日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 37(1): 1 (2021)
doi:10.9794/jspccs.37.1

巻頭言Preface

新型コロナウイルス感染症流行と小児循環器診療Pandemic of Coronavirus Disease 2019 and Pediatric Cardiology

久留米大学医学部小児科Department of Pediatrics and Child Health, Kurume University School of Medicine ◇ Fukuoka, Japan

発行日:2021年4月1日Published: April 1, 2021
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2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行のため嵐のように過ぎ去りました.そして米国・英国でワクチンが開発され,投与が開始されるなか,静かに2021年を迎えました.

2021年4月6日現在,世界での推定累計感染者数1億3,200万人(その4分の1弱が米国),死亡者数286万人,日本での累計感染者数49万人余り,死亡者数9,200人余りとなりました.全人口の3分の1が,首都圏と言われる1都3県に集中するいびつな人口分布の日本では,新規感染者と重症患者の増加に歯止めがかからず,2度の緊急事態宣言が発出されました.そして,第4波を目前にし,感染者数の増加は関西圏から全国にも急速に広がろうとしています.

一般小児科医院では耳鼻科と同様に,2020年4~6月には外来受診者数が例年の半数程度までに激減し,その後は元通りに回復しないまま経営を圧迫し,廃業する医院も出始めています.これは,患者の受診控えもありますが,マスク,手洗い,三密回避といった行動が,感染症自体を減少させていることも要因とされています.興味深いのは,この30年余り増加しつつけてきた川崎病の発生数が例年の半数程度と激減していることです.やはり一部の感染症が,川崎病発症のトリガーになっている証左と言える現象でしょう.

総合病院や大学病院でも,患者の受診控えや病院側の診療・入院制限により大幅な収入減少が起きています.COVID-19の持ち込みや院内感染を予防しつつ,病床稼働率を維持することは至難の業です.一部の施設では実際にCOVID-19の診療に設備・場所・人員を取られて,一般診療に影響が出始めており,日本でも医療崩壊が現実のものとなりつつあります.

一方,幸いCOVID-19が小児で重症化することは非常に稀です.欧米ではCOVID-19によるサイトカインストームで川崎病ショック症候群と同様の患者発生が報告されましたが,本邦,中国や韓国では,COVID-19と川崎病の合併自体が少なく,川崎病ショック症候群の発生はほとんど認めませんでした.これには,COVID-19がアジア人に比べて欧米人では重症化しやすいということも関係があるのでしょう.

我々が日常診療している先天性心疾患患者は心臓や肺に疾患を有すため,当然COVID-19に罹患した場合は重症化することが想定されています.しかし,今のところこれらの患者でのCOVID-19のクラスター発生はありません.

発熱外来,救命救急部,集中治療部などCOVID-19診療の最前線で働いている医療従事者に感謝するとともに,彼らをしっかりとバックアップし,感染を防御しつつ,我々の患者を一人一人日々着実に診療し,COVID-19をコントロールできる日を待ちたいと考えます.

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