心筋炎から学ぶ:小児循環器分野を学ぶ医師のアウトカムを中心に
1 日本大学医学部医学教育企画・推進室
2 日本大学医学部附属板橋病院小児科
致死性心筋炎の死亡頻度は10万人あたり0.46人で,ウイルス性の原因が多い.神経症状や消化器症状などの心外症状から心筋炎を鑑別することが重要である.劇症化の予測として心電図や血液検査所見の経時的変化の観察が重要である.画像診断として心エコーでの収縮能低下や心膜液貯留は,専門医資格のない医師にとっても視覚的に理解しやすい所見である.急性期を脱した時点でのMRI, 核医学検査は専門医として診断に有用な低侵襲性モダリティである.致死的不整脈の合併は劇症型心筋炎に高頻度であり,回復期に不整脈が残存する症例には電気生理学的検査が必要な場合もある.治療について低心拍出状態や致死的不整脈合併例では補助循環療法の導入を積極的にすべきで,導入および離脱の施設基準が明確であることが望ましい.小児への大動脈内バルーンパンピングの心筋炎への使用は議論がある.免疫グロブリン療法およびステロイド療法の心筋炎に対する一定の治療的コンセンサスは得られていない.小児の劇症型心筋炎は急性期死亡も多いが,急性期に生還した症例であれば,神経学的後遺症を含め必ずしも予後不良な疾患ではない.
Key words: arrhythmia; extracorporeal membrane oxygenation; fulminant; low output; nuclear medicine
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