肺動脈幹温存法Norwood変法を行い改善した,左心低形成症候群に合併する気管支軟化症の一例
1 三重大学大学院医学系研究科胸部心臓血管外科
2 三重大学大学院医学系研究科小児科
気管支軟化症は先天性心疾患に合併することが稀にあり,症状に応じて大動脈胸骨固定術や外ステント術等治療を必要とする疾患である.今回われわれは左心低形成症候群に合併した気管支軟化症に対して新しい手技として肺動脈幹を温存するNorwood変法手術を導入し,気管支軟化症の改善に有効であった症例を経験したので報告する.5ヶ月女児,HLHSの診断で日齢12日に両側肺動脈絞扼術を行っている.4ヶ月時に呼吸器症状から気管支鏡検査を施行し,左気管支軟化症と診断された.手術はNorwood,BDG手術を施行し,大動脈再建には肺動脈幹温存法(PA trunk saving法:PATS)を用いた.主肺動脈から左右肺動脈を起始部で離断,端々吻合し,離断部を直接閉鎖することで大動脈再建に利用できる主肺動脈長軸距離を確保し,短軸径の縮小で左肺門部狭窄を回避した.術後に呼吸器症状は消失し,気管支鏡検査でも気管枝内腔形状の改善を認めた.
Key words: tracheomalacia; HLHS; modified Norwood; PA trunk saving method
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