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特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 32(2): 69 (2016)
doi:10.9794/jspccs.32.69

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日本小児循環器学会第12回教育セミナーによせて

1日本小児循案器学会教育委員会委員長

2広島市民病院循環器小児科

発行日:2016年3月1日Published: March 1, 2016
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心エコー検査は現代の聴診器と言ってもよいほど,われわれの身近にあり,なくてはならない検査法になっています.しかしながら,一口に心エコーと言っても,B-mode,m-mode,カラードプラだけで評価していた時代とは異なり,組織ドプラ法,スペックルトラッキング法,3次元心エコーなど,評価法も多岐にわたるようになってきました.これらの進歩に伴い,収縮能のみならず,拡張能評価が容易になり,局所運動の解析,心室容積の評価,術前,術中における房室弁逆流評価もより正確になってきました.

ただ,学会でこれら評価法について聞いたことがあっても,またその有用性について認識していたとしても,日常臨床の中でそれを活かすことができているかということになると,少々話が違ってくるのではないでしょうか.

そこで,今回は「わかりやすい」をモットーに,第一部を下記のように構成してみました.

  • I: Step up! 心エコー
    • 1)組織ドプラ 森 一博先生
    • 2)Speckle tracking法 増谷 聡先生
    • 3)3Dエコー 瀧聞浄宏先生

また,第二部として冠動脈疾患を取り上げてみました.川崎病の診療を行う上で,冠動脈の描出・評価は必須であり,多くの小児科医(少なくとも循環器を自分の専門としている医師)は冠動脈起始部の描出に慣れているでしょう.しかしながら,先天性心疾患では,冠動脈の起始・走行に種々のバリエーションが認められます.そして冠動脈に対する手術介入が必要になる場合はもちろん,冠動脈の走行により術式変更を余儀なくされることも稀ではありません.冠動脈の評価と,それを理解した上での手術介入は,手術成績と直結する重要な問題となっています.その点を勘案して,冠動脈の画像診断から手術方法まで,下記のように三部立てで構成してみました.

  • II: Step up! 先天性冠動脈疾患
    • 1)冠動脈疾患の画像診断 新居正基先生
    • 2)先天性心疾患の外科治療:冠動脈関連の合併症をいかに避けるか 中野俊秀先生
    • 3)先天性冠動脈疾患の外科治療:ARCAPA,coronary arterial fistulaなど 井本 浩先生

セミナーに参加いただいた先生方は,すでにこれらの有用な知識・情報を実際の診療の中で役立てていることと思いますが,ここに再度学会雑誌にまとめていただきました.読み応えのある内容になっていますので,何度も読み返し自分のものにしていただければ幸いです.

最後になりましたが,今回のセミナー開催に際して,ご尽力いただきました講師の先生方,座長の岸本英文先生,第51回日本小児循環器学会総会会長の東邦大学 佐地勉先生に深謝いたします.

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