日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 33(4): 345-346 (2017)
doi:10.9794/jspccs.33.345

追悼文追悼文

佐地勉先生への追悼の言葉

すばるこどもクリニック

発行日:2017年7月1日Published: July 1, 2017
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本年5月22日に東邦大学名誉教授,日本小児循環器学会監事の佐地勉先生がご逝去されました.

診断からわずか2か月での急逝であり,会員の皆様の驚き,お嘆きは如何ばかりかと拝察申し上げます.

佐地勉先生は日本小児循環器学会の理事,学術委員長,総務委員長などを歴任され,現役の監事のままお亡くなりになりました.日本小児循環器学会の最近の隆盛は一重に佐地先生のご尽力によるものであると申しましても決して過言ではないと思います.先生のご功績に対しまして第53回日本小児循環器学会学術集会総会におきまして特別功労賞が贈呈されました.Shyな先生でしたのでお顔には出されないかもしれませんが,内心お喜びのことと存じます.

去る,7月23日に東邦大学小児科学教室主催の「佐地勉先生を送る会」が開催され,約800人の参列者で会場は埋めつくされました.日本小児循環器学会からも多くの方々の参列があり,皆様,生前に賜りましたご厚誼に対しまして感謝の意を表されていらっしゃったのではないかと推察申し上げます.送る会におきまして弔辞を奉読させていただきました.拙き弔辞ではございますがこれをもちまして佐地勉先生への追悼の言葉とさせていただきます.

合 掌

Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 33(4): 345-346 (2017)

St. Andrews Golf Linksにて 2015.9.3

弔 辞

涙,滂沱のごとく流れ,止むことを知らず,お別れの言葉を述べようにも,空虚感に苛まれた心,如何ともしがたく,諸行無常の理をひしひしと感じるのみであります.

長きに亘り,友の端にお加え頂き,尊崇の念をもって交誼を結ばせて頂いて参りました.

昨今の学術の世界,取り分け自然科学の分野における風潮として,業績を上げることのみを最終目的としての業績づくりがあるように思えます.その風潮は捏造・改ざん・盗用を生み,学問の世界を地に貶めるような一大スキャンダルが起こりましたことも記憶に新しい所であります.最近の世界的規模のデータでは撤回された論文数のworst10に日本人科学者が2人も名を連ねているとの報告があります.佐地先生はそのような風潮を良しとせず,本来学問の本質は別のところにあり,それは真実Veritasを求めることであり,そのためにはScientific integrityの確立がもっとも重要であると常々考えていらっしゃいました.Veritasの追及こそが学問の神髄であり,業績はその結果としてついてくるものであって,求めるものでない.医学の世界においても全く同様で,研究や診療を通して医学・医療のVeritasに迫らなければならないとよく話しておられました.

佐地先生は小児科学に限らず医学全般にわたり,また日本ばかりでなく世界をfieldとして医学・医療のVeritasを追い求め東奔西走しておられました.時に,数日間で世界を一周するなどの過激な旅もあり,こういった過酷な行脚がこの度の病の一因となったことは否めません.

昨年3月末日をもって大学を退官なさった後,やり残した仕事があるからと言われ,東邦大学医学部心血管病研究先端統合講座を開設され,主に,「肺動脈高血圧症」,「小児期血管炎症候群」,「小児期心筋炎」,「小児臨床薬理」の4つを主題とした研究に精力的に打ち込んでいらっしゃいました.

逝去される数週間前に頂戴したメールに「何としても奇跡が起こることを信じたい」との心の内を吐露された一文がありました.病魔と闘い,恐らく不安に苛まれ,多くの葛藤と戦っていらっしゃったその中にあっても1年間に亘る先端統合講座の学術的証を残したいとされ,短期間の間に「平成28年度活動報告書」を上梓されました.どの様な過酷な状況に置かれても冷徹な意識を持った科学者佐地勉でなければなしえない,まさにScientific integrityのなせる業と深く深く心に刻んでおります.

佐地先生が斯界に残された,学問への取り組む姿勢は,赫々として永遠に輝き,後進の道を照らし続けることでありましょう.

平成29年8月2日
すばるこどもクリニック
小川俊一

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