高齢者での単純短絡心疾患
1 東京大学医学部附属病院 循環器内科
2 東京大学保健健康推進本部
高齢成人先天性心疾患(ACHD)において単純短絡の頻度は高い.最も頻度が高い疾患は心房中隔欠損症(ASD)である.高齢者のASDでは長年の右心負荷から,心不全や弁膜症,心房細動の合併率が増加し,病態が複雑となる.カテーテル治療の普及に伴い高齢ASD患者でも閉鎖を行うようになってきているが,心不全や心房細動を来したASDの閉鎖においてはまず十分に心不全や心房細動の治療を行ってから閉鎖に臨む必要がある.高齢ASD患者では右心負荷のみではなく,左室拡張能低下を伴っており閉鎖時,閉鎖後慢性期を通して鬱血に注意が必要である.心室中隔欠損症(VSD)は高齢ACHDにおいて2番目に頻度が高い.成人までVSDが残存している症例は小欠損もしくは肺高血圧合併であるが,加齢による影響から左室コンプライアンスが低下し心不全を引き起こすリスクが高くなるため注意が必要である.動脈開存症(PDA)も,カテーテル治療が導入されることによって高齢者の治療対象者が増加した比較的頻度の多い疾患である.
Key words: adult congenital heart disease; atrial septal defect; heart failure; atrial fibrillation; left ventricular diastolic dysfunction
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