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特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 39(1): 37-38 (2023)
doi:10.9794/jspccs.39.37

Editorial CommentEditorial Comment

大動脈縮窄再発に対する治療Treatment for Recurrent Coarctation

東京女子医科大学 心臓血管外科Tokyo Women’s Medical University ◇ Tokyo, Japan

発行日:2023年2月1日Published: February 1, 2023
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大動脈縮窄症およびその再発に対する手術手技として,補填物を用いない大動脈弓再建法(切除端々吻合end-to-end anastomosis: EAAや拡大大動脈吻合extended aortic arch anastomosis: EAAA),補填物として自己動脈組織を用いるsubclavian flap法,補填物として異種組織等を用いたパッチ拡大法,人工血管置換法,extra-anatomic bypass法などが報告されている.一般的には心内操作を必要としないsimple coarctationの小児例の場合は成長可能性の保持,組織瘢痕化・瘤化予防のために左側開胸による補填物を用いない修復術,心内操作を伴うcoarctation complexや大動脈弓低形成を伴う場合は胸骨正中切開および人工心肺使用下による一期的修復術1),思春期や成人例の場合はパッチ拡大術,人工血管置換術やextra-anatomic bypass術が用いられることが多い.

EAAやEAAA法による外科治療後の縮窄再発率は2~5%程度と報告され2, 3),手術後再狭窄にはカテーテルインターベンション(バルーン拡張術またはステント留置術)が奏効することが多く第一選択と考えられている4).カテーテルインターベンション治療の効果が低い,または他の合併疾患を有する患者は再手術となる.

松尾らの報告5)では,外科手術後の再狭窄に大動脈弁閉鎖不全症を合併した症例に対する外科治療が詳細に述べられている.患者負担低減のため大動脈弁置換術を併施する一期的治療を志向し,そのため側開胸を併施した正中アプローチを用いている.側開胸の追加により心臓背面にある下行大動脈へのアクセスを担保,大動脈狭窄解除として人工血管置換術を行っている.松尾らも報告のなかで述べているとおり狭窄解除とともに合併症予防が非常に重要であり,施設や外科医によりアプローチ法,人工心肺確立法,また狭窄解除法は異なってくる.重要なのは複数の方法を考慮し,個々の患者に対して医療チームが最も適切と思われる方法を選択することである.本症例においても著者らは側開胸を併施した正中アプローチのほかに,単純な左側開胸アプローチ,上大静脈を離断して大動脈右側から下行大動脈にアプローチするright side median法などを検討しており,再建方法としても人工血管置換のほかにextra-anatomic bypass法も考慮している.個人的には比較的若年患者であるためascending sliding arch aortoplasty法6)なども選択肢として挙げられるのではないかと考える.

困難が予想される症例では,これらの術前検討を外科チームのみならず,心臓チーム全体で検討することが最も重要と思われる.

注記:本稿は,次の論文のEditorial Commentである.松尾諭志,ほか:大動脈縮窄術後再狭窄および大動脈弁閉鎖不全症に対して側開胸を併施した正中アプローチによる再手術の1例.日小児循環器会誌2023; 39: 31–36

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