日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
〒162-0801東京都新宿区山吹町358-5アカデミーセンター Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 33(2): 163-168 (2017)
doi:10.9794/jspccs.33.163

原著Original

肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症の術後早期~遠隔期における治療介入の検討Early and Long-term Outcomes of Pulmonary Atresia with Ventricular Septal Defect after Biventricular Repair

1あかね会土谷総合病院小児科Department of Pediatrics, Tsuchiya General Hospital ◇ Hiroshima, Japan

2あかね会土谷総合病院心臓血管外科Department of Cardiovascular Surgery, Tsuchiya General Hospital ◇ Hiroshima, Japan

受付日:2016年11月21日Received: November 21, 2016
受理日:2017年1月22日Accepted: January 22, 2017
発行日:2017年3月1日Published: March 1, 2017
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背景:当院では乳幼児期に行う肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症(PA/VSD)の修復術において可能な限り後壁に自己組織を用いた右室流出路再建術(RVOTR)を施行している.

方法:対象は1996~2015年に3歳未満で修復術を行ったPA/VSD 18例.RVOTRにおいて後壁に自己組織を用いた12例(A群)とexpanded polytetrafluoroethylene導管を用いた6例(C群)に分けて再手術と再介入の回避率とその期間,術後肺動脈狭窄へのバルーン拡張術の効果について検討した.

結果:A群,C群の再手術回避率;5年72.7%,62.5%: 10年72.7%,0%,再介入回避率;1年63.6%,50.0%: 3年36.4%,16.7%であり,A群のほうが高い傾向を認めた[p=0.35, 0.16,ハザード比0.47, 0.47].バルーン拡張術はA群;10件12か所,C群;10件14か所で,右室圧/左室圧比の変化では有意差は認めなかったが,再手術のないA群の症例(6件8か所)では有意に低下していた[p=0.001].

結論:後壁に自己組織を使用するRVOTRは再手術時期を遅らせる可能性がある.

Background: We use autologous tissue (AT) for the posterior wall during repair of the right ventricular outflow tract (RVOTR) whenever possible during biventricular repair (BVR) in infants with pulmonary atresia with ventricular septal defect (PAVSD).

Methods: This study included 18 patients who underwent BVR for PAVSD by age 3 at our institute between 1996 and 2015. Patients were divided into groups of 12 and 6 who underwent RVOTR using AT as the posterior wall of the RVOT (Group A) and an expanded polytetrafluoroethylene conduit (Group C), respectively.

Results: Rates of freedom from reoperation and re-intervention tended to be higher in Group A than C (reoperation at 5 and 10 years, 72.7% vs 62.5% and 72.7% vs 0%, respectively; re-intervention at 1 and 3 years, 63.6% vs 50.0% and 36.4% vs 16.7%, respectively; p=0.35 and p=0.16, respectively; hazard ratio [HR], both 0.47). Postoperative pulmonary artery stenosis was treated by balloon dilation in Group A (10 times for 12 lesions) and Group C (10 times for 14 lesions). The ratio of right ventricular/left ventricular peak systolic pressure (RVP/LVP) did not significantly differ before and after treatment in both groups. The RVP/LVP significantly decreased among patients who did not undergo reoperation in Group A (6 times for 8 lesions; p=0.001).

Conclusions: Applying RVOTR with AT as the posterior wall of the RVOT for BVR in infants with PAVSD may postpone the need for reoperation.

Key words: pulmonary atresia with ventricular septal defect; right ventricular outflow tract repair; reoperation; postoperative pulmonary stenosis; balloon dilatation

はじめに

肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症(pulmonary atresia with ventricular septal defect: PA/VSD)は,動脈管からの血流が連続性のある中心肺動脈に供給されるものから,中心肺動脈の連続性を欠き複数の主要体肺動脈側副動脈(major aortopulmonary collateral artery: MAPCA)を介して実質内肺動脈に供給されるものまで様々である1).修復術までの治療計画は症例により異なるが1),近年,ほとんどの症例で新生児期から乳幼児早期に修復術が行われるようになってきている2).右室流出路再建術(right ventricular outflow tract reconstruction: RVOTR)において様々な素材の使用や,再建方法が試みられているが,後に導管狭窄や弁機能不全により再手術が必要となることが多い1–3).再手術回避のため,RVOTRにおいて可能な限り自己組織を用いることで再手術を回避できる可能性が高く4),当院では乳幼児のRVOTRにおいても可能な限り後壁に自己肺動脈や心膜などの自己組織を用い,前壁に人工物を使用する術式を選択している.

目的および方法

1996年11月から2015年11月までに当院で3歳未満で二心室修復術を行ったPA/VSD症例は20例だった.うち1例は術後早期に他院へ転院となり,1例は上気道感染による窒息で死亡したため,今回の検討から除外した.18例のうち初回修復術のRVOTRの際,後壁に自己組織を使用した12例をA群,expanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)導管を使用した6例をC群とし,再手術および再介入(再手術またはカテーテルインターベンションと定義)の回避率とその期間,修復術後肺動脈狭窄に対するバルーン拡張術の効果について後方視的に比較検討した.

患者背景について,正規性の検定を行ったのち,連続変数は平均値(標準偏差)または,中央値[最小値–最大値]で表記し,2群間の比較をt検定またはMann–WhitneyのU検定で行った.割合の比較はFisherの正確確率検定で行った.修復術後,最初の再手術および再介入の検討にはKaplan–Meier曲線を作成し,Log-rank検定およびCox回帰分析を用いて比較した.バルーン拡張術前後の治療効果の比較にはt検定を用いた.有意水準は両側p値0.05未満を有意差ありとした.統計解析にはSPSS statistics Ver. 21を使用した.

結果

患者背景

患者背景をTable 1に示した.A群のほうが,C群と比較し出生時体重が有意に小さかった.その他の項目については両群間で有意差は認めなかった(Table 1).主要体肺動脈側副動脈(major aortopulmonary collateral artery: MAPCA)を合併しない症例は全例,体肺動脈短絡作成術を経て修復術を行った.MAPCA合併例は3例で,C群の1例は体肺動脈短絡作成術を施行し,修復術前にMAPCAのコイル塞栓術を行った.2例は体肺動脈短絡作成術と同時にMAPCAの統合手術を行った.肺動脈狭窄に対し修復術,または体肺動脈短絡作成術時にA群で4例(33.3%),C群で5例(83.3%)に肺動脈形成術を行った.修復術は平均月齢20.1か月,平均体重8.43 kgで施行した.A群のRVOT後壁に使用した材料は自己心膜3例,自己肺動脈8例,MAPCA壁1例だった.前壁に使用した材料はePTFEパッチ4例,自己心膜パッチ2例,ポリエステル製人工血管(Hemashield Woven Double Velour Fabric®)パッチ1例(いずれもePTFEを使用した1弁付き),1弁付きブタ心膜パッチ5例だった.C群で使用した導管はすべてePTFE導管(口径12 mm; 1例,14 mm; 4例,16 mm; 1例,いずれもePTFEを使用した1弁もしくは3弁付き)だった.最終受診時に中等度の肺動脈弁逆流を認めたものはA群5例(41.7%),C群1例(16.7%)だった.

Table 1 Patient’s characteristics
VariableStatistic/LevelAll patients (n=18)Group A (n=12)Group C (n=6)p
SexMale12 (66.7%)7 (58.3%)5 (83.3%)ns
Female6 (33.4%)5 (41.7%)1 (26.7%)
Chromosomal anomaly5 (27.8%)3 (25.0%)2 (33.3%)ns
MAPCAs15 (83.3%)11 (91.7%)4 (66.7%)ns
3 (16.7%)1 (8.3%)2 (33.3%)
Gestational age (weeks)Median [range]38.3 [31.1–40.4]36.9 [31.1–40.4]39.6 [36.7–40.0]ns*
Birth weight (kg)Mean (SD)24.0 (0.68)2.22 (0.77)2.78 (0.11)0.04
Age at BVR (months)Mean (SD)20.1 (9.33)20.7 (9.69)19.0 (9.34)ns
Body weight at BVR (kg)Mean (SD)8.43 (2.42)8.32 (2.64)8.66 (2.12)ns
Nakata index (mm2 *m−2)Median [range]245 [139–615]274 [152–615]210 [139–360]ns*
Period of observation (years)Mean (SD)9.20 (5.72)10.0 (6.66)7.47 (2.87)ns
Patients undergoing reoperation7 (38.9%)4 (33.3%)3 (50.0%)ns
Number of catheter interventions after BVRMean (SD)1.2 (1.1)0.5 (1.2)2.0 (1.6)ns
Pulmonary regurgitationModerate6 (33.3%)5 (41.7%)1 (16.7%)ns
Mild11 (61.1%)7 (58.3%)4 (66.7%)
NA1 (5.6%)0 (0.0%)1 (16.7%)
MAPCAs: major aortopulmonary collateral arteries, BVR: biventricular repair, SD: standard deviation, NA: not available, ns: not significant, *Mann–Whitney U test

再手術と再介入の比較

経過中にA群では4例(33.3%)で計5件,C群では3例(50.0%)で計4件,修復術後に再手術を行った.再手術の理由と術式はA群では左肺動脈狭窄に対する肺動脈形成術が1件,肺動脈形成+再RVOTRが1件,分岐部肺動脈狭窄に対する再RVOTRが1件,三尖弁逆流と不整脈に対するペースメーカー植え込み+三尖弁形成+再RVOTRが1件,RVOTの狭窄に対する再RVOTRが1件だった.C群は導管狭窄による導管の入れ替えが2件,再RVOTRが1件,左肺動脈狭窄,三尖弁逆流による肺動脈形成+RVOTR(1弁付きパッチによる拡大)+三尖弁形成が1件だった.今回の検討でRVOTの弁逆流のために再手術を要した症例はなかった.再手術回避率はA群;72.7%(5年),72.7%(10年)に対し,C群;62.5%(5年),0%(10年)だった.統計学的有意差は認めなかったがA群が高い傾向だった.修復術後にカテーテル治療を行った症例はA群で6例(50.0%,うち再手術例3例)12回,C群で6例(100.0%,うち再手術例3例)11回だった.再介入回避率はA群;63.6%(1年),36.4%(3年)に対し,C群;50.0%(1年),16.7%(3年)だった.統計学的有意差は認めなかったがA群が高い傾向であった(Fig. 1).A群のうち4例(33.3%)は初回修復術後10年以上再手術を必要とせず,うち3例(25.0%)は再介入も必要としなかった.

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Fig. 1 Kaplan–Meier estimates of freedom from reoperation and re-intervention

術後肺動脈狭窄に対するバルーン拡張術の効果

修復術後の肺動脈狭窄に対するバルーン拡張術はA群で10件(12か所),C群で10件(14か所)に行った.病変の内訳は肺動脈の分岐部狭窄がA群;11か所(吻合部6か所,吻合部より遠位部5か所),C群11か所(吻合部8か所,吻合部より遠位部3か所),導管内狭窄がC群で1か所,末梢性肺動脈狭窄に対するステント留置後のステント内狭窄がA群;1か所,C群;2か所だった.使用したバルーンは20か所がnon-compliant balloon, 3か所がsemi-compliant balloon, 1か所がcutting balloon, 2か所が不明だった.両群とも局所の治療前後の圧較差は有意に低下していたが(A群;前35.7±17.0 mmHg,後22.5±20.2 mmHg[p=0.01],C群;前27.9±19.8 mmHg,後16.2±12.3 mmHg[p=0.01]),右室圧/左室圧比(RVP/LVP)は有意差を認めなかった(A群;前0.69±0.14,後0.64±0.15, C群;前0.74±0.26,後0.69±0.20)(Fig. 2).再手術を行わなかった症例のみで検討したところ,A群(6件8か所)では圧較差およびRVP/LVPとも有意に低下していた(圧較差;前38.6±14.1 mmHg,後17.6±14.1 mmHg, RVP/LVP;前0.73±0.15,後0.61±0.15[p=0.001]).C群(5件7か所)では圧較差,RVP/LVPとも有意差を認めなかった(圧較差;前11.7±8.54 mmHg,後8.14±6.72 mmHg, RVP/LVP;前0.54±0.12,後0.55±0.16).再手術を行った症例のみで検討したところ,A群(4件4か所)では圧較差,RVP/LVPとも有意差は認めなかった(圧較差;前29.8±23.1 mmHg,後32.3±29.1 mmHg, RVP/LVP;前0.62±0.14,後0.68±0.15).C群(5件7か所)では圧較差は有意差を認めたが(前44.0±15.4 mmHg,後24.3±12.5 mmHg[p=0.02]),RVP/LVPは有意差を認めなかった(前0.94±0.23,後0.83±0.15).

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Fig. 2 Efficiency of balloon dilation for treating postoperative pulmonary artery stenosis

考察

乳児期の修復術における術式の選択と再手術について

PA/VSDは早期にチアノーゼおよび,右室圧負荷を解除するために,乳幼児期に修復術が行われるようになってきた2).複雑なMAPCAを合併しないPA/VSD症例であれば新生児期の一期的修復術は体肺動脈短絡術を挟んだ二期的修復術と比較し遜色ない成績が得られるという報告がされている1, 2).導管を使用したRVOTRにおいて,本邦ではhomograftの入手が困難なことからPTFEやポリエステル製人工血管が多く使用されている.山岸らが報告したbulging sinus付き3弁付きePTFE導管などは良好な中期遠隔期成績を残している3)ものの成長に伴う導管の交換は必須で,修復術施行年齢の若年化により,口径の小さい導管を使用せざるを得ず,導管狭窄などにより導管の交換時期が早くなるという問題を抱えている2).AlsoufiらはPA/VSDの修復術におけるRVOTRで,transannular patch(TAP)による修復のほうが導管による修復よりも再手術のリスクが低いと報告した2).IsomatsuらはPA/VSDを含む小児の先天性心疾患のRVOTRにおいて,自己肺動脈の使用ができない場合には自己心膜導管により右室と肺動脈の連続性を作ることで長期的に再手術や死亡を回避できると報告した4).松尾らは平均2歳4か月のPA/VSD症例に対し,RVOTの後壁に自己肺動脈から作成した有茎フラップを,前壁に1弁付きパッチを使用し,中心肺動脈の狭窄や低形成を認めた症例では広範囲な肺動脈形成を同時に施行し,11か月から25か月の追跡期間で良好な成績を得たと報告した5).先天性心疾患におけるRVOTRの際になるべく自己組織での修復を目指すことは自明のことであるが6),長期的な経過については不明な点が多い.当院では3歳未満の乳幼児における修復術で,RVOTの発育を期待し可能な限り後壁に自己組織を使用する修復法を選択してきた.その適応は,①RVOTと主肺動脈の痕跡が存在し組織的な連続性を認めた症例,②RVOTの痕跡が存在しないが,肺動脈を右室の切開線まで無理なく引き下げることができた症例,③肺動脈を右室の切開線まで引き下げられない場合でも自己心膜やその他の自己組織が十分に確保できた症例とした.一方,RVOTの痕跡が存在せず主肺動脈がないものや低形成なもので,肺動脈を右室の切開線へ引き下げられず,自己組織を十分に確保できなかった症例や,RVOTや主肺動脈の状態にかかわらず,術後に高い肺動脈圧が予想された症例は導管による修復術を選択してきた.今回の検討で,A群の再手術5件のうちRVOTの狭窄で再RVOTRを行った症例は1件(20.0%)のみだった.一方,C群では導管狭窄で導管の交換もしくはRVOTRを行ったのは4件中3件(75.0%)だった.このことから,後壁に自己組織を使用することで,RVOTの狭窄による再手術が回避できる可能性が示唆された.

一方で,今回の検討ではRVOTRにおけるパッチおよび導管の吻合部,またはそれより遠位の肺動脈狭窄により再手術を行った症例が目立った(A群4件,C群1件).再手術に至っていない症例でも,肺動脈狭窄に対しバルーン拡張術を行った症例が多かった.肺動脈の形態が肺循環や肺動脈の発育に大きく影響を与え7),ファロー四徴症(TOF)ではTAPによるRVOTR後の弁逆流や右室流出路,右室の拡大により術後に左肺動脈狭窄が起こることがある8).術後肺動脈狭窄は術前のMAPCAの有無や中心肺動脈の形態,RVOTや導管の径,術後の弁逆流などの影響を受け,修復法にかかわらず再手術適応の重要な要素となると考えられた.

当院ではこれまで積極的に後壁に自己組織を使用することによるRVOTの発育の可能性を優先し,1弁付きパッチによる弁逆流はある程度許容してきた.弁逆流による症状が出現した場合や,不可逆性にならない程度の右室拡大を認めたタイミングで再手術を行う方針をとってきたが,RVOTR後の弁逆流による再手術の時期については未だ一定のconsensusが得られていない9).後壁を自己組織で再建し,前壁に1弁付きパッチを当てて修復した場合,3弁付き導管による修復よりも弁逆流が起こりやすい3).弁逆流により,右室機能が低下すると言われているが10),TOF術後において右室機能低下には右室の切開や11),術前の心筋リモデリング,1歳以上の手術年齢なども関与すると言われている12).PA/VSD術後の右室機能においても弁逆流のみならず複雑な要素が関わっていると考えられる.今回の検討で,両群とも中等度以上の弁逆流を認めている症例があったが弁逆流に伴う右室機能低下により再手術を行った症例はなかった.再手術を遅らせる目的において,弁逆流を許容し,自己組織による修復でRVOTの発育を促すことを優先する当院の方針は妥当であったと考えられたが今後もさらなるデータの蓄積が必要である.

PA/VSD術後のカテーテル治療について

先天性心疾患の術後肺動脈狭窄に対し,再手術を回避するため,わが国ではバルーン拡張術を行うことが多く,近年ではnon-compliant balloonの使用頻度が増加し,術後肺動脈狭窄に対する有効性が報告されている13).今回の検討では,ほとんどの症例でnon-compliant balloonが使用されていた.再手術を行わなかった症例で,A群では圧較差,RVP/LVPとも有意な低下を認めた.A群はバルーン拡張を繰り返し行うことで,再手術までの期間を延長できる可能性が示唆された.

海外ではカテーテル治療による肺動脈弁置換(transcatheter pulmonary valve replacement; TPVR)が行われており,先天性心疾患におけるRVOTR後の弁逆流やRVOTの狭窄に有用という報告がされている14).PA/VSDにおいて,初回の修復術で後壁に自己組織を使用したRVOTRを行い,バルーン拡張術を併用しながらRVOTの成長を待って,遠隔期にTPVRを行うことで再手術の回避が期待できると考えられる.今後,わが国でも再RVOTRの選択肢としてTPVRの適応が望まれる.

研究の限界

今回の検討では症例数が少なかったためMAPCA合併症例を含めて検討を行った.統計学的有意差はなかったが,C群ではMAPCA合併症例の割合が高かった.また,体肺動脈短絡作成術後,全例で酸素飽和度の低下を認めた時点で初回修復術を行った.そのため,平均体重は8.66 kgで導管の口径が14 mm以下のものを選択した症例が多かった.A群では後壁に自己肺動脈と自己心膜を使用したものを同じ群として扱い,前壁に使用した素材については考慮しなかった.これらが再手術や再介入に影響を与えた可能性も考えられた.バルーン拡張術の検討については,施行時期によりバルーンの種類が異なったこと,ステント留置を行っていた症例が存在したことなどが治療結果に影響を与えた可能性が考えられた.

結語

PA/VSD乳幼児例のRVOTRにおいて後壁に自己組織を使用する方法により,術後肺動脈狭窄に対するバルーン拡張術の効果が期待でき,再介入,再手術の時期を遅らせる可能性がある.

利益相反

日本小児循環器学会の定める利益相反に関する開示事項はありません.

付記

本論文の要旨は第52回日本小児循環器学会総会・学術集会(2016年7月,東京)にて発表し,座長から投稿推薦を受けた.

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