フォンタン術後成人患者の管理
東京女子医科大学循環器小児科
三尖弁閉鎖をはじめとした単心室血行動態患者に対してフォンタン手術が行われるようになってすでに40年以上の歳月が経過した.この間当初は明らかでなかったフォンタン循環の特徴が次々と示されると同時に多くの遠隔期合併症も報告されるようになった.今や多くの患者が成人となっており,フォンタン病とも呼ばれる術後遠隔期の病態への理解を深めることが成人先天性心疾患の診療にあたる医師の重要な課題である.フォンタン循環は高い静脈圧と低い心拍出量が特徴といえるが,運動時の循環動態や全身臓器にもたらす影響などその病態は非常に複雑である.さらに,成人した患者では長期にわたる病態の継続がより深く全身の臓器に不可避的な影響を及ぼすため,各臓器同士の連関を考えた治療・管理戦略を立てなければならない.本稿では,フォンタン手術遠隔期で成人した患者の様々な合併症への管理を当科での臨床研究や臨床経験をまじえて詳述した.心不全から不整脈,血栓症などフォンタン循環のおもだった合併症や問題点を網羅している.また成人女性の問題として妊娠出産の管理についても触れた.これらの管理や治療戦略を通して,各病態への理解を深めていく一助となることを期待する.
Key words: Fontan surgery; late complications; adult congenital heart disease
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