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特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 32(3): 237-243 (2016)
doi:10.9794/jspccs.32.237

症例報告

心臓再同期療法を施行したLMNA変異を伴う先天性筋ジストロフィーの1例

1富山県立中央病院小児科

2富山県立中央病院内科(循環器)

3富山大学医学部小児科

受付日:2015年9月29日
受理日:2016年3月31日
発行日:2016年5月1日
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LMNA遺伝子は,核膜の裏打ち蛋白であるLamin A/Cをコードし,心筋・骨格筋・末梢神経の障害,皮膚疾患など多彩な疾患の発症に関与する.LMNA変異には,拡張型心筋症や伝導障害,心室性不整脈の合併が多いとされ,これらの心不全・伝導障害に対して心臓再同期療法(Cardiac resyncronization therapy; CRT)の有用性の報告が散見される.本症例は乳幼児期発症の先天性筋ジストロフィーの女児で,遺伝子検査でLMNA変異を認めた.8歳以降,徐々に心機能が低下し,完全房室ブロックや非持続性心室頻拍を認め,13歳時より心房細動,徐脈および心不全が進行し,入退院を繰り返すようになった.14歳時に,伝導障害を伴う高度徐脈を合併した心不全に対して,経静脈的に両心室ペースメーカ植込み術を施行し,心不全症状の改善が得られた.LMNA関連心筋症は成人期以降に徐脈性不整脈・心不全や突然死を呈することが多く,成人例でのCRTの有用性が報告されているが,本症例のように小児期発症例においてもCRTの有用性が示唆される.

Key words: dilated cardiomyopathy; laminopathy; congenital muscular dystrophy; cardiac resynchronization therapy; LMNA mutation

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