日本小児循環器学会雑誌 Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Online ISSN: 2187-2988 Print ISSN: 0911-1794
特定非営利活動法人日本小児循環器学会 Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
〒162-0801東京都新宿区山吹町358-5アカデミーセンター Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 31(1-2): 30-38 (2015)
doi:10.9794/jspccs.31.30

ReviewReview

日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会データベースの構築Establishment of the Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC) Database

1日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会調査委員会JPICデータベースワーキンググループJPIC Database Working Group, Investigational Committee, Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC)

2日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会理事会Executive Board, Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC)

3静岡県立こども病院循環器科Department of Cardiology, Shizuoka Children’s Hospital ◇ 〒420-8660 静岡県静岡市葵区漆山860860 Urushiyama, Aoi-ku, Shizuoka-shi, Shizuoka 420-8660, Japan

4長野県立こども病院小児集中治療科Department of Pediatric Intensive Care, Nagano Children’s Hospital ◇ 〒399-8288 長野県安曇野市豊科31003100 Toyoshina, Azumino-shi, Nagano 399-8288, Japan

5東京大学医学部附属病院小児科Department of Pediatrics, The University of Tokyo Hospital ◇ 〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-17-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8655, Japan

6東京大学大学院医学系研究科医療品質評価学講座Department of Healthcare Quality Assessment, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo ◇ 〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-17-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8655, Japan

7独立行政法人国立循環器病研究センター小児循環器科Department of Pediatric Cardiology, National Cerebral and Cardiovascular Center ◇ 〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5-7-15-7-1 Fujishirodai, Suita-shi, Osaka 565-8565, Japan

8岡山大学病院小児循環器科Department of Pediatric Cardiology, Okayama University Hospital ◇ 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-12-5-1 Shikata-cho, Kita-ku, Okayama-shi, Okayama 700-8558, Japan

9埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科Department of Pediatric Cardiology, Saitama Medical University International Medical Center ◇ 〒350-1298 埼玉県日高市山根1397-11397-1 Yamane, Hidaka-shi, Saitama 350-1298, Japan

10昭和大学横浜市北部病院循環器センターCardiovascular Center, Showa University Northern Yokohama Hospital ◇ 〒224-8503 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央35-135-1 Chigasaki-Chuo, Tsuzuki-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 224-8503, Japan

受付日:2014年11月15日Received: November 15, 2014
受理日:2014年12月22日Accepted: December 22, 2014
発行日:2015年3月1日Published: March 1, 2015
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日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会において15年以上にわたり継続されてきた,カテーテル治療の手技・件数・合併症に関する全国アンケート集計は,オンライン登録によるデータベースに移行することとなった.先天性心疾患および小児期頻拍性不整脈に対するあらゆるカテーテル治療手技と合併症への汎用性,近年進歩の著しい他の関連データベースとの連携,倫理的配慮,公的・学術的データ利用への機能など多くの特徴を有し,2013年1月登録分より実運用開始となった.今後さらなる普及と発展が見込まれている.

The Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC) Database has recently been inaugurated, replacing the annual questionnaire surveillance regarding catheter-based interventional procedures and complications, which has been conducted over the past 15 years. The online registry system includes comprehensive benchmarking of any form of pediatric and congenital interventional procedures and adverse events, the ability to link with emerging relevant databases, ethical justification, and public and scientific data exploitation. It eventually went into operation with the initial enrollment of actual cases since January 2013. We can expect further prevalence and advancement in the near future.

Key words: catheter intervention; catheter ablation; database; registry; The Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC)

はじめに

日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会における近年の重要課題のひとつとして,先天性心疾患および小児期頻拍性不整脈に対するカテーテル治療の包括的データベースの構築が挙げられてきた.これは,JPIC学会調査委員会によって1998年から継続して行われてきた,カテーテル治療手技・件数・合併症についての全国アンケート集計を発展的に継続するものである.JPICデータベース(JPIC-DB)と名付けたこの登録システムは,インターネット上のオンライン登録を基本構造とし,新生児期から成人期までの全ての先天性心疾患に対するあらゆるカテーテル治療,および小児期の正常心構造をもつ頻拍性不整脈に対するカテーテルアブレーションを網羅した包括的機能をもつよう緻密に構成されている.2011年1月より構築開始となり,2013年1月登録症例より実運用開始となった本システムについて,その経緯や機能,他のデータベースとの関連性,期待される効用や将来の展望について概説する.

構築の経緯

2011年1月より,JPIC調査委員会直属の小委員会としてJPIC-DBワーキンググループ(WG)が発足した.WGメンバーとして,筆者を含む冒頭の4名の小児循環器専門医が任命された.比較的若手で少人数の構成とされた理由としては,小回りが利くようにという理事会の意図があった.WGメンバーの所在地は静岡,長野,東京の3ヵ所と離れているものの,システム作りとその検証など,頻回のミーティングが必要と考えられた.少人数といえども学術集会等で実際に集まる機会は限られるため,ミーティングの多くは無料通話サービスによるインターネット会議上で行い,2014年夏までに計23回実施された.その全ての会議録を含む文書や資料はクラウド上で共有され,そのファイル数は実に420以上に及んだ.このような経緯により,構築開始から日本小児循環器学会倫理委員会での承認,運用細則の策定,オンライン登録システムへの実装,2014年からの実運用開始まで3年という早さで,かつ廉価で進めることが可能となった.

従来JPICアンケート集計やAmplatzer®閉鎖栓の施設・術者認定のための申請書類との共通の特徴として,JPIC-DBにおける年次毎の症例登録の区切りは3月末の年度締めではなく,1月1日から12月31日までの暦年締めとなっている.JPIC所属のカテーテル治療実施施設数はおよそ100にのぼる.初期入力施設としてJPIC調査委員所属の13施設が選定され,各施設の2012年症例を実際にオンラインで登録を開始し,試験運用とフィードバックを行い,更なるシステム上の修正を加えていった.その後,倫理委員会審議や入力者手続きを終えた計41施設において,2013年症例の本登録を行う運びとなった.2014年症例の本登録は計59施設に増加することが見込まれ,あと1~2年を従来アンケート集計からJPIC-DBへの移行期に据えている.今後全国で先天性心疾患および小児期頻拍性不整脈に対するカテーテル治療を行う全ての施設による登録に移ることが明確な目標である.

JPIC-DBの目的

従来アンケート集計で得られていた,JPIC学会所属施設におけるカテーテル治療手技毎の件数および合併症発生状況の把握に加えて,

  • 自施設のデータベース作成と,全国集計との比較による手技の有効性とリスクの把握,および,それに基づく患者説明への利用
  • 他のデータベースと情報共有することによる二重入力の回避
  • 公的利用:新規デバイスの術者・施設認定,医療機器承認審査や薬価収載申請を利用のための資料作成
  • 学術的利用:多施設共同研究,論文化による国際発信

などが挙げられる.

他データベースとの関連性(Fig. 1

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Fig. 1 Organization diagram surrounding JPIC-DB

JPIC-DB: Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology Database, UMIN: University Hospital Medical Information Network, JCVSDO: Japan Cardiovascular Surgery Database Organization, JACVSD: Japan Adult Cardiovascular Surgery Database, JCCVSD: Japan Congenital Cardiovascular Surgery Database, CVIT: Japanese Association of Cardiovascular Intervention and Therapeutics, PCI: percutaneous coronary intervention, EVT: endovascular treatment, SHD: structural heart disease.

1. 欧米のカテーテル治療データベース

欧米においては,この10年で先天性心疾患の治療に対するいくつものデータベースがたち上がっている1).その中で,カテーテル治療に関するものとしては,以下のものが挙げられる.

  • IMPACT(IMproving Pediatric and Adult Congenital Treatment)
  • MAGIC(Mid-Atlantic Group of Interventional Cardiology)
  • C3PO(Congenital Cardiac Catheterization Project on Outcomes)
  • CCISC(Congenital Cardiovascular Interventional Study Consortium)

いずれも特定の施設や学会(American College of Cardiology(ACC),The Society for Cardiovascular Angiography and Interventions(SCAI)など)が中心となり参加施設を募る,いわばオンライン登録を利用した多施設共同研究システムとなっている.欧米内のいくつかの国をまたいでの参加も散見されるが,一つの国家の全施設をカバーしたデータベースはみられない.また,カテーテルアブレーションを対象とするものはみられない.一方,カテーテル治療に限らず,診断カテーテルや心内膜心筋生検も対象とするもの,カテーテルによらない先天性心疾患治療も対象とするもの,成人期を対象としないものなど,対象の範囲や登録内容はさまざまであり,互いのデータベース間の連携は行われていない.そのため,一つの施設で上記4つのうち最大3つのデータベースに参加している例も実際にみられる.今後,2014年現在で90施設と最も参加の多いIMPACTレジストリーに統合しようとする意見もある2)

2. わが国の心疾患治療データベース

心臓血管外科手術の領域において全国規模のデータベースが構築されたことはよく知られている.米国胸部外科学会データベース(STS National Database)の成功を受け,2000年より日本心臓血管外科手術データベース機構(Japan Cardiovascular Surgery Database Organization, JCVSDO)が発足した.JCVSDOは,日本胸部外科学会,日本心臓血管外科学会,日本小児循環器学会,およびJPIC学会の4つの団体で構成され,成人部門(Japan Adult Cardiovascular Surgery Database, JACVSD)と先天性部門(Japan Congenital Cardiovascular Surgery Database, JCCVSD)に分かれて運営されている.診断名,手術術式などの入力項目はSTSデータベースに準拠し,初期は郵送方式でオフライン運用されていた.2010年より大学病院医療情報ネットワーク(University hospital Medical Information Network, UMIN)によるオンライン登録に移行,2013年より外科系の専門医制度と連携した症例データベース(National Clinical Database, NCD)に移行している.現在では参加施設,登録症例数とも著しく増加し,諸外国からも注目を集めている3)

循環器内科領域では,日本心血管インターベンション治療学会(Japanese Association of Cardiovascular Intervention and Therapeutics, CVIT)を主導として経皮的冠動脈カテーテル治療(Percutaneous Coronary Intervention, PCI)を対象としたオンライン登録システムが2011年より稼働し,JACVSD/JCCVSDと同様に,J-PCIレジストリーという名称で2013年よりUMINからNCDにシステム移行した.2014年現在,末梢血管内治療(Endovascular Treatment, EVT)および構造的心疾患(Structural Heart Disease, SHD)に対するデータベース(J-EVT/SHDレジストリー)もNCD上でシステム構築中である.日本不整脈学会は,UMIN上で植え込み型除細動器や心臓再同期療法の症例登録システム(Japanese Cardiac Device Therapy Registry, JCDTR)を有するが,大規模運用には至っていない.

3. JPIC-DBの位置づけ

まず,頻拍性不整脈に対するカテーテルアブレーションが紛れもなくカテーテル治療の重要な一分野であり,従来JPICアンケートでも当初から集計対象としていたことから,2011年に日本小児心電学会でも承認を得た上でアブレーションも登録対象として踏襲することとした.今後も正常心構造に限らず,乳児期から成人期までの先天性心疾患症例に対するカテーテルアブレーションは増加傾向にあることから必須の機能と考えられたが,これは循環器内科分野を含めた海外のデータベースには見られない特徴である.なお,ペースメーカ,植え込み型除細動器,心臓再同期療法といったデバイス治療の登録,20歳以上の正常心構造不整脈患者に対するアブレーションの登録については,日本小児心電学会あるいは日本不整脈心電学会による事業と考え,JPIC-DBは対象としていない.

JPIC-DBの対象としては先天性心疾患が占める割合が多く,カテーテル治療を受ける対象患者は,その前後あるいは同時に心臓外科手術を受けることが稀ではない.したがって,JCCVSDに登録される患者とJPIC-DBに登録される患者は施設内で同一の場合も多く,時には紹介や転居により施設を移ることもあり得る.そのため,周産期情報や基礎疾患,既往治療介入歴といった患者基本情報を共通項目として設定した.また,JCCVSDが2013年よりNCDへ移行することが予想されていたため,JPIC-DBはあらかじめNCDへの実装を済ませ,将来的にデータ共有が容易になるような仕組みとした.後述するように,各データベース間に限らず,専門医・認定医制度や,Amplatzer®閉鎖栓等新規デバイスの認定制度とのデータ共有による二重入力の回避は,今後オンライン運用によりもたらされるべき重要な機能と考えられる.

システム構成と入力項目

入力項目の構築はデータベースの根幹となり,WGでも最も時間を費やして検討を繰り返した領域である.入力率,入力効率を上げるために,一件につき5~10分程度で入力完了できることを目標にできる限り項目数を制限することが求められた.一方で,あらゆる基礎疾患や手技に対応できなくてはならず,データの公的利用・学術利用を見越した設定をしなければならない.したがって,項目はできる限りチェックボックスもしくはラジオボタンによる選択式で,階層が展開していく画面構成,テキスト入力を排する構成とした(Fig. 2).

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Fig. 2 Procedure format samples on the JPIC-DB registration website

A: Non-EP intervention (stent implantation to the arterial duct). B: Catheter ablation for multiple accessory pathways using transseptal approach. Checkboxes ☑ are for single selection, and radio buttons ◎ are for multiple selections. The relevant selection list expands according to one choice after another. The definitive accomplishment status (arrows) is revealed on each procedure. Courtesy of National Clinical Database (NCD). Modified from the website (http://www.ncd.or.jp).

1. 治療前情報の入力

初階層では患者基本情報を入力していく.この項目はJCCVSDと共通となっているため,先天性心疾患診断名や既往手術術式の選択肢はSTSデータベースのnomenclatureに準拠したものとなっている.これらの選択肢はアルファベット順で見づらく入力者の慣れが要求される.また,必須入力ではないが,患者母親の生年月日や居住地の郵便番号といった煩雑な項目もある.このような項目もデータ共有および匿名同一患者の特定のため残さざるをえなかったもので,まずは入力者のご理解とご協力をお願いし,できれば今後改善を促したいと考えている.ここを乗り越えると以降の入力はあまりストレスがかからないと自負している.

患者の治療前リスクファクターについて,小児例特有のリスクとして,動脈管依存性循環,肺高血圧,人工呼吸器・強心薬・循環補助装置への依存性の有無についての選択項目がある.一方,登録対象は小児例と限らず,今後も著しい増加が見込まれる成人先天性心疾患・構造的心疾患患者にも対応する必要がある.患者の生年月日とカテーテル治療実施日を入力して,自動計算で患者年齢が20歳以上と判定されると,治療前リスクファクター項目が小児用から成人用に自動的に切り替わる.この成人用のリスクファクター項目は,CVITのレジストリー項目に準拠して構成し,将来的にCVITともデータ共有可能なよう配慮した(Fig. 3).

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Fig. 3 Entry screens for pre-procedural risk factors on the JPIC-DB registration website

A: The field for a pediatric case. B: The field for an adult case. Either of the two fields switches automatically according to the patient’s age (under 20 years old or 20 years old and over) at the intervention, which is automatically calculated when entering the patient’s date of birth and date of the procedure. Courtesy of National Clinical Database (NCD). Modified from the website (http://www.ncd.or.jp).

2. 治療手技の入力

カテーテル治療手技は,まずアブレーション治療と非アブレーション治療のいずれかを選択する.以降バルーン拡大術,ステント留置術,デバイスによる閉鎖術などの手技,治療部位,各治療器具,併用した画像診断や特殊手法が次々と展開する構成となっている.手技の選択肢は,将来的な海外のデータベースとの共同検討も見据えて,IMPACTレジストリーが採用しているIPCCC(International Pediatric Congenital Cardiac Code)を参考に構成した.その上で,向こう2年間に導入され得る手技を含めて,わが国の実施状況に即したあらゆる治療手技・部位・状況が選択式で網羅されている.また,第一術者,第二術者,指導的術者の3名まで登録可能で,カテーテル治療施行医としての関与度の違いに応じて経験数を計上することが可能である.一度の治療機会に,例えばバルーン拡大術と欠損孔閉鎖術,あるいはアブレーションと異常血管塞栓術を行うような複数カテーテル治療同時施行例や,Amplatzer®閉鎖栓の複数個使用,回収・交換例についても比較的簡便に登録が可能となっている(Fig. 4).このような機能は保険請求の向上や新規デバイスの認定制度にとって重要と考えている.

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Fig. 4 Entry screens for simultaneous multiple interventions and multiple consumption of therapeutic devices on the JPIC-DB registration website

A: The case of occlusion procedures for the veno-venous shunt and aorto-pulmonary collateral arteries in a single opportunity. B: The case of appropriate exchange of Amplatzer® Septal Occluders (a 19-mm device was recaptured before release; subsequently, an 18-mm device was deployed, determined by TEE findings). A pop-up window appears when pointing the cursor to an individual edit box as an entry guidance. TEE: transesophageal echocardiography. Courtesy of National Clinical Database (NCD). Modified from the website (http://www.ncd.or.jp).

3. 合併症の入力

手技のリスクを検討し患者説明に利用する上で,合併症の登録は非常に重要である.従来アンケート集計では任意のテキスト入力項目となっていた.JPIC-DBでは,報告・計上に値する中等度以上の合併症だけを取り上げ,合併症の種類,発生タイミング(シース挿入前・中,カテーテル手技中,シース抜去後,退院後から1年間),重症度,対処法・転帰によって選択する方式をとった.テキスト入力は排されるが,入力者には,Fig. 5に示すような各合併症の種類と定義についてあらかじめ把握しておいて頂く必要がある.

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Fig. 5 Reference charts of classification and definition on various complications for JPIC-DB enrollment

A: The sheet on cardiac adverse events. B: The sheet on non-cardiac adverse events.

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Fig. 5 Continued

4. 入力の支援と促進

入力者はカテーテル治療に携わる医師に限らず,医師事務作業補助者(医療クラーク)にデータマネージャー業務を依頼することが想定される.JPICのホームページからは,治療実施中に記録しておくことによりオンライン入力が容易になるワークシートがダウンロードできるようになっている.ワークシートにはカテーテル治療に携わる医師用のほか,全入力項目を一覧としてチェックしやすい非専門職データマネージャー用のものが用意されている(http://www.jpic-meeting.org/aboutdb/index.shtml).

医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, PMDA)による承認を満たすべき市販後調査(Post Marketing Surveillance, PMS)の項目は極めて多岐にわたり,JPIC-DBといえども全てをカバーすることはできない.新規デバイスを販売する企業が作成したPMS用の症例報告票(Case Report Form, CRF)をダウンロードできる機能が必要であり,システム上はその付加をNCDに依頼することは可能となっている.その場合には資金面を含め企業による協力が必要となる.このような機能付加や入力項目については,要望を受けてJPIC理事会およびWGで検討の上,1年毎に更新することが可能である.

倫理的配慮

患者個人情報に関しては高いレベルでの匿名化と暗号化通信および管理がなされるが,インターネット上で扱う以上,参加施設毎の倫理委員会承認および患者毎の説明・同意書が必要と考えられ,Opt-inルールに則って普及する方針とした.JPIC-DBの推進については日本小児循環器学会倫理委員会において,約1年間の審査期間を経て承認を得た.今後JPIC-DBが全施設に普及し完全に軌道に乗った際には,NCDと同様,患者への周知を徹底した上でのOpt-outルールへの移行も提案されている.

今後の展望

構築開始より約3年でJPIC-DBの実運用が進み,今後の3年でさらに普及と管理を進めていく計画である.具体的には,2014年より発足したJPIC保険診療対策WGとの連携の他,以下の3つのWGの派生を進めている.

  • Site Visit WG: 委員が特定・任意の施設を訪問し,適正な入力がなされているかどうかについて現場視察(site visit)・監査(audit)を行う
  • 学術情報管理WG: 論文のauthorshipを定め,データの公正かつ有効な利用のための審査を行う
  • アブレーションWG: 先天性心疾患および小児期頻拍性不整脈に対するカテーテルアブレーション症例の登録推進,関連学会との連携強化を行う

結語

Opt-inルールに伴う各施設での手続き上の負担や入力作業の負担から,はじめのうちはJPIC-DB参加によるインセンティブは感じにくいものと思われる.JCCVSD/JACVSDでは心臓血管外科専門医申請への利用が少なからず強制力を持ち,入力率向上に大きく寄与したが,JPICでは今のところ専門医・認定医制度は検討事項の域を出ていない.しかし,今後オンライン登録業務が浸透し,従来アンケート提出や一部の認定申請書類の提出が省略されていくことは大きなメリットであり,何よりも公平性・普遍性が保証されたデータが,患者説明や保険診療の向上などに広く有効利用されていくことで各施設に還元されていくものと思われる.その意味で,今後もJPIC会員所属全施設によるDB参加と,関連学会・機構の方々のご支援とご協力を賜りたいと考えている.

日本小児循環器学会の定める利益相反に関する開示事項はありません.

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