特集:日本小児循環器学会第 13 回教育セミナー
房室弁の心エコーによる解剖学的評価
静岡県立こども病院循環器科
房室弁機能は先天性心疾患,特に単心室循環においてその予後に大きな影響を与える.単心室循環において房室弁閉鎖不全による心房圧の上昇は体静脈圧と肺静脈圧両方の上昇につながり,体循環と肺循環両方の鬱血を引き起こす.房室弁には僧帽弁,三尖弁,そして共通房室弁が存在するが,それぞれの形態は大きく異なり,特にheterotaxy症候群における共通房室弁はまさに多様であり,患者ごとに異なった形態を有する.そして,その機能維持には弁組織だけでなく,弁下構造,心室機能そして心房機能が深く関与する.弁構造はその複雑さゆえに完全な術前評価が未だに困難であるが,術中の経食道心エコーや三次元エコーを含めて心エコーに勝る画像検査は未だ存在しない.また,単心室のなかでも左心低形成症候群における三尖弁やheterotaxy症候群における共通房室弁はその解剖学的複雑さのために特に形成の難易度が高い房室弁であり,これらの房室弁に対する形成の方法論を確立することができればその予後改善に大きな貢献となる.本総説では心エコー,三次元エコーや経食道心エコーを用いた房室弁の解剖学的評価方法について概説する.
Key words: atrioventricular valve; mitral valve; tricuspid valve; common atrioventricular valve; congenital heart disease
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