗体陽性 |
B)相対的禁忌 |
1)腎機能障害,肝機能障害 |
肝機能障害:T.bil.>2.0またはトランスアミラーゼが正常値の2倍 |
腎機能障害:Cr>2 mg/dLまたは24 hCCr<25 mL/min |
2)活動性消化性潰瘍 |
移植には内視鏡で治癒が確認されることが必要. |
3)インスリン依存性糖尿病 |
4)精神神経症(自分の病気,病態に対する不安を取り除く努力をしても,何ら改善がみられない場合に除外条件になることがある) |
5)肺梗塞の既往,肺血管閉塞性病変 |
6)膠原病などの全身牲疾患 |
上記以外に下記が禁忌となる. |
・重症の脳血管障害,末梢血管障害 |
・高度肥満(肥満度+50%以上) |
心臓移植の適応は,Table 1に示す適応疾患の患者の中で,上記の適応基準を満たし,かつTable 3の適応除外条件に当てはまらない患者ということになる.
心臓移植は,死に直面する患者に対する救命ではなく,十分な準備に基づいて行う待機的手術である.したがって,あらゆる面から総合的に患者の評価を行い,適応を慎重に決定する必要がある.当院での適応判定から日本臓器移植ネットワーク(JOTNW)待機リストヘの登録までの流れを概説する.
当院では,週に1回開催される心不全症例検討会で,適応検討が行われる.この会には精神科医,麻酔科医,感染症対策科,看護師,移植コーディネーター,ソーシャルワーカーがコンサルタントメンバーとして入っており,必要があれば適応決定にあたり助言を受ける.またこの会では,心臓移植の適応ばかりでなく,現在のstatusも決定される.
まず心不全症例検討会で適応であると判定されれば,ただちに院内の適応検討委員会に適応申請を行う.同委員会より適応であるとの審査結果通知があり次第,患者ならびに家族に,病状,生命予後を含めた見通しを説明し,十分な院内での検討の結果,現時点では内科治療よりも心臓移植を受けることが有益であると判定されたことを伝える.この時点で,患者に「心臓移植に関する説明書」を渡し,心臓移植の具体的説明を開始する.幼児,学童と分けて説明用紙を用意しているので,患者の年齢に応じて説明用紙を渡し,説明には十分に時間を費やし,移植について必要なことを完全に理解していただく.「心臓移植に関する説明書」の各ページには署名欄があり,理解ができたページには日付と署名をしてもらう.患者ならびに家族が,心臓移植に関して十分理解し,心臓移植治療を希望すれば,同意のもとで日本循環器学会心臓移植検討小委員会へ書類申請する.
日本循環器学会心臓移植適応判定小委員会での判定結果は,ただちに患者ならびに家族に伝えられる.適応であると判定されれば,心臓移植の希望を再確認し,同意のもとで可及的速やかに日本臓器移植ネットワークの待機リストに登録する.
患者の年齢に応じて,主治医,移植コーディネーターより,両親,ならびに本人に対して説明を行う.本人が意思決定能力がない学童未満の場合も,可能な限り年齢に応じた説明を行う努力をする.学童以上については,アセントフォームを用意し,承諾を得る.
心臓移植手術のインフォームドコンセントおよび手術承諾書について患者の予後,本治療の必要性,移植手術,それに伴う免疫抑制療法,その成績,合併症,長期予後および費用などについて,患者本人およびその家族に十分に説明し,これらに対する理解が得られた上で本法の実施を強く希望する場合,その旨を所定の書式により文書で確認する.これは,適応判定に必要な検査を開始するときから,登録に至るまでのステップごとに行う.
以上のように,適応判定から登録への手順は複雑に思われるかもしれないが,このプロセスを経ることで,繰り返し患者およびその家族と,心臓移植の必要性や,リスク,移植後の生活等について情報を共有し,心臓移植への理解を深めることができる.
心臓移植は,それによって,患者の生活の質が向上し,生命予後が改善することが前提となる.そのため,相対的な禁忌として,全身性の疾患である膠原病等があげられる.具体的には,アミロイドーシス,サルコイドーシス,全身性強皮症などの疾患で,心臓以外の臓器症状が生命予後を規定する場合には適応とならないが,逆に,他臓器の症状が軽く,心臓移植によって予後改善が見込めれば,必ずしも移植の適応外とはならない.また,代謝性疾患,神経筋疾患による二次性心筋症については原疾患の治療を適切に行うことを前提とし,孤発性の心筋症であれば移植の適応と考えられる.
原因不明の類上皮細胞肉芽腫の形成を特徴とする全身性疾患.特に,肺,皮膚,眼,リンパ節に好発するが,心サルコイドーシスは,約1/4の症例で認める.多くは心電図異常,房室ブロック,心室頻拍を認め,うっ血性心不全,心嚢水,肺高血圧,心室瘤を呈すこともある.サルコイドーシスの診断基準はTable 4に示すとおりである.ここでは,心サルコイドーシスについて触れる.
組織診断群 |
1. 臓器に組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,かつ以下の1)~3)の所見が見られる. |
1)他の臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認める. |
2)他の臓器で「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」がある. |
3)「全身反応を示す検査所見」6項目中2項目以上を認める. |
臨床診断群 |
組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は証明されていないが,2つ以上の臓器において「サルコイドーシス病変を強く示唆する臨床所見」があり,かつ「全身反応を示す検査所見」6項目中2項目以上を認める. |
《全身反応を示唆する検査所見》 |
①両側肺門リンパ節腫脹 |
②血清ACE活性高値 |
③ツベルクリン反応陰性 |
④Gシンチグラフィで著明な集積 |
⑤気管支肺胞洗浄検査でリンパ球増加またはCD4/CD8比高値 |
⑥血清あるいは尿中Ca高値 |
心病変を強く示唆する所見
巨細胞性心筋炎は除外する.
心臓移植の適応を考えたとき,自然寛解が比較的多くみられる疾患であること,ステロイドによる治療効果が得られる可能性があること,心病変が先行して発症した場合にでも,他臓器に病変が後で出てくる可能性があることなどから,積極的に心臓移植適応であると考えることが難しい疾患である.
家族性アミロイドーシスは,肝臓で産生されるmutant transthyretinが,末梢神経ならびに心臓,軟部組織,膀胱,消化管に沈着することによって起こる多臓器障害である.移植心へのアミロイド沈着を予防するために心臓だけでなく心肝同時移植になる症例が散見される.米国の心肝同時移植の約30%が家族性アミロイドーシスに対してであると言われており,心肝同時移植の適応の中で最も多いとされている1).時に,腎臓へのアミロイド沈着による腎機能障害のため,心腎肝同時移植になる例もあるという.しかし,現在日本では,心肝同時あるいは心腎肝同時移植はまだ認められていない.
膠原病の一種で,皮膚やその他の結合織における線維芽細胞のコラーゲン合成が亢進し,文字通り皮膚が硬くなる病気である.高率に消化器病変や腎病変を合併し,また,肺線維症による重症肺高血圧から,肺移植の適応となることもある.心病変は,原疾患による心筋へのコラーゲンの沈着や肺高血圧由来の右心不全による線維化をはじめとして,房室ブロックや心室頻拍などの不整脈が知られている.これらによる予後は極めて悪く,2年生存率で40%との報告もある2).しかし,一般的な強皮症の生命予後は,5年で10%程度の死亡率で,多臓器に病変が及ぶことが多いため,積極的な心臓移植適応疾患とは考えられていない.心臓移植の症例報告としては,数例の報告があるにとどまる3, 4)
.生命予後を規定するのは,多くの場合肺病変で,肺移植・心肺同時移植が報告されている.限られた症例数ではあるが,移植後の成績は,他の肺移植患者の予後と遜色はなく,よって強皮症であること自体が,肺ないし心肺同時移植の適応外と考えられるべきではない,という意見もあるが,多くの欧米の施設では,移植適応外とされているのが現実である5, 6)
.
神経筋疾患は,適応判定が難しい疾患群である.心臓以外の要因で,患者の生命予後や生活の質が規定される場合,心臓移植適応にならない場合があるためだ.適応疾患にある通り,Duchenne型以外の筋ジストロフィーは,移植適応の可能性があると考えられているが,相対的な禁忌の中にある,全身性の疾患というところで,神経筋疾患の中には適応から外れてくる場合がある.適応判断において大切なことは,個々の症例で判断するということであろう.診断名で判断するのではなく,児の状況に応じて判断するしかない.たとえば,呼吸筋が侵されるような疾患でも,気管切開を置いて,在宅の人工呼吸器を使用することで,長期生存が可能であり,身の回りのことを自分でできる程度の筋力が保持されるのであれば,一概に,適応外とは言えない.また,留意しなければならないことは,神経筋疾患で,初発症状が心筋症である可能性があることである7).この場合,心臓移植をしてから,重篤な神経筋疾患の診断がつくということも経験されている.また,骨格筋障害の程度と,心筋症の進行は必ずしも平行していない8).
神経筋疾患に特化した心筋症の移植の治療成績については,2010年にWuらが報告しているが,29例と少ない症例数であり,強いエビデンスが不足している状況ではあるが,同時期の同年齢の移植患者との5年生存率に有意差は認めなかったとのことであり,心血管イベントが予想される疾患であれば,内服加療,不整脈の治療と予防をきちんと行い,移植についてもきちんと検討されるべきであると考える.その報告では,Becker型筋ジストロフィーが約半数15例を占めていたが,他には,強直性4例,肢体型3例,Duchenne型3例,Emery–Dreifuss型1例,ミトコンドリアミオパチー1例等が含まれており,感染,拒絶,allograft vasculopathy等の発生率も遜色のない結果であった9).
両疾患ともに,ジストロフィン遺伝子(Xp21)の異常によって引き起こされる疾患で,X連鎖劣性遺伝形式をとる.Duchenne型とBecker型の違いは,前者では,ジストロフィン遺伝子の欠失(out of frame mutation)によりジストロフィン蛋白が完全に欠損しているのに対して,後者では,遺伝子欠失はin-frame mutationであり,量的には少ないもののジストロフィン蛋白の生成がある.そのため,Becker型では,Duchenne型に近い重症のものから,比較的軽度で,成人期に達しても歩行可能である症例まで様々である.
両疾患とも,躯幹近位筋がまず侵されることが多いが,しばしば拡張型心筋症様の心筋症を発症し,生命予後がそれによって規定されることも多い.そのため,定期的な心臓超音波検査,心電図検査等のフォローを行い,β遮断薬,ACE阻害薬等の抗心不全治療を早期に開始することで心機能を保つことが大切である.Connuckらの報告では,Becker型とDuchenne型の筋ジストロフィー症例のほうが,その他の心筋症症例よりも,診断時の左室の拡大と心収縮能の低下は軽度であると報告されている10).これは,無症状であっても定期検診を契機に診断されることが影響していると考えられる.前述の通り,Becker型では,心不全症状を呈する心筋症を発症した場合,骨格筋障害が軽度であれば心臓移植の適応があり,心臓移植によって生命予後が改善することが知られている.これに対してDuchenne型は,3~5歳頃に発症し,10歳前後で歩行が不能となり,20歳前後で呼吸筋の筋力低下により人工呼吸器管理となることが多い.最近では,在宅の人工呼吸器の普及などにより生命予後も少しずつ改善してきているが,依然として生命予後は厳しく,症例報告はあるものの,積極的な心臓移植の対象とはならない10).
移植に到達した場合でも,周術期管理において,麻酔の軽減を図り,リハビリを早期に開始するなどの工夫が必要とされている11)
.
常染色体優性遺伝,伴性劣性遺伝の遺伝形式をとることが多い遺伝性の筋ジストロフィーである12).稀に常染色体劣性遺伝の形式をとる.進行が緩やかであることから,心合併症;完全房室ブロックや心筋症が生命予後を規定する場合があり,ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)が救命に役立つことがわかっている13, 14)
.心臓移植の報告例もある15–17)
.
しかし,日本国内のように,慢性的に深刻なドナー不足がある状況で,症例報告レベルの神経筋疾患を積極的に心臓移植適応と考えるかどうか,については,ペースメーカーやICDを含む,できる治療を最大限に行ったうえで,十分な適応検討の議論が必要であると筆者は考える.
現在国内では,小児に使用できる補助人工心臓は,体外式補助人工心臓であるベルリンハートEXCORのみである.2015年8月に保険収載され,2016年度からは全国の8か所の病院で使用が可能となっている.植え込み型の補助人工心臓は,体格的に使用できる場合は,成人の基準に準じて使用可能と考えられている.日本国内では,まだdestination therapyとしての補助人工心臓の使用は認められていない.これについては,今後,状況的に国内の基準が変化する可能性はあるが,補助人工心臓の管理が安全にできるインフラの整備が十分ではない現状と,体外式しか小児では使用できる機種がないことを考えると,現段階では現実的でないと言わざるをえない.故に,神経筋疾患を有する患者への補助人工心臓の植え込みについては,心臓移植適応を十分に検討した上でなければならない.一方米国では,全置換型人工心臓の臨床応用も進んでおり,Becker型筋ジストロフィーの患者で移植への橋渡しとして使用されたという報告もある18).成人領域では国内でも,Becker型筋ジストロフィーを中心とした10例の神経筋疾患患者に対して補助人工心臓の植え込みがなされ,基礎疾患のない拡張型心筋症症例58例と比して遜色のない結果であったことが報告されている19).他にも,Duchenne型筋ジストロフィーの2名の患者に対して,Heartmate IIとHeartwareが植え込まれたという報告がRyanらによって2014年にあった20).これは,destination therapyが認められている米国での話であるが,神経筋疾患患者の生活の質の改善という適応が認められた初めての例である.コロンビア大学モルガンスタンレイ小児病院移植部門の責任者であるDr.Addonizioによると,このような症例は,Duchenne型筋ジストロフィーの患者の中でも,ADLが比較的保たれている症例であり,植え込み型の補助人工心臓の植え込みにより,明らかに生活の質の改善が見込まれる症例に限り,特例として行われたものと考えられる,とのことであった.
国際心肺移植学会(ISHLT)の報告によれば,2013年時点での,心臓移植の生命予後は,平均13年程度,10年生存率は53%,15年生存率は36%である.これは,全体の数字であり,小児,特に乳児の成績はこれよりよい(Fig. 1)21).しかし,現実に,10~15年で半数以上の方が亡くなられている.つまり,10歳の子が心臓移植を受けても,半分以上の子が30歳を迎えることができない可能性があるということだ.幸い,国内の,といっても小児の場合は移植自体ほとんどの場合海外で受けているわけだが,移植後の成績は,ISHLTの成績よりも良いことがわかっている.要因としては,コンプライアンスの良さ,適応疾患のほとんどが拡張型心筋症で,欧米の施設のように,周術期死亡率の高い複雑心奇形の術後患者の占める割合が低いことなどが考えられる.10歳未満からの臓器提供が極端に少ない日本の現状では,Fontan術後などの複雑心奇形の術後で,ハイリスクの症例や,神経筋疾患患者などの,不確定要素が多い症例への心臓移植のハードルはまだまだ高いと考えられる.しかし,我々は科学的な見地で,心臓移植の適応と限界を承知した上で,患者やその家族に説明し,移植医療を推進していかなければならない.
本論文について開示すべき利益相反(COI)はない.
1) Beal EW, Mumtaz K, Hayes D Jr., et al: Combined heart-liver transplantation: Indications, outcomes and current experience. Transplant Rev (Orlando) 2016; 30: 261–268
2) Almeida I, Faria R, Vita P, et al: Systemic sclerosis refractory disease: from the skin to the heart. Autoimmun Rev 2011; 10: 693–701
3) Martens E, Lange P, Pohl T, et al: Heart transplantation in a 36-year-old experiencing terminal heart failure caused by systemic sclerosis. Transplantation 2012; 94: e13–e15
4) Bennasar G, Carlevaris L, Secco A, et al: Cardiac transplant in young female patient diagnosed with diffuse systemic sclerosis. Reumatol Clin 2016; 12: 285–287
5) Miele CH, Schwab K, Saggar R, et al: Lung transplant outcomes in systemic sclerosis with significant esophageal dysfunction. A comprehensive single-center experience. Ann Am Thorac Soc 2016; 13: 793–802
6) Launay D, Savale L, Berezne A, et al: Lung and heart-lung transplantation for systemic sclerosis patients. A monocentric experience of 13 patients, review of the literature and position paper of a multidisciplinary Working Group. Presse Med 2014; 43: e345–e363
7) Finstere J, Bittner RE, Grimm M: Cardiac involvement in Becker’s muscular dystrophy, necessitating heart transplantation, 6 years before apparent skeletal muscle involvement. Neuromuscul Disord 1999; 9: 598–600
8) Romfh A, McNally EM: Cardiac assessment in duchenne and becker muscular dystrophies. Curr Heart Fail Rep 2010; 7: 212–218
9) Wu RS, Gupta S, Brown MS, et al: Clinical outcomes after cardiac transplantation in muscular dystrophy patients. J Heart Lung Transplant 2010; 29: 432–438
10) Connuck DM, Sleeper LA, Colan SD, et al: Characteristics and outcome of cardiomyopathy in children with Ducheene or Becker muscular dystrophy: A comparative study from the Pediatric Cardiomyopathy Registry. Am Heart J 2008; 155: 998–1005
11) Komanapalli CB, Sera V, Slater MS, et al: Becker’s muscular dystrophy and orthotopic heart transplantation: perioperative considerations. Heart Surg Forum 2006; 9: E604–E606
12) Helbling-Leclerc A, Bonne G, Schwartz K: Emery-Dreifuss muscular dystrophy. Eur J Hum Genet 2002; 10: 157–161
13) English KM, Gibbs LJ: Cardiac monitoring and treatment for children and adolescents with neuromuscular disorders. Dev Med Child Neurol 2006; 48: 231–235
14) Walker S, Levy T, Rex S, et al: Biventricular implantable cardioverter defibrillator use in patient with heart failure and ventricular tachycardia secondary to Emery-Dreifuss syndrome. Europace 1999; 1: 206–209
15) Dell’Amore A, Botta L, Suarez SM, et al: Heart transplantation in patients with Emery-Dreifuss muscular dystrophy: Case Reports. Transplant Proc 2007; 39: 3538–3540
16) Kichuk MR, Drummond-Webb J, Hallowell S, et al: Cardiac transplantation in twins with automosal dominant Emery Dreifuss muscular dystrophy. J Heart Lung Transplant 2004; 23: 496–498
17) Cuneo A, Holdt LM, Klingel K, et al: Cardiologic findings in Hauptmann-Thannhauser muscular dystrophy (automosal dominant Emery-Dreifuss muscular dystrophy). Dtsch Med Wochenschr 2007; 132: 2006–2009
18) Leprince P, Heloire F, Eymard B, et al: Successful bridge to transplantation in a patient with Becker muscular dystrophy-associated cardiomyopathy. J Heart Lung Transplant 2002; 21: 822–824
19) Seguchi O, Kuroda K, Fujita T, et al: Advanced heart failure secondary to muscular dystrophy: Clinical outcomes after left ventricular assist device implantation. J Heart Lung Transplant 2016; 35: 831–834
20) Ryan TD, Jefferies JL, Sawnani H, et al: Implantation of the HeartMateII and HeartWare left ventricular assist devices in patients with duchenne muscular dystrophy: Lessons learned from the first applications. ASAIO J 2014; 60: 246–248
21) Dipchand AI, Kirk R, Edwards LB, et al: The Registry of the International Society for Heart and Lung Transplantation: Sixteenth Official Pediatric Heart Transplantation Report–2013; focus theme: age. J Heart Lung Transplant 2013; 32: 979–988
This page was created on 2017-01-20T17:00:24.977+09:00
This page was last modified on 2017-02-06T08:56:34.554+09:00
このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。