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特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 34(4): 207-211 (2018)
doi:10.9794/jspccs.34.207

症例報告

心房壁フラップを用いて左心房直接還流型の左上大静脈再建を行った不完全型房室中隔欠損症の一例

1福島県立医科大学医学部心臓血管外科

2福島県立医科大学医学部小児科

受付日:2018年4月17日
受理日:2018年7月10日
発行日:2018年12月20日
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左上大静脈(left superior vena cava: LSVC)が左側心房に直接還流する場合の二心室修復ではLSVCの対処が必要となるが,血行再建の明確な基準はなく確立した再建方法もない.左側心房直接還流型の左上大静脈を有する不完全型房室中隔欠損症に対し,心内修復に加えて右側心房壁フラップを用いたLSVC再建を行った.症例は10か月,体重8.8 kgの女児で,チアノーゼと心不全を来し入院した.診断は両側上大静脈,単心房,不完全型房室中隔欠損症,左側房室弁逆流,動脈管開存症であった.血管造影上はLSVC優位であり,バルーンカテーテルを用いたLSVC閉塞試験では,圧が6 mmHgから38 mmHgへと上昇したため,単純結紮は危険と判断し,再建する方針とした.心内修復後に右側心房前壁をLSVC方向にフラップ状に切開のうえ展開し,LSVC後壁を作成した.前側は新鮮自己心膜を用いて再建した.術後LSVC圧の上昇はなく経過順調だった.右側心房壁フラップを用いたLSVC再建は一つの方法であると考えられた.

Key words: persistent left superior vena cava; congenital heart disease; atrial wall flap repair; incomplete atrioventricular septal defect

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