完全大血管転位症に合併した新生児壊死性腸炎後に新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症を発症した1例
順天堂大学医学部小児科
新生児壊死性腸炎(neonatal necrotizing enterocolitis: NEC)は新生児期から管理を要する先天性心疾患(congenital heart disease: CHD)児において重要な合併症の一つである.一方,新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症は嘔吐・下痢・血便・腹部膨満などの消化器症状を呈することが多いが,稀に消化管穿孔やNECなどを合併する重症例も散見する.また,CHDと新生児・乳児蛋白誘発胃腸症の関連についても報告され,特に腸管血流が低下する血行動態の先天性心疾患では新生児・乳児蛋白誘発胃腸症の発症のリスクとされている.症例は完全大血管転位症I型の女児で,経腸管栄養を開始した後に日齢8で血便,ショックを呈し,先天性心疾患に合併したNECと診断した.保存的治療で症状は軽快したが,大血管スイッチ術後に母乳・人工乳を再開した際に消化器症状を認め,血液検査にて末梢血好酸球数増多と牛乳蛋白に対するアレルゲン特異的リンパ球刺激試験(allergen-specific lymphocyte stimulation test: ALST)の陽性,その後に加水分解乳に変更し症状が改善したことから,新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症の関与が考えられた.先天性心疾患例でNECの炎症後,経腸栄養開始に併って消化器症状を認めた際には,新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症の関与も考慮し,診断と治療を進めていくことが重要であると考えられる.
Key words: transposition of the great artery; non-IgE-mediated gastrointestinal food allergy; neonatal necrotizing enterocolitis; congenital heart disease
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