日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
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Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 34(3): 85-86 (2018)
doi:10.9794/jspccs.34.85

巻頭言Preface

女性医師へのエールToward a Society in Which All Women Shine

三重県立総合医療センターMie Prefectural General Medical Center ◇ Mie, Japan

発行日:2018年9月1日Published: September 1, 2018
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この度,第48回日本心臓血管外科学会学術総会を私どもの三重大学大学院医学系研究科胸部心臓血管外科教室で平成30年2月19~21日の会期でお世話させて頂く機会がございました.学術総会は皆様のご協力により1,130題の応募を頂き,808題を採用し,発表して頂き,無事に終了することができました.この場を借りて関係各位に心より御礼申し上げます.学術総会の準備をさせて頂く過程で女性医師の活躍が強く印象に残りました.そこで,ここでは外科医を含む女性医師への期待を込めて日頃から感じているところを述べさせて頂きます.

まず,第48回日本心臓血管外科学会学術総会に招請した女性心臓外科医Jennifer S. Lawton先生を紹介します.Lawton先生は日本心臓血管外科学会髙本眞一名誉会長,上田裕一名誉会長からご推薦頂いたこともあり招請いたしました.Lawton先生は米国フィラデルフィアのハーネマン大学の医学部を1992年に卒業した心臓血管外科医で,現在,ジョンスホプキンス大学外科教授で心臓外科の責任者の地位にあります.文字通り,女性心臓血管外科医としては世界のトップランナーというべき先生です.今回の総会では3つの講演をお願いしました.招請講演では「The Benefits of Scientific Inquiry and Curiosity」と題して科学研究の重要性をお話頂きました.特別企画Developing The Academic Surgeon: What can you do Now toward or as an academic surgeon? では「Developing The Academic Surgeon: Things to Do in 40s」として,40代外科医がacademic surgeonとしてなすべきことをお話頂きました.特別企画男女共同参画企画では「Overcoming Resistance」として女性が心臓血管外科医として生きていく上で克服すべき事柄について米国における歴史,自らの歴史について述べられ,聴衆の一人として私も非常に感銘を受けました.特に日本での講演であることを意識され,日本の女性心臓血管外科医についても入念なリサーチをされたことがうかがえる内容でした.研究に真正面から取り組み,臨床面では外科医として腕を上げていく心臓外科医として順調なコースに乗っているかに見えるLawton先生ですが,少なくない試練があったことが講演から伝わってきました.講演の中で私が印象深かったのはこの部分です.「私はキャリアの初めからチーフを目指していたわけではありませんでした.ワシントン大学(St. Louis)にいる時,ボスであったAlexander Patterson教授に“I think you should be a chief ”と言われました.その時から真剣に目指すようになりました.」と述べ,メンターの重要性を強調してみえました.女性心臓血管外科医のみならず多くの医師にとって大切なことをメッセージとして頂いたと感じています.

日本心臓血管外科学会の女性会員の数と比率を振り返ってみます.日本心臓血管外科学会事務局から頂いた資料で女性全員の数が初めて示されたのは2000年で,総会員数3,434名に対し女性会員数は48名,比率は1.4%にすぎません.2004年に総数3,851名に対し女性会員数はかなり増えて114名で3.0%となっています.これ以降,年10名前後の女性会員数の増加があり,2016年では総数4,248名に対し女性会員数は216名,比率は5.1%となっています.2004年から2016年の間にほぼ倍になり,比率は3.0%から5.1%に増えたことになります.専門医資格取得者の数を見てみます.心臓血管外科専門医認定機構から頂いた情報では2004年に女性心臓血管外科専門医はわずか10名で,比率は0.7%でした.2016年には50名となり2.6%,2018年では71名になり3.2%と数及び比率を伸ばしています.ちなみにこの間,医師国家試験合格者における女性の割合は2004年に33.8%で,2016年は32.8%と全くの横ばいです.一方,心臓血管外科学会の女性会員の数,比率は増えつづけ,心臓血管外科専門医においても同様となっています.ただ残念ながら,教授職・病院の部長職などの指導的立場にある女性心臓血管外科医の数は多くありません.平成24年5月に日本外科学会女性外科医支援委員会がまとめた「日本医学会分料金における女性医師支援の現状に関する調査報告書にも各学会の女性会員の数,比率,各学会の評議員や各種委員会における女性の数や比率が報告されていますが,やはりかなり少ないのが実状です.

今回の第48回日本心臓血管外科学会学術総会では上級演題を含めた,一般演題,ポスターなどの座長の10%を女性会員にお願い致しました.これがひとつの契機となり女性心臓血管外科医のますますの発展につながればと願っております.

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