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特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 39(2): 106-111 (2023)
doi:10.9794/jspccs.39.106

症例報告Case Report

発症1年後の心臓MRIで異常所見が残存している新型コロナウイルスワクチン関連心筋炎の1例A Case of Coronavirus Disease 2019 Vaccine-Associated Myocarditis with Abnormal Findings on Follow-Up Cardiac Magnetic Resonance Imaging One Year after Onset

1市立旭川病院小児科Department of Pediatrics, Asahikawa City Hospital ◇ Hokkaido, Japan

2日鋼記念病院小児科Department of Pediatrics, Nikko Memorial Hospital ◇ Hokkaido, Japan

受付日:2023年2月9日Received: February 9, 2023
受理日:2023年5月19日Accepted: May 19, 2023
発行日:2023年8月1日Published: August 1, 2023
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新型コロナウイルスワクチン関連心筋炎(C-VAM)は稀ではあるが,各国より報告され注目されており,今後のワクチン接種人口の増加により遭遇する機会が増える可能性がある.今回,半年以上に渡り心臓MRI(CMR)の異常所見が残存したC-VAM症例を経験したので報告する.症例は14才男児で新型コロナウイルスmRNAワクチン2回目接種後に発熱と胸痛が出現した.心電図変化と血清トロポニンI高値,およびCMRにて心筋炎と合致する所見があり,C-VAMと診断した.急性期はごく軽症で対症療法のみで軽快したが,心電図の正常化には1か月以上を要し,また罹患1年後のCMRでも遅延造影(LGE)での異常所見が残存していた.現時点でC-VAMの長期予後は不明であるが,C-VAM以外の心筋炎ではLGE所見の残存が長期予後と関連があると言われており,急性期が軽症であったとしても,長期の経過観察が必要と考えられた.

Coronavirus disease 2019 vaccine-associated myocarditis (C-VAM) is a rare complication, but it has been reported and has attracted attention from various countries. C-VAM occurrences may increase with the rise in the number of people vaccinated. Here, we report a case of C-VAM with persistent abnormal findings on cardiac magnetic resonance imaging (CMR) for one year after disease onset. A 14-year-old male patient presented with fever and chest pain after receiving the second dose of the coronavirus mRNA vaccine. Electrocardiogram (ECG) changes, elevated serum troponin I level, and abnormal CMR findings indicated C-VAM diagnosis. The acute phase was very mild which improved in a few days with symptomatic treatment alone; however, the ECG normalized after more than a month, and abnormal findings on late gadolinium enhancement (LGE)-CMR remained one year after disease onset. The long-term prognosis of C-VAM remains unclear. Residual LGE findings in non-C-VAM acute myocarditis have been associated with long-term prognosis. Therefore, long-term follow-up is necessary for C-VAM despite the mild clinical course of the acute phase.

Key words: coronavirus disease 2019 vaccine-associated myocarditis; cardiac magnetic resonance imaging

はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に対し,mRNAワクチンが開発され,有効性が示されているが,上記ワクチンの稀な有害事象としてワクチン後の心筋炎があり,まとまった報告1–4)がなされてきている.COVID-19ワクチン関連心筋炎(COVID-19 vaccination-associated myocarditis: C-VAM)は比較的軽症例が多いといわれている1, 2)が,長期予後に関しては現時点では不明である.

一方で心筋炎診断の検査として近年心臓MRI(CMR)の有用性が注目されており,加えてC-VAM以外の心筋炎においてはCMRの所見と長期予後との関連に関しての報告も散見され5–9),予後予測の手段としても有用とされつつある.

今回我々は,2回目のCOVID-19mRNAワクチン接種翌日に発症し,急性期には特異的な治療をせずに自然軽快したものの,複数回のCMRにてガドリニウム遅延造影(late gadolinium enhancement: LGE)での異常所見が残存しているC-VAM症例を経験したので報告する.

症例

症例

14歳,男性

既往歴

5歳時に急性糸球体腎炎

家族例

特記すべきことなし

現病歴

1回目のCOVID-19mRNAワクチン,コミナティ®(Pfizer/BioNTech)は2回目接種の21日前に行われ,2日間の接種部位の痛み以外には発熱や胸痛などは認めなかった.X日に2回目のコミナティ®を接種したところ,翌日(X+1日)朝より39°Cの発熱が出現した.X+2日には解熱傾向となったが,絞めつけられるような胸痛が出現したため近医を受診したところ,心電図で異常を認めたため当科に紹介入院となった.

理学所見

身長158 cm,体重57.5 kg,体温37.4°C,脈拍82回/分,血圧114/57 mmHg,SpO2 98%(室内気),顔色良好で末梢冷感を認めず,毛細血管再充満時間は2秒未満で末梢循環不全の兆候はなかった.心雑音や過剰心音・脈不整を認めず,肺野にラ音なく努力呼吸もなかった.痛みは前胸部の正中付近で,入院の時点ですでに痛みの程度は朝の1/3程度と短時間で自然軽快傾向を認めていた.

検査所見

血液検査(Fig. 1a)では好中球優位の白血球増多および,CRPの軽度上昇を認めた.またAST, LDH, CK, CK-MB,トロポニンIの上昇を認めたが,BNPは正常範囲内であった.その他生化学検査には異常を認めず,鼻咽頭SARS-CoV-2 PCR検査は陰性であった.また単純ヘルペスウイルス,水痘帯状疱疹ウイルス,パルボウイルスB19,アデノウイルス,RSウイルス,インフルエンザウイルスA型・B型,サイトメガロウイルス,EBウイルス,麻疹,風疹,ムンプスウイルス,コクサッキーA4, A6, B1, B2, B3, B4, B5, B6, B7の抗体価を入院時と1か月時にペア血清で比較したが,有意な上昇を認めなかった.

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Fig. 1 入院時検査所見:(a)血液検査および新型コロナウイルス検査,(b)胸部レントゲン,(c)安静時心電図

ALT, alanine transaminase; AST, aspartate transaminase; BNP, brain natriuretic hormone; CK, creatinine kinase; CK-MB, creatinine kinase MB; CRP, C-reactive protein; CTR, cardio-thoracic ratio; eos, eosinophil; Hb, hemoglobin; LDH, lactate dehydrogenase; lym, lymphocyte; Plt, platelet; SARS-CoV-2 PCR, polymerase chain reaction test for COVID19; seg, segmented cell; RBC, red blood cells; WBC, white blood cells.

胸部レントゲン(Fig. 1b)は, CTR 42%で心拡大や肺うっ血を認めなかった.入院時の心電図(Fig. 1c)にてII, III, aVF, V4-6誘導にST上昇を認めた.

心エコーでは明らかな壁運動異常はなく,左室拡張末期径46.9 mm(98%N)と心拡大も認めなかった.左室短縮率は32.9%でbiplane modified Simpson法で算出された左室駆出率(LVEF)は69%と低下はなかった.左室流出路から算出したcardiac indexは2.9 L/min/m2と心ポンプ機能は正常下限と判断した.Stress velocity indexは−0.9で,その他有意な弁逆流・拡張障害・心筋壁肥厚を認めず,心嚢液貯留もなかった.

CMR(General Electric社製Signa HDxt 1.5T®,造影剤ガドブトロール0.1 mL/kgを使用)を入院当日に施行したところ,基部側壁の外膜側にT2強調画像にて信号増強所見(Fig. 2a)を認めるのに加え,ガドリニウム遅延造影(LGE)にて左室基部の下壁から側壁(Fig. 3a)の心筋内に異常信号を認めた.CMRで測定されたLVEFは48%と心エコーの結果に反して軽度低下していた.安静時perfusionでは明らかな虚血はなく,冠動脈CTは施行しなかったが,心エコーでは冠動脈起始異常の所見は認めなかった.

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Fig. 2 心臓MRI T2強調画像(短軸)における側壁外膜病変の経過:(a)入院当日,(b) 2週間後

LV, left ventricle.

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Fig. 3 心臓MRI ガドリニウム遅延造影画像(短軸)における下壁側壁病変の経過:(a)入院当日,(b)2週間後,(c)4か月後,(d)8か月後,(e)1年後

LV, left ventricle; RV, right ventricle.

臨床経過

COVID-19mRNAワクチン接種後2日目に胸痛で発症し,心電図変化・血清トロポニンの上昇・CMRで心筋炎に合致する所見があることより,C-VAMの確定診断とした.入院時には解熱傾向で,胸痛は発症時より明らかに軽減していることと,心不全症状を認めず,検査上の心筋壁運動やポンプ機能がある程度保たれていたことより,心不全症状出現や不整脈について慎重に観察しつつ,対症療法として胸痛時のアセトアミノフェン投与のみで経過をみた.入院翌日のX+3日には血清トロポニンI 21.14 ng/mL, CK 1430 U/L, CK-MB 75 U/L, CRP 3.32 mg/dLと上昇したが,胸痛は消失し解熱が得られ同日午後には前述した逸脱酵素もすべて低下傾向となったため,追加治療はせず経過観察した.以降も心不全症状や不整脈を認めず,連日のエコー検査でも悪化傾向は現れなかった.また血液検査はX+6日にはほぼ正常化していたため,同日退院とした.入院中の心電図(Fig. 4)では,入院翌日X+3日目にはST上昇は消失しT波は陰転化した.その後退院時のX+6日目には改善傾向は認めるものの正常化には至らなかった.

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Fig. 4 心電図変化の経過(胸部誘導のみ,罹患前の学校心電図含む)

退院後は症状の再発や心筋マーカーの異常も認めなかったが,心電図が罹患前(学校心電図)と同じ状態に戻るまでには1か月以上を要した(Fig. 4).CMRのフォローアップも施行し,入院時CMRと同じMRI装置・造影剤を使用して比較した.2週間後のCMRでは,LVEFは57%と改善し,入院時に認めたT2強調画像の外膜側の異常信号(Fig. 2 a)は消失していた(Fig. 2b).しかしLGEの異常所見は残存し,心基部の下壁から側壁のLGEは入院時(Fig. 3a)より若干範囲が狭くなるものの,2週間後(Fig. 3b)・4か月後(Fig. 3c)・8か月後(Fig. 3d)にも異常所見が残存しており,最終的に発症1年後のCMR(Fig. 3e)でも異常所見が残存していた.

罹患後1年の経過中は,運動時の胸痛や動悸・失神など不整脈を疑わせるエピソードはなく,また運動部での競技的な運動を希望されていないこともあり,学校での体育程度の運動では制限なしとしているが,今後も運動中や感染などのストレス時における心不全症状や不整脈の出現などについて,長期的に注意深く経過観察予定である.

考察

C-VAMはCOVID-19mRNAワクチン後の稀な副反応の一つであり,2回目の接種後数日以内に発症する例が多く,30歳以下の思春期・若年成人の男性に好発すると報告されている2–10).典型的には接種後数日以内の胸痛(81–100%),発熱(31–67%),などで発症し1, 3),ショックなどの重篤な状態で受診するケース4)は非常に稀である.今回の症例に関しては上記の特徴をほぼすべて有しており,典型的な症例であったと考えられる.

C-VAMの急性期は完全房室ブロック1)や劇症型心筋炎11)となりICUでの濃厚な管理を要する例もあるがごく少数で,大半が特異的な治療を要さず数日の経過で症状が軽快していると報告され1, 2),一般的に短期予後は非常によいと考えられる.本症例に関しても同様に積極的な抗炎症治療を要さず,数日の経過で症状経過し退院となっていることからしても,急性期は非常に軽症で経過したものと思われた.しかしC-VAMの長期予後に関しては現時点では不明である.

米国のCDCによるC-VAM確定例の定義12)は,COVID-19ワクチン接種後に,胸痛などの臨床症状が新たに発生もしくは悪化することに加え,

  • トロポニンが正常上限以上の値,かつCMRでLake Louise criteria13)にもとづく心筋炎所見を認めること,もしくは心筋生検で心筋炎の病理所見があること,
  • 他の心筋炎の原因となる疾患の除外,

を満たすものとされている.今回の症例では他の心筋炎の原因除外に関しては急性期の時点では不明だったものの,症状・トロポニン・CMRが当てはまり,加えて前述のとおり年齢・性別などが典型的であることによりC-VAMの確定例と診断可能であった.

Lake Louise Criteria13)では,CMRにおいてT2協調画像による心筋浮腫の所見とT1 mappingやLGEなどによる心筋傷害の両方の所見がある場合に,特異度が高い心筋炎の診断が可能とされている.本症例では,T2強調画像での左室外膜側における心筋浮腫の所見に加え,LGEにて心筋内の心筋傷害を認め,上記診断基準を満たした.本症例では測定していないが,mapping技術による異常所見の定量化も進んでおり,今後はさらに高精度の診断が可能となると可能性がある13)

心筋炎診断におけるCMRの有用性は近年高まっており,AHAの心筋炎診療のガイドライン14)でもCMRの診断における重要性が以前より増しているという記載がある.実際小児では,カテーテルによる心内膜生検は侵襲性が大きく特に急性期では困難である場合が多いため,非侵襲的に行えるCMRのメリットは大きい.加えて本症例のようにT2での心外膜側での所見はカテーテルによる心内膜生検での評価が困難であり,CMRによる診断の方が感度の高い検査と考えられた.C-VAMの典型的なCMR所見は,ワクチン関連ではない他の心筋炎の所見と同様といわれており15),鑑別はMRI単独では困難であるため接種状況の確認や,最終的には心筋炎になりうる他の疾患の除外がC-VAMの診断には重要である.

CMRの役割は診断のみならず,C-VAM以外の心筋炎においては短期・長期予後の関連因子としても近年報告されている.Georgiopoulosら7)は19歳以上の成人におけるC-VAMを含まない急性心筋炎症例を対象としたメタアナリシスを行っている.9か月以上の経過観察期間において,急性期にLGEを認めた症例はLGEを認めなかった症例と比較し,心臓死を含む全死亡・心室性不整脈や,心不全入院を含む主要な心血管イベントが有意に多かったという結果であった.19歳以下のC-VAM以外の心筋炎症例における,LGEと短期および長期予後に関しての報告もある9).Sachdevaらは急性期にLGEを認める事は,LVEF<30%・ピークのBNP>10,000 ng/Lと並んで,短期・長期間での心臓移植や死亡の危険因子であると論じている.

上記はいずれも急性期のCMRであったが,本症例のように心筋炎後にLGEが残存した症例での検討もされている.Aquaroら5)は急性期にMRIで異常所見を認めた比較的軽症の急性心筋炎(C-VAMを含まない)の成人例を集め,6か月後のMRI所見と平均7年間の心蔵死や心移植および心不全による入院なども含めた予後を調査している.6か月後のCMRにて本症例のように浮腫の所見が消失しLGEのみ残存した症例は,浮腫・LGEとも消失した例と浮腫・LGEともに残存した例と比較し,イベントを起こすリスクが高いという結果であった.6か月後のCMRにて浮腫もLGEも消失した症例は10%おり,その症例は1例もイベント認めなかった.Aquaroらは考察で,心筋炎でのLGEは心筋梗塞のものとは違い完全に消失することがあり,不可逆な繊維化の所見のみならず,細胞間質からの造影剤wash-outの遅延が起こりうるすべての状況で認められると記載している.したがって浮腫・炎症細胞の浸潤・炎症細胞によるリンパ管機能の低下・炎症による心筋の充血などでも急性期に可逆性のLGE像を呈することがある.ただし数か月のLGE,もしくはT2強調画像の浮腫の画像が消失したあとに残存しているLGEは,すでに急性期の炎症が治っており不可逆な心筋障害である可能性が高く,遠隔期の心血管イベントの大きなリスク因子になりうると考察している.前述の通り上記LGEと長期的な心血管イベントに関する論文は,すべてC-VAMを含まないものであり,C-VAM症例に単純に当てはめることは年齢層や疾患の違いなどにより難しいが,本症例は1年後のCMRでも浮腫の所見のないLGEのみ残存した例であり,上記考察も含めて考慮すると,長期的に注意が必要な状態と考えられた.

C-VAMの長期的な予後や心血管イベントのリスクなどに関しては今後症例の蓄積が必要と思われるが,C-VAM罹患の数か月後のCMRの所見をまとめた報告も少しずつでてきている.Hadleyら16)は19歳以下のC-VAM症例10例を対象に,Alhusseinら17)は18歳以上のC-VAM症例20例を対象として,3か月後のCMRにおけるLGEの有無について検討している.対象となった症例はすべて急性期のCMRにて異常所見を認め,いずれも症状は軽度で3日程度で退院となっており,急性期の重症例や死亡例の記載はなかった.3か月後のCMRではLVEFはほぼすべての症例で正常となっていたが,LGE所見では範囲の縮小は得られていたものの,それぞれ80%, 90%の症例で残存していたとの報告であった.3か月間の経過観察中では死亡例や心不全などはいなかったとされているが,いずれの筆者も長期的な予後に関して経過観察および症例の蓄積が必要と記載している.今回の症例も急性期には積極的な抗炎症治療や集中治療が必要ではない軽症の状況と考えられたが,1年後のCMRでもLGEが残存し心筋のscarが残っている可能性が高く,長期的な経過観察が重要と思われた.

心筋炎後のLGE残存と運動制限の要否については現時点では明らかではないが,一般的に小児の心筋炎の罹患後は,心筋炎の原因によらず,機能的に改善していたとしても運動時の心臓突然死のリスクがあり,競技的な運動に関しては運動開始時期の検討や開始前の詳細な検査を推奨されている14).加えて前述のとおり心筋炎後のLGE残存は心血管イベントのリスクとされていることも合わせて考慮すると,本症例において部活動など本格的な運動を開始する際には,症状がなかったとしても運動負荷心電図などの検査をした上で,慎重に制限解除を判断する必要があると考えられた.

一般的にC-VAMは,COVID-19罹患に際した心筋炎よりも罹患率が低い2)とされているが,本邦では小児へのmRNAワクチン接種が努力義務となり,今後接種人口の増加に従いC-VAMに遭遇する可能性が高くなると思われる.急性期は非常に症状が軽く,短期間で改善する例が多いことから診断に至らない症例が増える可能性もある.症状が軽微であっても,本症例のように長期間にわたりCMRでscarのような異常所見が残存し,今後の予後に関与するかもしれない状況を考慮すると,ワクチン後の症状に気を配り,心電図・血清トロポニン測定での異常を認めた例に関しては,CMRによる積極的な心筋炎の診断・除外が非常に重要と考えた.またC-VAMの急性期にCMRで異常所見があった場合には,複数回のCMRを実施し長期にわたって経過観察をすべきである.

結語

14歳のC-VAM症例を経験した.急性期は軽症で経過したが,罹患1年後のCMRでもLGEの異常所見が残存していた.C-VAM以外の心筋炎の診療において,LGE所見とくに半年後のLGE所見は長期予後との関連が報告されており,C-VAMの長期予後が現時点では不明である点からも,C-VAM症例に対して長期的な経過観察が重要と考えられた.

利益相反

本稿に関連して,開示すべき利益相反事項はありません.

著者の役割

古川卓朗は症例の診断・治療に関与し,また筆頭著者として論文作成を行った.石川真一は症例の診断・治療に関与した.中嶋雅秀は論文内容に関する直接的な指導を行った.

付記

本稿の要旨は,日本小児科学会北海道地方会314回例会で発表した.また本症例の診断および急性期の経過についての短報が日本小児科学会雑誌127巻1号32–35に掲載されている.

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