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特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 34(4): 182-188 (2018)
doi:10.9794/jspccs.34.182

原著

Fontan術前後から遠隔期における体肺動脈側副血管の推移

福岡市立こども病院循環器科

受付日:2018年2月10日
受理日:2018年7月30日
発行日:2018年12月20日
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背景:単心室疾患群では,体肺動脈側副血管(APCA)の増加がFontan術後の合併症につながるため,術前にコイル塞栓を行うことがある.その目標については術後のAPCAの推移も考慮することが必要である.

方法: 2009年から2015年に当院でFontan手術を行った連続163人を対象とした.APCAの発達の程度を,心カテでの大動脈造影から3段階に点数化し,左右内胸動脈,左右鎖骨下動脈,下行大動脈の5か所のscoreの総和(0~10点)を算出,Fontan術前後にコイル塞栓群,非塞栓群比較した.

結果:術後6か月時点でAPCA scoreの平均はコイル施行群:6.1±1.5→4.5±1.8点,非塞栓群:4.4±1.7点→3.6±1.7点と有意に減少していた.術後5年以上で評価した35例では,scoreは全例で術後6か月時に比し減少していた.Fontan術前後でMRIを施行した30例において,APCA flowの平均は術前1.4±0.6 L/min→術後0.8±0.6 L/minと減少しており,同様の傾向であった.Fontan術前のscoreが5点以下の症例では塞栓群,非塞栓群の間で胸水貯留が遷延した症例の割合に差を認めなかった.

結論:Fontan術後は,コイル塞栓の有無にかかわらずAPCAが減少する傾向にあった.術前のコイル塞栓はルーチンで行う必要はなく,score 6点以上が適応と考えられる.

Key words: aorto pulmonary collateral artery; Fontan procedure; coil embolization; single ventricle; bidirectional Glenn procedure

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