Fontan術後に発症した低蛋白血症にspironolactoneの追加投与が奏功した一例
1 佐賀大学医学部小児科
2 福岡市立こども病院循環器科
Fontan手術後に発症した低蛋白血症にspironolactoneの追加投与が奏功した症例を経験したので報告する.症例は3歳男児.大動脈縮窄を合併した左室型単心室に対してFontan手術(total cavo-pulmonary connection, TCPC)を施行された.術後6カ月後に,明らかな誘因なく血清総蛋白4.3 g/dL,アルブミン2.5 g/dL,IgG 182 mg/dLと低下を認めた.尿蛋白陰性であり,患者の既往歴からPLEよる低蛋白血症を疑った.患者は既にtorasemide,tadaraphilを内服していたところでの発症であったため,免疫グロブリン製剤の補充を行うと共にtolvaptanの投与を開始したが,3カ月の観察中に十分な効果は得られなかった.発症3カ月後にspironolactone 20 mg(1.5 mg/kg/day)を追加したところ,翌日より眼瞼浮腫は消失し,2週間後には血液検査値も正常化し現在に至っている.本例では,これまでに有効性が示されている薬剤(利尿剤・phosphodiesterase type 5阻害剤・抗利尿ホルモン受容体拮抗薬)が既に導入されている状況での発症であったが,spironolactone追加投与が極めて有効であった.Fontan術後の低蛋白血症の治療においてspironolactoneが有用な選択肢の一つである.
Key words: Fontan; hypoproteinemia; spironolactone
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