Fontan手術後に発症する蛋白漏出性胃腸症の予後に関する検討
1 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科
2 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科
3 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生科
4 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 放射線科
背景:複雑先天性心疾患におけるFontan手術後に発症する蛋白漏出性胃腸症は発症すると難治・治療困難な病態であり生命予後を規定する.本研究の目的は当院でのPLE症例の予後と治療方針の検討である.
方法:1991~2014年に岡山大学病院でFontan手術後PLEの診断・治療を行った23例を対象にし,転帰の調査と死亡症例の傾向について検討を行った.
結果:Fontan手術施行401例中の23例(5.7%)に発症.フォローアップ期間は0.8~13年(中央値4.7年).生存率は5年68%,10年54%.死亡原因は敗血症(2例),PLE増悪による多臓器不全(2例),心不全(1例),頭蓋内出血(1例).死亡症例はPLE診断年齢が高くFontan手術から診断までの期間が長期であった.血行動態評価では治療前後の心係数(CI)と主心室駆出率(vEF),治療後の中心静脈圧(mCVP)に有意差を認めた.治療後CI<2.8 L/min/mm, vEF<50%,mCVP≧15 mmHgの症例は死亡率が高かった.
結論:PLEに対する治療は一定の有用性を認めたが,予後は満足できるものではない.血行動態的な治療の目標はCI,vEFの改善とCVPを低下させることと思われる.
Key words: protein-losing enteropathy; Fontan operation; central venous pressure; ventricular ejection fraction; cardiac index
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