日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 37(2): 151-152 (2021)
doi:10.9794/jspccs.37.151

Editorial CommentEditorial Comment

CPVTに対するICD植え込みImplantable Cardioverter-Defibrillator for the Patients with Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia

群馬県立小児医療センター循環器科Department of Cardiology, Gunma Children’s Medical Center ◇ Gunma, Japan

発行日:2021年8月1日Published: August 1, 2021
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カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)はまれではあるが小児期に好発する致死率の高い疾患であり小児循環器科医としては必ず知っておかねばならない.斉藤論文1)は大規模なCPVTの家族内集簇を認め新たなRyR2遺伝子変異が同定された家族例についての報告であり,CPVTの診断,管理方針を考えるうえで貴重な報告と考えられる.斉藤論文ではCPVTと診断された3名に対し薬物療法併用下に植え込み型除細動器(ICD)が植え込まれているが,本文中で著者も述べている通り,CPVT患者においてICD植え込みはβブロッカー,フレカイニドなど十分な薬物療法等を行っても心肺停止や失神,心室頻拍(VT)を認める場合にのみ施行されるべきであり,安易な植え込みは避けなければならない.

本稿ではCPVTのICD植え込みに関する治療方針について再考してみたい.

CPVTに対するICDの適応

CPVTは運動・ストレスを契機に多型性VTやVFを発症し突然死に至る疾患であり,ICDのショック作動に伴う疼痛・苦痛が交感神経興奮を亢進させてさらなる不整脈を惹起しElectrical Storm,さらには死亡にいたる危険がある.ショックや合併症のリスクも高く,CPVT患者の20–30%に不適切作動が生じるとされている2).本邦および海外のガイドラインでは適切な薬物治療または左星状神経節切除術を行っているにもかかわらず心肺停止,再発する失神,多型性VTもしくは二方向性VTを認める症例に限ってICD植え込みClass Iとされている2–4).一次予防については慎重な意見が多く,特に無症状のCPVT症例に対するICD単独治療はClass IIIとなっている4)

CPVTの安静時心電図は正常であり構造的異常も認められないため,運動や感情ストレスに伴った心停止が初発症状になる場合がある5)が,現在のガイドラインでは無治療で心停止を来したCPVT患者に対してのICD適応については明言されていない.

心停止で発症した未診断CPVTへの対応

小児においても心停止蘇生後の患者に対しては多くの場合において二次予防としてのICD植え込みが推奨されている2–4).そのため,心停止蘇生後の患者に対してはICD植え込みが考慮されることが多く,ICD植え込み後にCPVTと診断されることもある.

Werfら6)は心停止で発症しその後CPVTと診断された患者136名のうち初回から薬物治療や左星状神経節切除に加えICDが植え込まれた79例と植え込みを行わなかった57例との比較を行った結果,ICDを植え込まなかった群では突然死を認めなかったのに対し,ICD植え込み群では突然死3例,適切作動37例,不適切作動19例,デバイス関連合併症22例を認めており,初回からのICD植え込みは生存率を改善しないことを報告した.特に14歳以下の小児においてはICDのリスクが高かったと述べている.2017AHA/ACC/HRSガイドラインでも40歳以下の予期しない心停止や溺水,運動中失神に対してはCPVTをはじめとした遺伝性不整脈の評価が推奨されている2)

以上より,未診断の小児心停止蘇生後患者で明らかな器質的疾患や心電図の異常を認めない場合にはCPVTを念頭に負荷試験や遺伝子検査などを行い,CPVTと診断された場合にはすぐにはICD植え込みを行わず,まずは運動制限や薬物療法での管理を行うことが予後の向上につながると考えられる.

注記:本稿は,次の論文のEditorial Commentである. 斉藤裕子,ほか:複数の突然死を有するカテコラミン誘発多形性心室頻拍の一家系.日小児循環器会誌2021; 37: 144–150

引用文献References

1) 斉藤裕子,佐藤純一,高田展行,ほか:複数の突然死を有するカテコラミン誘発多形性心室頻拍の一家系.日小児循環器科会誌2021; 37: 144–150

2) Al-Khatib SM, Stevenson WG, Ackerman MJ, et al: 2017 AHA/ACC/HRS Guideline for management of patients with ventricular arrhythmias and the prevention of sudden cardiac death: A report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines and the Heart Rhythm Society. Heart Rhythm 2018; 72: 1677–1749

3) Priori SG, Blomström-Lundqvist C, Mazzanti A, et al; ESC Scientific Document Group: 2015 ESC Guidelines for the management of patients with ventricular arrhythmias and the prevention of sudden cardiac death: The Task Force for the Management of Patients with Ventricular Arrhythmias and the Prevention of Sudden Cardiac Death of the European Society of Cardiology (ESC). Endorsed by: Association for European Paediatric and Congenital Cardiology (AEPC). Eur Heart J 2015; 36: 2793–2867

4) 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン.https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2018_kurita_nogami.pdf

5) 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂)日本循環器学会.https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2017_aonuma_h.pdf

6) van der Werf C, Lieve KV, Bos JM, et al: Implantable cardioverter-defibrillators in previously undiagnosed patients with catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia resuscitated from sudden cardiac arrest. Eur Heart J 2019; 40: 2953–2961

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