Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 32(1): 2-8 (2016)
doi:10.9794/jspccs.32.2

Review

動脈管閉鎖の分子機序解明にむけて

東京慈恵会医科大学細胞生理学講座

受付日:2015年11月16日
受理日:2015年12月24日
発行日:2016年1月1日
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動脈管は胎児循環に必須のバイパス血管として機能し,出生後に閉塞する必要がある.動脈管が閉塞するには二つの機序が働く.すなわち,主に血中酸素の増加とプロスタグランジンE2(PGE2)の低下による血管の収縮と,血管構造自体が閉塞しやすく変化することが挙げられる.私達は一連の研究で,PGE2には動脈管拡張作用に加えて,PGE2とその受容体EP4を介した刺激が,内膜肥厚や内弾性板断裂,中膜での弾性線維の低形成など動脈管構造の主要な構築において,極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした.さらに詳細にその情報伝達経路を調べたところ,PGE2-EP4刺激はアデニル酸シクラーゼ6型の活性化を介してcAMPを増加させ,PKA及びEpacの活性化を促して動脈管内膜肥厚を生じさせることを見いだした.さらにPGE2-EP4刺激はc-Src-PLCγ経路の活性化によってリシルオキシダーゼの分解亢進が起こり,弾性線維の低形成を生じることが判明した.内膜肥厚や弾性線維の形成機序を含め,動脈管の血管構造を構築する分子機序を明らかにすることによって,動脈管開存症や動脈管依存性先天性心疾患患者への新たな薬物療法の開発へとつながることが期待される.

Key words: ductus arteriosus; vascular structure; intimal thickening; elastic fiber; fetal circulation

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