日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
〒162-0801東京都新宿区山吹町358-5アカデミーセンター Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 35(S3): S3.1-S3.12 (2019)
doi:10.9794/jspccs.35.S3.1

ガイドラインGuideline

日本小児循環器学会 学校心臓検診 2次検診対象者抽出のガイドライン1次検診の心電図所見から―(2019年改訂Guideline for Selecting Candidates for Secondary Screening of Heart Disease in Schools: Electocardiographic Findings of the Initial Screening (JSPCCS2019)

1日本大学医学部小児科学系小児科学分野

2済生会横浜市東部病院総合小児科

3国立循環器病研究センター小児循環器内科

4名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学

5埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科

6秋田大学医学部小児科

7島根大学医学部小児科

8愛媛県立中央病院小児科

9愛知県済生会リハビリテーション病院

10国立病院機構鹿児島医療センター小児科

11曙町クリニック

12大濠こどもクリニック

13筑波大学医学医療系・小児科

14愛媛大学医学部小児科

15横浜市立大学医学部小児科

16公益財団法人東京都予防医学協会

17倉敷中央病院小児科

18すばるこどもクリニック

19東武鉄道株式会社診療所

20大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座

21循環器内科クリニックひらおか

発行日:2019年12月25日Published: December 25, 2019
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 はじめに

「学校心臓検診2次検診対象者抽出のガイドライン」1)は2006年に改訂され,学校心臓検診の心電図によるスクリーニングに広く活用されてきた.しかし10年以上経過し,心電図自動診断の進歩や児童生徒の成長発達,体格にも変化があり改訂が必要になった.

改訂にあたって,小児心電図研究委員会(前 日本小児循環器学会学校検診委員会)を中心に,国内約5万人の健康児童生徒の心電図を収集して正常値を作成し2),その正常値を参考にガイドラインの一部改訂を行った.

主な変更点として,上記による数値の訂正とともに,これまで点数制で判定されていた心室肥大判定基準の表をこの抽出基準にも取り入れ,点数制による判定基準をコード式での抽出基準と合わせて表記したこと,「Brugada型ST-T異常」「異所性心房調律」および「QT短縮」の基準と説明を取り入れたこと,多くの項目に正確性を期するための注釈を追記したことなどが挙げられる.

また,日本不整脈心電学会よりエキスパートコンセンサスステートメント3)が示され,心電図自動診断に用いられる診断名・所見名の検討が行われた.このエキスパートコンセンサスステートメントとも整合性を確認しつつ,用語などの一部を変更した.

研究経緯と方法および改訂案を2019年に現在の学校検診部会との合同会議で提示し,学会誌への掲載を行うことが承認され,今回の掲載に至った.

なお,本来はフィルター処理しない心電図記録が望ましいが,学校現場では大量の心電図を記録するためノイズや基線の揺れを除去する必要があり,フィルターを入れざるを得ないことが多い.今回の検討に使用した心電図はフィルター処理した心電図での基準である.フィルター処理した心電図はQRS波の波高に影響することがある.我々の検討では筋電図,ハムフィルター処理によりR波,S波はフィルター処理しない心電図の約10~15%減高することがわかっている.

また,基準となった正常心電図は,小,中,高等学校のいずれも1年生のものであるため,抽出基準はこれに対応し,小学生(低学年),中学生,高校生(表記はそれぞれ小学,中学,高校)での基準として判定するものである.今後,小学校4年生での心電図収集と解析を行い,小学校高学年で心臓検診を行う場合の基準を作成して提案することを目標としたい.

抽出基準のA群,B群,C群それぞれの判定は次のようである.合併所見がある場合は,より抽出の必要度が高い(A, B, Cの順に)所見に従う.

  • A群:2次以降の検診に抽出すべき所見
  • B群:その所見単独では必ずしも抽出しなくとも良い所見
  • C群:学校心臓検診では取り上げなくても良い所見

 I. Q波

1. 幅広いQ波
抽出区分コードNo.所見内容
A1-1-1|Q|/R≧1/3でかつQ≧0.03秒(I, II, V2~V6のいずれか)
1-1-2Q≧0.04秒(I, II, V1~V6のいずれか)
1-1-4QIII≧0.05秒でかつ|Q aVF|≧0.1 mV
1-1-5QaVF≧0.05秒
B1-1-3QaVL≧0.04秒でかつRaVL≧0.3 mV
1-2-20.04秒>Q≧0.03秒(I, II, V2~V6のいずれか)
1-2-40.05秒>QIII≧0.04秒でかつ|QaVF|≧0.1 mV
1-2-50.05秒>QaVF≧0.04秒
C1-2-1|Q|/R≧1/3でかつ0.03秒>Q≧0.02秒(I, II, V2~V6のいずれか)
1-3-11/3>|Q|/R≧1/5でかつ0.03秒>Q≧0.02秒(I, II, V2~V6のいずれか)
1-3-30.04秒>QaVL≧0.03秒でかつR aVL≧0.3 mV
1-3-40.04秒>QIII≧0.03秒でかつ|QaVF|≧0.1 mV
1-3-50.04秒>QaVF≧0.03秒
2. QSパターン
抽出区分コードNo.所見内容
A1-1-6胸壁上右隣の誘導に初期Rがある時のQSパターン(V2~V6のいずれか)
1-1-7QSパターン(V1~V4のすべて,またはV1~V5のすべて)
1-1-8QSパターン(V6)
1-2-3QSパターン(IまたはII)
1-2-7QSパターン(V1~V3のすべて)
1-3-6QSパターン(IIIおよびaVF)
C1-3-2QSパターン(V1およびV2)
3. 深いQ波
抽出区分コードNo.所見内容
A1-4-1|QV5|<|QV6|でかつ|QV6|≧0.5 mV
B1-2-6|Q|≧0.5 mV (IIIまたはaVF)
4. その他のQ波所見
抽出区分コードNo.所見内容
A1-5-1qR (S)パターン(V1)
注釈 
①Q波にコードNo. 1-2, 1-3の所見があるときはST部分とT波のコードNo. 4および5の所見に注意し,両者が併存するときは心筋虚血,心筋疾患の除外を十分に行うことが必要である.

 II.QRS電気軸

電気軸異常
抽出区分コードNo.所見内容
B2-1-0−30°≧QRS軸>−90°
2-4-1−90°≧QRS軸>−180°
2-1-10°≧QRS軸>−30°(小学低学年のみ,中学・高校ではC群)
2-2-1+135°≦QRS軸≦+180°
2-2-2+120°≦QRS軸<+135°
C2-3-0+90°≦QRS軸<+120°
2-5-0不定電気軸(注釈③)
注釈 
②高度なQRS電気軸偏位の場合は左脚前枝ブロックや左脚後枝ブロックが疑われるため,右脚ブロックやPR間隔延長がないかなどの所見に注意する.
③不定電気軸とはR波とS波の振幅が同程度のため電気軸の計測ができない場合をいう(電気軸が前額面に対して垂直).

 III.R・S波

1. 右室肥大の疑い
抽出区分小学低学年中学・高校
AV1のqR (S)パターン,またはR型
右側胸部誘導の高いR
RV1≧2.0 mV≧2.0 mV≧1.5 mV
V1がR<R′かつR′V1≧1.0 mV≧1.0 mV≧1.0 mV
V1がR>SかつRV1≧1.5 mV≧1.5 mV≧1.0 mV
B左側胸部誘導の深いS
|SV6|≧1.0 mV≧1.0 mV≧1.0 mV
V6がR≦|S|でかつ|SV6|≧0.5 mV≧0.5 mV≧0.5 mV
*右軸偏位(注釈④) QRS電気軸≧120°≧120°≧120°
他学年についてはデータがないので上記の値を参考にする.
2. 右室負荷・右室高電位(右室肥大疑いのR・S所見の部分とコードNo.)
抽出区分コードNo.所見内容
A3-2-0V1のqR (S)パターン(1-5-1)またはR型
3-2-2RV1≧2.0 mV
3-2-4RV1≧1.5 mV(中学女・高校女)
3-2-7V1がR<R′かつR′V1≧1.0 mV
3-2-3V1がR>SかつRV1≧1.5 mV
3-2-5V1がR>SかつRV1≧1.0 mV(中学女・高校女)
B3-5-1|SV6|≧1.0 mV
3-5-2V6がR≦|S|でかつ|SV6|≧0.5 mV
3. 左室肥大の疑い
抽出区分小学低学年中学・高校
A*左側胸部誘導のST-Tの肥大性変化(注釈④⑦)
左側胸部誘導の高いR
RV5≧4.0 mV≧4.5 mV≧3.5 mV
RV6≧3.0 mV≧3.5 mV≧2.5 mV
右側胸部誘導の深いS
|SV1|+RV5≧6.0 mV≧6.5 mV≧5.0 mV
|SV1|+RV6≧5.0 mV≧5.5 mV≧4.5 mV
左側胸部誘導の深いQ:|QV5|<|QV6|でかつ|QV6|≧0.5 mV≧0.5 mV≧0.5 mV
BII, III, aVF誘導の高いR
RIIおよびRIII≧2.5 mV≧2.5 mV≧2.5 mV
RaVF≧2.5 mV≧2.5 mV≧2.5 mV
*左軸偏位(注釈④) QRS電気軸≦0°≦−30°≦−30°
他学年についてはデータがないので上記の値を参考にする.
4. 左室負荷・左室高電位(左室肥大疑いのR・S所見の部分とコードNo.)
抽出区分コードNo.所見内容
A3-1-4RV5≧4.5 mV(中学男・高校男)
3-1-1RV6≧3.5 mV
3-3-3|SV1|+RV5≧6.5 mV
3-3-0|SV1|+RV6≧5.5 mV
3-1-6RV5≧3.5 mV(中学女・高校女)
3-1-3RV6≧2.5 mV
3-3-5|SV1|+RV5≧5.0 mV
3-3-2|SV1|+RV6≧4.5 mV
3-1-5RV5≧4.0 mV(小学低学年)
3-1-2RV6≧3.0 mV
3-3-4|SV1|+RV5≧6.0 mV
3-3-1|SV1|+RV6≧5.0 mV
B3-1-8RIIおよびRIII≧2.5 mV
3-1-9RaVF≧2.5 mV
注釈 
④*印はR・S波以外で肥大判定にとりあげる所見,QRS軸は他とあわせて判定する.
⑤WPW症候群や完全右脚ブロック,左脚ブロックがあれば,肥大の判定は困難である.
⑥肥満/やせ,乳房の発達などの理由で中学女子よりも高校女子の振幅が少し低くなる可能性がある.
⑦ST-Tの肥大性変化:V5またはV6誘導で高いR波を認め,T波が陰性または2相性(−~+型)のもの.ST区間は下降型ないし水平のことが多い.

 IV.ST接合部およびST区間

1. ST低下
抽出区分コードNo.所見内容
A4-1-1ST-J低下≧0.2 mVでST区間が水平または下降型(I, II, aVL, aVF, V1~V6のいずれか)
4-1-20.2 mV>ST-J低下≧0.1 mVでST区間が水平または下降型(I, II, aVL, aVF, V1~V6のいずれか)
9-2-4左側胸部誘導のST-Tの肥大性変化(注釈⑦)
B4-2-10.1 mV>ST-J低下≧0.05 mVでST区間が水平または下降型(I, II, aVL, aVF, V1~V6のいずれか)
4-3-1ST-J低下<0.05 mVでありST区間が下降型でST区間またはT波の最低部が基線より0.05 mV以上の低下(I, II, aVL, V2~V6のいずれか)
4-4-1ST-J低下>0.2 mVでST区間が上行型(I, II, aVL, aVF, V1~V6のいずれか)
C4-4-2ST-J低下>0.1 mVでST区間が上行型(I, II, aVL, V1~V6のいずれか)
2. ST上昇
抽出区分コードNo.所見内容
A9-2-2Brugada型ST-T異常(coved型)(注釈⑧・⑩)
9-2-3Brugada型ST-T異常(saddleback型)(注釈⑨・⑩)
C9-2-1ST区間上昇≧0.2 mV (II, III, aVF, V5, V6のいずれか)は6-4:WPW症候群,7-1:左脚ブロックがあれば取りあげない
注釈 
⑧Brugada型ST-T異常(coved型):右側胸部誘導(V1, V2, V3のいずれか)においてJ点で0.2 mV以上STが上昇し,かつcoved型(type 1) ST-T異常を認める場合
⑨Brugada型ST-T異常(saddleback型):右側胸部誘導(V1, V2, V3のいずれか)においてJ点で0.2 mV以上STが上昇し,かつsaddleback型(type 2) ST-T異常を認める場合
⑩Brugada型ST-T異常でsaddleback型(9-2-3)の所見は日内変動や日差変動等でcoved型(9-2-2)に変化することがあるので抽出する.Brugada型ST-T異常(saddleback型)では2次検診以降で1~2肋間上の右側胸部誘導を記録し,coved型への変化の有無を確認することが望ましい.

 V.T波

T波
抽出区分コードNo.所見内容
A5-1-1T陰性または2相性で,陰性部≧0.5 mV (I, II, aVL[R≧0.5 mV],aVF[QRSが主として上向き],V3~V6のいずれか)(小学低学年の胸部誘導は,V4~V6のいずれか)
5-2-1T陰性または2相性で,0.5 mV>陰性部≧0.1 mV (I, II, aVL[R≧0.5 mV],aVF[QRSが主として上向き],V4~V6のいずれか)(小学低学年のV4での0.4 mV>陰性部≧0.1 mVはB群)
5-7-1T波の交互脈(T wave alternans)
B5-3-1T平低(0),またはT陰性か2相性(−+型)で,陰性部<0.1 mV (ST区間が水平または下降型)(I, II, aVL[R≧0.5 mV],V5, V6のいずれか)(中学女・高校女ではC群)
5-6-1TV1陽性で,RV1≧|SV1|(小学低学年)
C5-4-1T陽性で,1/20>T/RかつR≧1.0 mV(I, II, aVL, V5, V6のいずれか)
9-5-1T>1.2 mV (II, III, aVF, V6のいずれか)は6-4:WPW症候群,7-1:左脚ブロック,7-2:完全右脚ブロックがあれば取りあげない
他学年についてはデータがないので上記の値を参考にする.

 VI.房室伝導

1. 完全房室ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A6-1-0第3度(完全)房室ブロック
2. 第2度房室ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A6-2-0第2度房室ブロック(高度):(注釈⑪)
6-2-1第2度房室ブロック(Mobitz II型)
6-2-2第2度房室ブロック(2 : 1房室ブロック)
6-2-3第2度房室ブロック(Wenckebach型)
3. PR間隔
抽出区分コードNo.所見内容
A6-3-0PR間隔>0.28秒
6-3-1PR間隔>0.24秒(小学低学年のみ,中学・高校ではB群)
B6-3-3PR間隔>0.20秒(小学低学年)
C6-5-1PR間隔<0.08秒
4. WPW症候群(デルタ波があるもの)
抽出区分コードNo.所見内容
A6-4-1WPW症候群
6-4-3間歇性WPW症候群
5. 変行伝導
抽出区分コードNo.所見内容
C6-6-0変行伝導
6. 人工ペースメーカ
抽出区分コードNo.所見内容
A6-8-0人工ペースメーカ
他学年についてはデータがないので上記の値を参考にする.注釈  ⑪第2度房室ブロック(高度)とは房室伝導比が3 : 1以下で,2心拍以上連続してQRS波が脱落する場合をいう.

 VII.心室内伝導

1. 左脚ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A7-1-1左脚ブロック:QRS幅≧0.12秒,かつVAT≧0.06秒(I, II, aVL, V5, V6のいずれか)でQ波がない(中学・高校)
7-1-2左脚ブロック:QRS幅≧0.10秒,かつVAT≧0.05秒(I, II, aVL, V5, V6のいずれか)でQ波がない(小学低学年)
7-1-3間歇性左脚ブロック
C9-7-2VATV6≧0.06秒は6-4:WPW症候群・7-1:左脚ブロックがあれば取りあげない(中学・高校)
9-7-3VATV6≧0.05秒は6-4:WPW症候群・7-1:左脚ブロックがあれば取りあげない(小学低学年)
2. 完全右脚ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A7-2-1完全右脚ブロック:QRS幅≧0.12秒,かつR′>RでVAT≧0.06秒(V1またはV2)(中学・高校)
7-2-2完全右脚ブロック:QRS幅≧0.10秒,かつR′>RでVAT≧0.05秒(V1またはV2)(小学低学年)
7-2-3間歇性完全右脚ブロック
C9-7-5VATV1≧0.06秒は6-4:WPW症候群,7-2:完全右脚ブロック,7-3:不完全右脚ブロックがあれば取りあげない(中学・高校)
9-7-4VATV1≧0.05秒は6-4:WPW症候群,7-2:完全右脚ブロック,7-3:不完全右脚ブロックがあれば取りあげない(小学低学年)
3. 不完全右脚ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A7-3-1不完全右脚ブロック:7-3-0があり,かつR′V1≧|SV1|(中学・高校)
7-3-3不完全右脚ブロック:7-3-2があり,かつR′V1≧|SV1|(小学低学年)
B7-3-0不完全右脚ブロック:QRS幅<0.12秒,かつR′>R (V1またはV2),またはV1R上行脚にノッチかスラーがあるもの(中学・高校)
7-3-2不完全右脚ブロック:QRS幅<0.10秒,かつR′>R (V1またはV2),またはV1R上行脚にノッチかスラーがあるもの(小学低学年)
C7-5-0QRS幅<0.12秒,かつR-R′型でR′≦R (V1またはV2)(中学・高校)
7-5-1QRS幅<0.10秒,かつR-R′型でR′≦R (V1またはV2)(小学低学年)
7-5-27-5-0または7-5-1があり,かつR′V1≧0.5 mVでRV1≧|SV1|
4. 心室内伝導障害(注釈⑬)
抽出区分コードNo.所見内容
A7-4-2心室内伝導障害:QRS幅≧0.13秒(高校男)
7-4-0心室内伝導障害:QRS幅≧0.12秒(中学男女・高校女)
7-4-1心室内伝導障害:QRS幅≧0.11秒(小学低学年)
5. 左脚前枝ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A7-7-0左脚前枝ブロック:QRS幅<0.12秒,かつI誘導の|Q|≧0.025 mVでQ幅<0.03秒とQRS軸≦−45°の左軸偏位
7-7-1左脚前枝ブロック:QRS幅<0.10秒,かつI誘導の|Q|≧0.025 mVでQ幅<0.03秒とQRS軸≦−30°の左軸偏位(小学低学年)
6. 2枝ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A7-8-02枝ブロック:7-2-1とQRS軸≦−45°の左軸偏位(中学・高校)
7-8-12枝ブロック:7-2-2とQRS軸≦−30°の左軸偏位(小学低学年のみ,中学・高校ではC群)
7. 3枝ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A7-9-03枝ブロック:7-8-0とPR>0.28秒(中学・高校)
7-9-13枝ブロック:7-8-1とPR>0.24秒(小学低学年)
他学年についてはデータがないので上記の値を参考にする.
注釈 
⑫コードNo. 7-3, 7-5の所見(不完全右脚ブロック)がある時は心音(図)所見に注意する.
⑬心室内伝導障害とは,洞調律を含む上室性の調律で,QRS幅が広がりその波形が左脚ブロックや右脚ブロックの定義に合致しない場合をいう.

 VIII.調律

1. 上室期外収縮
抽出区分コードNo.所見内容
A8-1-4多形性上室期外収縮
B8-1-1単形性上室期外収縮(ただし,散発の場合はC群)
2. 心室期外収縮
抽出区分コードNo.所見内容
A8-1-2単形性心室期外収縮
8-1-38-1-1と8-1-2の合併
8-1-5多形性心室期外収縮
8-1-62連発の心室期外収縮
8-1-7R on T型の心室期外収縮
3. 心室頻拍
抽出区分コードNo.所見内容
A8-2-1心室頻拍
4. 心室固有調律
抽出区分コードNo.所見内容
A8-2-2心室固有調律(注釈⑭)
5. 心房細動
抽出区分コードNo.所見内容
A8-3-1心房細動
6. 心房粗動
抽出区分コードNo.所見内容
A8-3-2心房粗動
7. 心房粗・細動
抽出区分コードNo.所見内容
A8-3-3心房粗・細動
8. 上室頻拍
抽出区分コードNo.所見内容
A8-4-1上室頻拍
9. 洞停止または洞房ブロック
抽出区分コードNo.所見内容
A8-5-1洞停止または洞房ブロック
10. 異所性心房調律
抽出区分コードNo.所見内容
B8-6-4異所性心房調律(注釈⑮)
11. 房室接合部調律
抽出区分コードNo.所見内容
A8-6-0促進房室接合部調律 心拍数(≧60/分)(注釈⑯)
B8-6-1房室接合部調律(注釈⑯)
12. 房室解離
抽出区分コードNo.所見内容
B8-6-2房室解離(完全房室ブロックを除く)(注釈⑰)
13. 補充収縮または補充調律
抽出区分コードNo.所見内容
B8-6-3補充収縮または補充調律
14. 洞頻脈(注釈⑱)
抽出区分コードNo.所見内容
A8-7-1心拍数(≧200/分)
8-7-2心拍数(≧180/分)
B8-7-3心拍数(≧150/分)
8-7-4心拍数(≧140/分)(中学・高校のみ,小学低学年ではC群)
C8-7-5心拍数(≧130/分)
8-7-6心拍数(≧100/分)
15. 洞徐脈(注釈⑱)
抽出区分コードNo.所見内容
B8-8-1心拍数(<40/分)
8-8-2心拍数(<45/分)(小学低学年のみ,中学・高校ではC群)
C8-8-3心拍数(<50/分)
8-8-4心拍数(<60/分)
16. その他の不整脈
抽出区分コードNo.所見内容
A8-9-9鑑別不能の不整脈
C8-9-1洞不整脈
他学年についてはデータがないので上記の値を参考にする.
注釈 
⑭心拍をつかさどるペースメーカが,洞結節以外の伝導系組織に移動した状態で,心室にあると考えられるものを心室(固有)調律という.⑮心拍をつかさどるペースメーカが,洞結節以外の伝導系組織に移動した状態で,右房下部,冠静脈洞,左房等に歩調取りがあると考えられるものを異所性心房調律という.
⑯房室接合部調律とは心拍をつかさどるペースメーカが洞結節以外の伝導系組織に移動した状態で,房室結節周辺にあると考えられるもの.P波はII・III・aVf誘導で陰性を呈し,かつR波の直前(PR時間が小学低学年0.09秒未満,中学・高校0.1秒未満) ・同時(P波はRに隠れて見えず)・直後(逆行性P)のいずれかのパターンとなる.P波が見られない場合は洞機能不全の有無をチェックする.接合部の歩調取りは,通常洞結節より発生頻度が低く30–60/分であるが,それより高頻度の場合は促進房室接合部調律という.
⑰房室解離は心房の興奮が房室結節以下の不応期にあたり心室に伝わらないが,不応期を脱したものは伝わるもので,不応期に関係なく心房の興奮が心室に伝わらない完全房室ブロックを除いた場合をいう.
⑱頻脈または徐脈傾向がある場合は調律異常に留意する.

 IX.その他

1. 低電位差
抽出区分コードNo.所見内容
B9-1-0低電位差:QRS<0.5 mV (I, II, IIIのすべて)またはQRS<1.0 mV (V1~V6のすべて)
2. 心房負荷
抽出区分コードNo.所見内容
B9-3-1P≧0.30 mV (II, III, aVF, V1のいずれか)
9-3-3P幅≧0.12秒(I, II, aVLのいずれか)(中学・高校)
9-3-4P幅≧0.10秒(I, II, aVLのいずれか)(小学低学年)
9-3-59-3-3または9-3-4があり,P 2相性で陽性部<陰性部(V1またはV2)
C9-3-2P≧0.25 mV (II, III, aVF, V1のいずれか)
3. 右胸心
抽出区分コードNo.所見内容
A9-6-1右胸心
4. QT延長(注釈⑲)
抽出区分コードNo.所見内容
A9-7-1自動計測法によるQT延長のスクリーニング基準: Fridericia補正したQTc値で0.45秒以上.
自動計測でのデータはないのであくまで目安である(自動計測法でのQTc値は接線法のQTc値より約20 ms長いことから0.45秒以上としてある).
抽出された場合,マニュアル法(接線法,下表)で再判読することが推奨される.T波の形状も診断の参考になる.
表:接線法によるQT延長のスクリーング基準
小学低学年(男女とも)0.43秒
中学(男女とも)0.44 秒
高校男 0.44秒,高校女 0.45秒
他学年についてはデータがないので上記の値を参考にする.
5. QT短縮
抽出区分コードNo.所見内容
A9-7-6Bazett補正した上で,QTc値で0.32秒以下(注釈⑳)
6. とりなおし
抽出区分コードNo.所見内容
A9-8-0基線の動揺,交流障害,筋電図の混入または他の技術的欠陥のために解析不能なもの
7. 陰性U波
抽出区分コードNo.所見内容
B9-9-1陰性U波
注釈 
⑲9-7-1の所見(QT延長)がある時は特徴的なT波に留意する.すなわち,切れ込みのあるT波(notched T wave),T波交互脈(T wave alternans),幅広いT波(broad based T wave),遅く出現するT波(late appearing T wave)等である.
⑳QT短縮の基準としては意見の相違があり,世界的に一致した基準はない.接線法で測定し(マニュアル測定し),Bazett法で補正した場合の基準値には以下のような報告がある.小学1年男子0.325秒以下,中学1年男子0.315秒以下,高校1年男子0.305秒以下,女子は小学・中学・高校1年とも0.320秒以下(Hazeki D, et al. Circ J, 2018; 82(10): 2627–2633).

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